届かぬ想い
*要注意*
親の仇と和解して一週間が経った。
合肥の戦で命を救われてから、少しずつ甘寧を認め始め、和解まですることができた。
父上のことを、完全に許した訳じゃない。
でも、愛してしまったんだ。
仇を、甘寧を。
まだ本人には伝えてないけど、いつか伝えるつもりでいる。
そんな時だ。
甘寧が酒に誘ってくれたのは。
「よく来たな、凌統!まぁ、座れや」
「お邪魔するよ」
朝の軍議が終わった後、甘寧から今日の夜一緒に飲まないかと誘われた。
和解してからも何処か気まずい雰囲気が漂っていたから、甘寧から誘ってくれて正直嬉しかった。
素直じゃない俺は、そんなこと言わないけどな。
部屋にある机には既に酒と肴が用意されていた。
「酒、多くないかい?」
「これぐらい飲めんだろ」
俺が座ると、甘寧も隣に座り酒を勧めてきた。杯を持ち、並々注がれる酒を一気に飲み干す。
「…美味い!」
「だろ!!もっと飲めよ!」
癖もなくスッと喉を通り飲みやすい酒だった。そのため、甘寧に注がれるままに飲み続ける。
だが…。
「…?…っ…///」
「どうしたぁ、凌統?」
「…っ…甘寧…あんた…っ…」
急に身体が熱くなるのを感じ、持っていた杯を落とす。カランと軽い音を立てた。
確かに酒には強くないが、こんなに早く酔ったりはしない。
酒に毒でも入れられたか…っ
「こうでもしないと、お前ヤらせてくれないだろ。酷くはしないつもりだからよ…」
遠くなる意識の中で、ボンヤリと甘寧の声が聞こえたような気がした。
「ん…っ…んぅ…?」
「やっと目ぇ覚ましたか」
肌寒さと違和感から俺は目を覚ます。すると目の前には甘寧の顔。
てっきり毒でも盛られたと思っていたので、無事だったことに少し安心する。
どうやら寝台まで運んでくれたようだ。
「甘ね…、…え…?」
視線を甘寧からずらすと、違和感の正体が明らかになった。
服を一切着ていない。
おまけに手は縛られ寝台にくくりつけられている。辛うじて動かせるのは足だけだったが、甘寧が上に乗っているのでそれも無駄だった。
「甘寧?!何だよ…これ…」
「ただ酒を飲んで終わりな訳ないだろ。痛くはしないから安心しな。ま、お前が大人しくしてればの話だがな…」
「お願…っ…やめ…っ!」
首や鎖骨に痕を付けながら身体中を舐められる。その感覚に思わず甘い息を吐く。
「ぁ…はぁ…っ」
「…感じてんの?」
「違っ…っぁ!…ぅ…」
突然胸を舐められ声が上がる。
「何が違うんだか」
「やぁっ…しゃべ、な…っ」
もう片方も指で摘ままれ本格的に愛撫される。一度引いたと思っていた熱がまた沸き上がってきて、俺自身は既に天を向き先走りを流していた。
「胸だけでこんなかよ。淫乱だなぁ、公績ちゃんは」
「ひゃあぁぁ!!」
胸と同時に自身も握られ、軽く悲鳴をあげる。
グチュグチュと音が響き、耳まで犯されている錯覚に陥った。
「ひぃ…ゃ…っ…も、ダメェ!!」
「薬効いてるからか、早いな。いいぜ、出しな」
「あああぁぁ!!!」
鬼頭に爪を立てられ同時に胸も強く吸われ、俺は呆気なく甘寧の手に精を放った。
力が抜けぐったりと寝台に沈む。
口からはだらしなく涎が垂れるが、気にする間もなく再び快感の波が押し寄せる。
「甘寧ぃ…身体…熱ぃ…」
「だろうな。かなり強力な媚薬入れといたから。…冷ましてほしいか?」
「んむ…っ…んん…」
口から垂れる涎を舐め取りながら深く口づけられる。無抵抗でされるがままの俺は甘寧の舌に翻弄されまともな思考ができなくなりつつあった。
今はただ、快楽に溺れていたい…。
口付けられただけで自身は反応し、徐々に頭を持ち上げてくる。
甘寧が口を離すと、銀の糸で繋がった。
「甘寧…」
「…。…愛してるぜ、凌統…」
―え…?
本当に小さな呟きだったけど、今、確かに…。
「…っ…甘ね…ぃっああああぁぁ!!!」
「…っく!」
身体に激痛が走る。
慣らしてもいない秘部に無理矢理熱く滾る甘寧自身を押し込まれた。そのせいで秘部は切れ真紅の血が流れる。
だが、それを利用してずんずん奥に入ってくる甘寧。俺はあまりの痛みにただ涙を流し泣き叫ぶことしか出来なかった。
「痛…っ…いたあぁ…ぁ…甘ね…ぇ…」
「…キツイな…やっぱ…」
「ぃや…っ、はぁん!?」
「…は、ここか…」
「い…っ…ああん…何ぃ…」
痛みしか感じなかったのに、ある一点を擦られると身体がビクッと跳ね快感が起こる。何かも分からず戸惑っていると、甘寧は集中的にそこばかりを狙って腰を動かし始めた。
「ああん、んっ…ひゃあ…」
いいところばかりを突き上げられ、痛みで萎えていた自身も勃ち上がる。
それに気づいた甘寧は、空いている手を自身に添え激しく上下に動かしてきた。
「いやああぁ…あぁん…あうぅ!!」
「前も後ろも、グチャグチャだな…っ」
「やぁ…甘ね…も、イっちゃううぅ…!!」
「俺も限界…っ」
そう言って甘寧は勢いよく俺の最奥目掛けて突き上げた。
「ひゃああぁぁ!!!」
「ぅ…っ!!」
その衝撃で俺は自分の腹に思い切り精を放った。
甘寧も短く呻くと中に熱い飛沫を流し込んだ。
その後も薬が抜けるまで俺たちは何度も重なりあった。
様々な体位に変えられながら、俺は始終喘ぎ続けた。
行為が終わったのが何時かなんて覚えてない。
気がついたら甘寧の寝台で横になっていた。
『愛してる』
あの時の言葉、本当なのだろうか。
でも、俺とはただの遊びなのだろうから。
届かない想いだって、わかっているから。
この関係を続ければ、甘寧の傍に居られるんだ。
だから俺は、何も言わないよ。
甘寧。
好きだから、傍に居させて。
好きだから、もっと抱いて。
甘寧。
愛してるよ…。
end
あとがき
過去作2作目。
まぁ、こういう話も一つぐらい...という邪な思いから持ってきました。
『実る想い』に続きます。