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下剋上、不可能。



 ばふんとベッドにダイブしようとして、やっぱり止めた。的となるベッドが何だか柔らかそうに見えなくて、それならベッドに腰掛けて携帯を弄る彼に抱き付いた方が確実に得だと思ったからだ。
 まあ抱き付いたら抱き付いたで、彼はきっとありがたい反応をしてくれない。大方暑いと言って俺を引き剥がすのだろうが、それは単なる照れ隠しだと俺はきちんと知っていた。大体最近は天気も悪く寧ろ寒いくらいなのだから、暑いだなんて言い訳は通じないのだ。当然、断固拒否である。そうしてそのまま彼を組み伏せればあら不思議、あっという間に形勢逆転。おお、これはいけるかも知れない。


 俺は今日こそ彼を抱く側に回るべく、今の今まで自身の脳内で繰り広げられていた妄想ワールドを参考にしつつ行動に移す。少しだけ勢いを付けてぎゅう、と彼に飛び付けば案の定、離れろと冷たい声。やーだ、離れない。思いの外甘い声が零れて少し焦った。彼の視線が俺を絡め取る。嗚呼、早くしないとまたいつも通りの結末に終わってしまう。
 俺は逸る心を更に急かしながら、後ろに待機するベッドに彼を押し倒す形で倒れ込んだ。ぽふん。ちょ、重い!と慌てふためく彼の表情が覗く。にんまり。頬が緩み始めた所で、触れるだけのキスを贈ってやった。うわあ、可愛い。流石俺のぱちー。


「ねえぱちー」
「…なに」
「今夜は上が良いなあ、俺。喘いでるぱちーが見たい」
「却下」
「なんで。てゆーか復活早過ぎ、もうSモードかよ」
「…あのさあ。一応言っておくけど、俺、未成年」
「……」
「てな訳で俺が上」
「俺の年上としての威厳は」
「そんなの眉毛にないし」


 それじゃ、頂きます。にやり、と彼は未成年の癖に艶めかし過ぎる表情で舌なめずりをして、そう囁いた。徐々に距離を詰める微熱をふいにもどかしく感じてしまう。くそう、悔しい。次は絶対に食ってやるんだからな。








あとがき
ぱちーくんフェスに間に合うはずがなかった。フェス中にぼそっと呟いた会話文を引用して来たんですが、いつの間にかぱちーくんに公式RTされてて驚いたのは良い思い出。まゆくんが年齢非公開ですので、勝手ながらまゆくんが年上な設定にしてしまいましたごめんなさい。書いていて楽しかったです、たまにはこういうのも良いですね。



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