今日も、君に愛を囁くよ。





「ねえ、守ー」
「なんだ?」
「好きー」
「俺も、なまえのこと好きだぜ!」


にっこり笑う彼は、きっと、あたしが言った"好き"の意味を理解出来ていない。
彼の言う"好き"は、風丸が好きとか、豪炎寺が好きとかの、そんな友愛の意。
あたしの"好き"とは、違う。
だけどあたしは、最近薄っぺらくすらなってきている愛の告白を、止めようとは思わない。

だってね、俺も好き、なんていうその言葉に、ちょっぴりフィルタを掛けて聞くと。
なんだか、"愛してる"に、聞こえちゃうでしょ。なあんて。
まあ、馬鹿馬鹿しいとは、自分でも思うけど。
でもきっと、彼を振り向かせる事は、あたしには難しいから。
唯、気休め程度の、あたしの癒しになっている。


「好きだよ、守、大好き」


そう言うと、やっぱり彼は、


「俺も好きだぜ!」


なんて。
そうやって、愛しくて堪らない笑顔で言い放つ。
ああ、切ない、けれど、嬉しい。
まるで麻薬みたいに、その言葉が脳内に心地好く染み込む。

だから、あたしは、






(叶わないのなら、せめて刹那の夢を)