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町内会チームと試合です。
「坂ノ下商店のひと、烏養元監督のお孫さんだったんですね」
「そうみたいだね。でも、コーチがついてくれて良かった」
「期間限定らしいですけど…」
「それでも、指導者がいるのといないのとでは大違いだよ」
「…それもそうですね。そういえば、烏養監督の頃はどんなふうだったんですか?」
「監督は…すごく厳しかった、かな。短い期間だったけど、練習に耐えきれなくて辞めちゃった部員もいたくらい」
「そんなに厳しかったんですか?」
「うん。でも、それを乗り越えて頑張ってきたメンバーは、あの時期で確実に力がついたと思う」
「そう、なんですか」
「またコーチがついてくれて、今年はいい合宿になりそうだね」
「はい。でも…その前に、この一戦、ですね」
「……うん」
「潔子さん、心配しなくても、大丈夫ですよ。東峰先輩は、まだバレーが好きだと思います。だから、きっと戻ってくれます」
「…うん、そうだね。ありがとう、なまえちゃん」
新生烏野バレー部の完成です。
「良かったですね。西谷先輩も、東峰先輩も戻ってきて」
「うん。これでやっとチームが揃った。なまえちゃんの言う通りだったね」
「…バレーが好きなら、きっかけがあれば戻りたいと思うのは当然ですから。確信したのは、今日のプレーを見てからですけど」
「……ふふっ」
「?潔子さん、どうかしましたか?」
「ううん…試合を見てる時のなまえちゃん、すごく楽しそうだったなあって思って」
「え…そう、ですか…?」
「うん。西谷のブロックフォローとか、東峰のスパイクとか見た時のなまえちゃん、すごくきらきらしてた」
「えっ、そんなこと、ないと思います…けど…」
「恥ずかしがらなくても良いよ。うちのバレー部はやっぱりすごいんだって思って貰えたら、嬉しいな」
「それは…思いました、けど」
「ふふ、だったら良かった」
「……このチームはきっと、もっと強くなります」
「うん」
「誰一人欠けても駄目。全員が揃った今日からは、もっともっと、良いチームになると思います」
「…うん。私も、そう思うよ」
そう、このチームなら、きっと。