2:hide-and-seek





青年が部屋に入ってきた刹那、
ただならぬ空気にラストは眉を顰めた。





常日頃から内に存在する底知れない悪意と闇を覆ってきたエンヴィーの面。


何故だろう。
彼の持つ妖しい容貌が今、殊更一切の感情を殺すように執拗に塗り込まれている。


その様はまさに異様だった。



「どうしたの」

彼が自分のところに来たのは間違いなく仕事の報告の為だ。
何か良からぬ事態でも起きたのか。

ラストは一度声を掛けたきり青年の言葉を待った。



今しがた閉じた扉にもたれ、エンヴィーは伏せていた目線をよこす。




「ねぇ。あいつの出身、何処だったっけ」

突然の問い掛けは思いも寄らないもので。
ラストはあからさまに分からない、という顔をした。


「…あいつ?」



「あいつだよ、…あのクソガキ……未登録の」

俄かに不快な色が青年の貌に刻まれ、感情が浮き彫りになる。



「あいつを監視役にしたのは、とんだ人選ミスだったかもしれない」



そう言ったエンヴィーの口元は、至極忌々しげに歪められていた。

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