1:凄涼

「僕だって信じたくない…でもお墓を掘るなんて未登録が可哀想だ」

エドの顔が苦悩に歪む。
下ろしたシャベルが、ざくりと地面に食い込んだ。


「………そうだな…」

アルの言葉だからこそ心を静められるのだろう。
エドは力なく呟いてその場にシャベルを捨てた。



そして、やりきれない気持ちを胸に村を後にし、二人は東方司令部へ赴くことを決めたのだった。







二人が通り過ぎた道の傍らに、ぽつりと一軒の空き家があった。
その空き家は真新しい外観でありながら所々歪に変形し、辺りは雑草に覆われていた。


固く閉ざされたドアには蔦が登り、立ち入り禁止の看板が音もなく揺れていた。












「今回はまた随分と遅い報告だな」

ロイはデスクに詰まれた報告書を前に言った。

「生憎多忙なんでね」

「帰郷ついでに寄り道をしてきたそうだが、探し物は見つかったのかね」

「……。」

二人の動向は筒抜けのようで、エドは不服そうにソファーに座り込む。
その横にアルも腰掛けた。


「ところで、君達はウォルター・バートンという人物を知っているかね」

「バートン?」

聞き覚えのある名だった。
少し経って二人の頭に浮かんできたのは幼馴染みの父親のことだ。

「知ってますけど、その人が何か」

「国家資格を取るよう勧めていたんだが急に消息が掴めなくなってね」

「え?国家資格って、おじさんが錬金術を?」

二人は驚きを隠せなかった。
知っていれば過去に教えを乞うていただろう。


「あいつ、そんなこと一度も…」

エドは心外そうに未登録の事を思う。

「あいつとは君達の捜しているバートン氏の娘さんのことかな」

どうやら全てお見通しらしい。
ロイは独自に調査を行い、あの村で事件の第一発見者から話を聞いたのだという。

「酷い有り様だったらしい。発見された当時夫妻は血塗れで、一階は血の海だったと」

「……っ…」

アルは堪えるようにきつく拳を握り締める。

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