小説 | ナノ
A
「つーちゃんちゃんと食べてる?」
「食べてるよ?」
「昨日何食べた?」
「カレー」
「一昨日は?」
「カレー」
「俺もつーちゃんのカレー食べたい」
「ダメー」
「・・・カレーのノリでダメー言うなよ」
「えへー」
えへーって! かわいい!
じゃなくて!
「つーちゃんさ」
「んー?」
「なんでいつも夕飯前に帰らすの?」
「えー?」
「えー?じゃなくて、俺真剣なんだけど・・・」
後ろから抱きしめたままの状態から、体を起こし、正面を向くようにした。
ちょこんと座る彼女は可愛いけど、今は我慢。
「俺のこと嫌い?」
「ちがう」
「じゃあなんで?」
「・・・」
「司が良いっていうまで待つつもりだよ。 司のこと大事にしたいし。 でもさ、はぐらかされると不安になる」
「・・・ごめん」
あー、別にそんな顔させたくて言ったわけじゃないのに。
泣きそうな顔しないでくれよ。
「わたし、そうちゃん大好きだよ・・・
ご飯一緒に食べたいし、夜遅くまで二人でだらだらしたいし、その、え、えっちだってしたいよ・・・」
「そうなん?」
「うん、そうちゃん大好きなの」
「じゃあなんで、したいことガマンしてるの?」
「そ、それは・・・」
「言ってみ」
泣きながら思いの内を話す彼女が愛しくて、申し訳なくて、謝罪の意を込めて額にキスをしてあげたら、それで安心したのか、ぽすんと俺の胸に体を預けてきた。
「わたしね・・・」
「うん・・・」
彼女がどんなことを悩んでいたのか、ちゃんと受け止めてあげよう。
結果によっては長期的に待つかもしれないけど、それでもかまわない。
「わたしね・・・」
「か、カレーしか作れないの」
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