04.抱きしめてもいいですか




「ねえ、ヒロ」

「なんですか?」

「私達さあ、付き合ってもう半年、だよね?」

「あー、そうですね、もうそれくらい経ちますね」

「…うん」

「どうかしましたか?」

「……えっと。その、ね?は、半年も経つのに、その…手繋ぐくらいしかしてないなあ、なんて、思…ってさ」

「そ、そう、ですね」

「…その、もしかして…さ?ヒロ、私のこと……ほんとは、好きじゃない?」

「そんな事ないです!す、好きです!」

「で、でもっ……だ、だって、そういうの、嫌だからしないんじゃないの?」

「嫌じゃないです、したいです……けど」

「けど…?」

「…その……勇気が、出なくて…」

「勇気…?」

「僕、一緒にいるだけでドキドキして、幸せで…なのに、もっと触れたいって思うんです。でも、そういうの、してもいいのかなって……嫌がらないかなって思うと、勇気が出ないんです。だから、その…手を繋ぐのが、精一杯で…」

「……そ、そうなの…?」

「で、でも!もし、もしも……もう少しだけ、触れてもいいのなら、」










抱きしめてもいいですか

(そんなの、良いに決まってる)


title by鏡花水月さま