02
影山に嵌められました。
「ちょっと!影山!!」
「お、やっと来たか、なまえ」
「別に来たくて体育館来た訳じゃないわよ!アンタ私の入部届けどこやったのよ!?全然見付かんないんだけど!」
「もう一緒に出しといたぞ」
「はあ?一緒にって、どこに…?」
「バレー部」
「……まさか、あんた…」
「おいお前ら、あんまうっせーと大地さんに…って、うお!?女子!?しかもカワイイ…!」
「あ、田中先輩」
「もしかして、この子が例のマネージャー志望か!?」
「え!?いや、私は「そうっす。こいつ、バレー部のマネージャーやりたいって」っ影山あぁ…!」
「そーかそーか!ドーゾお嬢さん、入った入った!」
「え、いや、私はっ…!」
「あっ、影山はまだ入ってくんなよ!?」
「…うす」
「大地さん、スガさん!一年のマネージャーの子来ました!!」
「おお!そうか、来たか!」
「待ってたべー!」
「待ってたって…あの、私は…」
「俺が主将の澤村大地だ。よろしく」
「俺が副主将の菅原孝支!えっと、入部届け出してくれた及川なまえちゃん、だよな!」
「えっ、入部届け…アイツやっぱり勝手に…!」
「そういえば、清水どこ行った?」
「もうちょい新入生勧誘してから、武ちゃんとこ行くって言ってたけど」
「そうか、ならまだ暫く戻ってこないな」
「……あの」
「じゃあ及川さん、先にジャージに着替えて来て貰えるか?」
「……あの!ひとつだけ宜しいですか?」
「ん?」
「私の入部届け、見せてもらっていいですか?」
「え?ああ、いいけど…はい」
「……」
「どした?」
「…………やられた」
「え?」
「…ちゃんと"女バレ"マネって書いてたのに…"男バレ"に書き換えられてる…」
「え?女バレ…?」
「あ、ほんとだ。"男子バレー部"の"男"の字だけ筆跡違うべ」
「影山のくせに…影山のくせに、こんな小細工考えるなんて…!」
「……大地」
「ああ」
「すみません先輩、私やっぱり入部は…っあ!」
「はい、時間切れな。入部届け回収ー」
「ちょっ、菅原先輩!それ返してください!」
「まあまあ、これも何かの縁だ、体験入部くらいしていったらどうだ?」
「澤村先輩…いや、でも私、男バレは…」
「な?」
「……」
「な?」
「……す、少しだけ、なら…」
「よし!そうと決まれば、よろしくな、及川さん」
「…なまえでいいです。名字で呼ばれるの、好きじゃないので」
「ん、じゃあ、なまえちゃんな!」
「とりあえず、今日は体験入部って事で。スガ、更衣室に案内してやってくれ」
「りょうかーい。さ、こっちだべ!」
「……はあ」
先輩達に流されました。
「菅原、この子は?」
「お、清水!丁度良かった」
「初めまして、一年のなまえです。今日は体験入部で「新しいマネージャーの子だべ!」は!?ちょっ、菅わ「本当?良かった、今のマネージャー私一人だけだから…助かる」いや、私は、その…」
「私は三年の清水潔子。よろしくね、なまえちゃん」
「……よろしく、お願いします…」
「(勝った)」
謎の威圧感に屈した。