05


月島と山口が入部しました。




「おーい、なまえ!ちょっといいか?」

「はい?なんでしょうか、主将……ああ、新入部員ですか?」

「ああ。こいつらが昨日言ってた、今日から入部の一年生だ。で、こっちはお前らと同じ一年のマネージャーな」

「初めまして、なまえです。よろしく」

「…月島です」

「俺は山口忠です!よろしく、えっと…なまえ、さん?って、下の名前だよね?」

「苗字で呼ばれるの嫌いなの。それと、呼び捨てでいいわ、なまえって呼んで」

「分かった、よろしく、なまえ」

「ん、よろしくね、山口、月島」

「…及川さんってさ」

「……月島。出来れば名前で呼んで貰える?ていうか苗字教えた覚えないんだけど」

「今日初めて会った女子をいきなり名前で呼ぶほど、フレンドリーには出来ないもんでね」

「…その初めて会った女子の苗字を教えられてもないのに知ってるのも、問題だと思うけどね。で、何?」

「及川さんって、北一出身だよね」

「そうだけど、それが何?」

「…"王様"のマネージャー、してたんデショ?」

「!?おい、月島!」

「いいです、主将。構いません……月島。私は、王様のマネージャーなんてしてないけど?北一の男バレでマネージャーしてただけ」

「同じデショ」

「同じじゃないわよ。ていうか、さっきからなんなのアンタ、初対面なのに私の事そんなに知ってるとか、ストーカーなの?」

「ツッキーはストーカーじゃないよ!」

「山口うるさい」

「ごめんツッキー!」

「……聞きたいことはそれだけ?だったら私もう行くわよ。清水先輩の手伝いしなきゃ」

「及川さんって、なんで王様に付いてきたの?」

「…はあ?」

「北一バレー部出身の人って、ほとんど青葉城西に進むよネ。なのに、なんで及川さんは烏野に来たわけ?」

「別に、私はプレイヤーじゃないし。ていうか、なんでアンタに教えなきゃいけないわけ?アンタには関係ないでしょ」

「まあそうだけど」

「なら関わんないで。ウザい」

「ちょ、ちょっとツッキー、なまえ…!」

「おい。お前ら、その辺にしとけ」

「…すみません、主将」

「……スミマセン」

「ったく、練習始めるぞ。なまえも、もう戻っていいから」

「…はい」










第一印象は最悪でした。


「ああもう、マジでなんなのよ、アイツ…女みたいに嫌味ばっか言って…ムカツク…」
「あ、あのっ、なまえ!」
「…山口、どうしたの?」
「いや、その…さっきは、ごめん…」
「え?ああ、月島のこと?山口が謝ることじゃないわよ」
「でも…」
「そりゃあ腹立たない訳じゃないけど、嫌味なら慣れてるから、気にしないで」
「っ本当に、ごめん…」
「だから謝らないでよ」
「で、でもね、ツッキーも、悪気があって言ったんじゃない、と、思う…し……」
「尻すぼみになってるわよ」
「う…」
「……山口は、月島のことが好きなのね」
「へ?」
「月島のことを大切な友達だと思ってるから、こうやってわざわざ私に謝りに来たんでしょ?ツッキーのためにさ」
「ご、ごめん、そういうつもりじゃ…!そりゃ、ツッキーのことは好きだけど、謝りにきたのはなまえが嫌そうにしてたからで…!」
「…アンタ、本当にイイコね」
「えっ!?」
「いいわ。山口に免じて、月島は許す。これでもうこの話は終わり。分かった?」
「え、えと」
「分かった?」
「…わ、わかった」
「ん。月島のどこをそんなに気に入ったんだか知らないけど、山口がそこまで大事にするんなら、いい友達なんでしょうね」
「!うん!ツッキーはすっごくかっこよくて、バレー上手くて、俺の憧れなんだ!ちょっと口悪いけど!」
「ちょっとどころではないと思うけどね」
「なまえも、ツッキーともっと仲良くなったらそう思うよ、きっと!」
「……そう、ねえ」

仲良くなんて、できるのかしらね。