03
男子バレー部に入部しました。
「……結局入部してしまった…」
「いいじゃねーか」
「よくないわよ!つーかアンタ、人を無理矢理勧誘しといて自分がまだ入部出来てないって、マジなんなの?ナメてんの?」
「うっ…これは日向が…!」
「人のせいにすんな。菅原先輩に聞いたけど、二人して主将ガン無視して喧嘩した上、教頭怒らせたんだって?いったい先生に何したか知らないけど、初日からやらかすとか有り得ないわ」
「うっうるせー!大体あれはアイツがっ、」
「ほらまた人のせいにする。いい加減にしとかないと、本当にセッター出来なくなるわよ?」
「……っ、」
「影山のその自己絶対的思考と、熱くなって周り見えなくなるところ、直した方がいいわよ。アンタの悪いとこなんだから」
「…んなこと、言われなくても…」
「分かってないのよねー、アンタは。ほんとバレー馬鹿」
「んなっ…!」
「日向、だっけ、あの子。いい子だよね、いろんな意味でさ」
「あ?何がだよ」
「アンタとは正反対に、真っ直ぐで明るくて、人懐こそうで。磨けば光る原石ってやつ?あとなんか可愛いわよね」
「そうか…?」
「そうなの。で、去年のうちとの試合で初めて見た時にさ、ちょっと期待したのよね。もしもチームに…相棒に恵まれれば、きっと化けるぞ、ってさ」
「……アイツは、駄目だ。才能があっても、選手としてはまるで使えねえ」
「今はね。使えないなら使えるように鍛えればいいだけでしょうが。何の為の猶予期間だっつーの。アンタ最近、ぼっち拗らせて更に馬鹿になってない?」
「んだと!?」
「すぐキレるとこも直した方がいいわよ。ほら、ぐんぐんヨーグルやるから黙って飲みな」
「……お…おう」
「(ちょろいな)まあ、程々に仲良くしなさいよ。チームメイトなんだから」
「…俺は、認めてねーし」
「またそういう事言う…なんでアンタはそう頑固なんだか」
「別に頑固じゃねーよ」
「じゃあ日向にトスあげてやんなよ」
「それは嫌だ」
「ほら頑固じゃないの」
「うっ…うるせー!ちげーよボゲぇ!」
「だから逆ギレは……あーもーめんどくさいわねアンタ!ほら、私の唐揚げ分けてあげるから、これ食べて黙って」
「……おう」
「(やっぱちょろいな)」
影山と話しました。
「ねえ影山、日向練習してるわよ」
「あ?」
「ほら、あれ。菅原先輩とレシーブ練してる」
「…全然なってねえ」
「今はね」
「使える気がしねえ」
「今はね」
「勝てる気がしねえ」
「今はね」
「……チッ」
「いい加減折れなさいよ、このぼっちが」
「うるせえ!つーかさっきも言ってたけど、ぼっちってなんだ?」
「友達いないってことよ」
「は?友達ならいるだろーが」
「え!?嘘、アンタ友達いたの!?」
「なに言ってんだ、なまえは俺の友達だろ?」
「……ああ、そうね、そうだったわね…」
「?」
不覚にも、ちょっと、嬉しかった。