09
青城に着きました。
「……菅原先輩、大丈夫ですかね、翔陽」
「うーん…大丈夫じゃなさそうだべや…」
「皆してあんなにプレッシャー掛けたらメンタル保たないことくらい見れば解るのに…なんなんですかね、あの人達は。馬鹿なんですかね」
「馬鹿なんだよなー。残念ながら」
「なあ、一年と田中どこ行った？」
「え？」
「あいつらなら、先に行った筈、だ…けど……」
「……」
「……」
「……」
「……はあ」
「…私、探してきます」
「いや、俺も探しに行く」
「じゃあ俺も行くべ」
「ったく、どこ行ったんだ…」
「あ、澤村主将、あそこに」
「なっ……お前ら！ちょっと目ぇ離した隙に…！！」
「ちょっと、何してるのよアンタ達…」
「別に何も」
「スンマセン、失礼しました！！」
「あ、イエ…」
「田中その顔ヤメロ！！」
「全く…山口、せめて月島のストッパーくらいはしときなさいよ」
「えっ、ご、ごめん」
「ほら、さっさと行くわよ。影山も、」
「久し振りじゃねーの、王様」
「！！」
「そっちでどんな独裁政権敷いてんのか、楽しみにしてるわ」
「……(金田一、か…)」
「……ああ」
「！」
「……」
「……なんだあいつ、大人しいふりしやがって……ん？」
「ちょっと成長したんじゃない、影山」
「うるせー」
「おい！そこの女子…」
「！」
「お前、もしかして……なまえか？」
「…………はあ」
金田一に即バレしました。
「えっ、マジでなまえかよ！」
「…久し振りね、金田一」
「なんでなまえがここに…もしかして、男バレのマネやってんのか？及川さんには女バレのマネって聞いたけど…」
「あー…色々あったのよ、頼むからそこら辺触れないで」
「お、おう。つーかその格好…また及川さん対策か？」
「そう。私が来てること、絶対兄貴には言わないでよね！？」
「言わねーけど、及川さん昼に足捻ったらしくて、さっき病院行ったぞ」
「えっ、うそ。じゃあ試合出ないの？」
「わかんね。足平気だったら出るって言ってたけど、間に合うかどうか…」
「そう…まあ、居ないならそれに越したことないか」
「でも本人はなんともないって言ってたから、途中参加になりそうだけどな」
「……金田一。私の事は、絶対に、誰にも、秘密よ？」
「おう、分かってるよ」
「国見や一くんが気付いても、何も言わないでよ？」
「あの二人なら大丈夫だろ。でもまあ、そうする」
「……頼んだわよ」
「任せろ」