うさきちにあいたい
ねこのしゅんすけは、そうほくにすんでいます。
おきにいりは、おおきいいまいずみにかってもらった、うさぎのもうふ。
しゅんすけは、おおきいいまいずみからもらった、うさぎのぬいぐるみともうふをみながら、「いつか、ほんもののうさぎさんにあいたい」と、おもっていました。
あるひ、はこがくにうさぎがいることをききました。
しゅんすけは、いてもたってもいられません。
そのはなしをきいてから、ずっとそわそわして、さかみちにいいました。
「はこがくには、うさぎさんがいるらしい」
「わあ!うさぎさん!?」
「ああ。とってもあいたいんだ」
さかみちも、しゅんすけからきいて、「うさぎさんにあいたい」と、おもいました。
2ひきは、はこがくになかよしのともだちがいる、ゆうすけにそうだんしにいきました。
ゆうすけは、おおきいまきしまさんにそうだんして、まきしまさんは、はこがくにでんわしてくれました。
はこがくのうさぎ“うさ吉”と、なかがいいねこ・はやとが、
「うさぎは“せんさい”なんだ。しずかに、やさしく、はなしかけられるかな?」
といい、しゅんすけが、「はい!」とへんじをすると、
「じゃあ、会いにおいで」
と、いってくれました。
ついに、はこがくに、うさぎにあいにいくことになったのです。
しゅんすけは、うさぎさんとなかよくなるために、キャベツとにんじんをプレゼントすることにしました。
うさぎのだいすきなものだと、きいたからです。
はこがくにつくと、はやとがうさ吉に、あわせてくれることになりました。
いよいよ、ごたいめんです。
しゅんすけは、うさ吉のからだをそっとなでました。
ふかふかのけ、あったかいからだが、しゅんすけの手にふれました。
しゅんすけは、とてもうれしそうです!
さかみちも、うさ吉をなでます。
さかみちもうれしそうです。
しゅんすけは、うさ吉にキャベツとにんじんをプレゼントしました。
うさ吉はうれしそうに、しゅんすけの手からそれをたべました。
しゅんすけは、とてもしあわせでした。
ついに、ゆめがかなったのです。
ゆめがかなったしゅんすけは、それはそれはしあわせでした。
おひるごはんをたべてから、じんぱち、やすともたちといっしょにあそび、はやととうさ吉のはなしをいっぱいしました。
さかみちも、ゆうすけも、うれしそうです。
でも、しゅんすけは、ずっときになっていることがありました。
それは、しょうきちのことです。
しょうきちは、こうふんすると、おおごえをだしてしまうので、うさ吉をおどろかせないように、きょうはおるすばんでした。
さいしょは、いやそうにしていましたが、ゆうすけに、
「そうほくを、まもるっショ」
といわれ、るすばんをすることになりました。
しゅんすけは、きになります。
いつもけんかしているからこそ、しゅんすけは、しょうきちがいないことが、きになりました。
しゅんすけは、はやとにおねがいしました。
「あの、はやとさん」
「なんだい?」
「あの……ともだちに、おみやげをもっていきたいんです」
はやとは、なっとくしたようににっこりわらって、おみやげをくれました。
そうほくにかえると、しょうきちがまっていました。
「ちゃーんと、そうほくをまもっとったでー!」
きんじょうさんや、たどころさんと、たくさんあそんでいたそうです。
「しょうきち」
「なんや」
「……おみやげ」
しゅんすけは、しょうきちに、おみやげをわたしました。
それは、はやとからもらった、しょうきちのすきな“ねこチーズ”でした。
「ほ、ほんまに、もらってええんか!?」
「ああ、くえよ」
「お、おおきにな!!」
「……しょうきち」
「おん?」
「こんどは、いっしょにいこうな」
しゅんすけがすこし、りっぱなねこへと、せいちょうした日でした。
(おしまい)