0:Prologue 逃げようとしないから、 手に入れた気になってたんだ。 見たことが、なかった。 それは理由になるだろうか。 記憶にある限り、 俺は鳥の笑う顔という奇怪なものを想像した試しがなかった。 想像力のなさは、 時として有害。 少なくとも今、 俺はそう思わされている。 鳥籠より願うこと 〜Prologue〜 元来より、 俺はその顔を恐怖で染め上げることを好んだ。 闇の中に引き摺り込んでやりたかった。 必要ならば嬲って、 壊して汚して、 乱して。 その都度この世の終わりのように震える身体。 こちらを見上げて怯える瞳が最高だった。 もっと、 大袈裟に引き攣るその顔が見たい。 それ以外の衝動なんてない。 それ以外に興味なんてない。 ある筈がない、と。 想像しなかった。 だから今になって。 俺は此処に、 立ち尽くしているのだろう。 [page select] [目次] site top▲ |