16
彼女に真意を問いました。
「そういえば、この間から気になってたんだけど…」
「なんですか?」
「なまえちゃんって確か、元々女バレのマネージャー志望だったんだよね?」
「あ、はい。一応」
「女の子苦手なのに、どうして女子部のマネージャーをやろうと思ってたの?」
「…それは…その……」
「…あ、ごめん、聞かれたくなかったかな…?」
「いえ、そんな事は……、私はただ、兄貴から離れたかったんですよ。烏野に来たのも、男バレに入る気がなかったのも、兄貴を避ける為でした。でも…」
「でも…?」
「私、バレーが好きなんです。すごく。だから、たとえ苦手な女子しか居なくても、バレーボールからは離れたくなかったんです」
「なまえちゃん…」
「結局はこうして男バレに入ることになりましたけど、今は後悔してません。大好きなバレーと、王様じゃない影山と……最高のチームが、ここにはあるから」
「…なまえちゃんは、本当にバレーが好きなんだね」
「はい、大好きです!」
先輩と同輩がやっぱり騒がしいです。
「おい見たかお前らなまえが笑顔だぞ満面の笑みだぞ!?」
「なまえがあんな嬉しそうに笑ってんの、おれ初めて見ました……なあ、影山は見たことあんの?」
「……」
「影山?」
「っ、あ?何だよ」
「だからぁー、なまえがすげー笑ってんじゃん?あんなに笑ってんの、お前なら見たことある?」
「……いや…見たことねえ」
「えっ!影山でもねーの!?」
「…ない」
「じゃあすげーレアなんじゃね!?どうやったらあんな嬉しそうな顔すんだろ!?」
「んなもん俺が知るかよ」
「だよなー。お前じゃ逆に怒らしてばっかっぽいしなー」
「なんだと日向ボゲェ!」
「イテッ!なんだよ、ホントのことだろー!?」
「……あの、潔子さん……」
「無視」