2:hide-and-seek











「あー?」


「だ〜か〜ら〜この写真に写ってる奴見たことないかって!」

「あぁ〜?」

日の入りを迎えたセントラル。

表通りを賑わす商店の大半が店をたたみ始めている、そんな頃だ。

と或る露店の前で、エドは一枚の写真を片手に眉間に皺を寄せていた。
写真にはあどけない少女の微笑みが映し出されている。

商品である山積みの林檎の上で、老人は眼鏡の縁を押さえながらそれを凝視していた。


「あー…、あー…!この娘なら見たかもしれん」

「ほんとか!?いつ何処で!」

「確かぁ〜…昨日…いや待て、あれは三十年ほど前だったかのう」

「…さ。だぁああああ!!っもういい!!」


「あっ兄さん!」

憤慨しながら店を去るエド。

アルは店の主人にぺこりと会釈して、エドを追いかけていった。







「もう、最後まで話聞かなくて良かったの?」

「あんなボケじいさんに付き合ってたら朝になるっつうの!」

ずんずんと大股で歩みを進めるエド。


「期待はしてなかったけどほんっとに誰も知らねぇな」

「この辺りは殆ど聞いて回ったよね…」

はぁ、と二人は盛大な溜め息を吐く。




聞き込みを始めて早幾月か。


容易に何か掴めるとは思っていない。
だが時々、何年も前の出来事をあてにセントラルに拘っていいものかと自問したくなる。

かといって他に手掛かりは見つからない。


「こりゃ数年前に死んだことになってる分、余計に情報が掴みにくいかもな」

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