1:birthday cage








「未登録、プレゼントは何が欲しい?」


「そのドレス、とってもよく似合ってるわ」




当たり前のように其処にあった毎日が、突然終わるなんて考えたこともなかった。
戻れもしないのに思い出す。
大切なものを粉々に壊されたあの日。


その日はとても良い天気で、私の12歳の誕生日だった。









鳥籠より願うこと













「さあ着いたわ」  

どうして、こんなことになったのだろう。
黒髪の女性に連れられて、未登録はと或る建物の中。
薄暗い陰気な廊下を進めば何処からか聞こえる動物の鳴き声。


見たこともないような、殺伐とした場所。



「此処が貴女の部屋よ。食事は後で運ばせるわ」

案内されたのは簡素なドアがついた小さな部屋の前。
お父様に報告しなくちゃね、と彼女は一言呟くとヒールの音を響かせながら暗い廊下の奥に消えていった。
一人取り残された未登録はしばらくその場に佇み、ただぼんやりと目の前のドアを見つめた。

入りたくない。
だけど一人きりで薄気味悪い廊下にいるのも未登録は嫌だった。
少し錆びたドアノブを回してドアを開くと、全く生活感のない室内が広がる。

白い壁と灰色の見慣れない天井。
老朽を感じる木製の床にぽつんと置かれたベッドは、其処にあるのが不自然に思われるくらい浮いた存在だった。



これはこれから先ずっと、
自分を閉じ込めておく檻のようなもの。

そう思うと、未登録はやっぱり中に入ろうという気にはなれなかった。








「気に入らない?」



突然後ろから聞こえた声に振り返ると、其処にはやけに露出の高い服を着た、黒髪の男が立っていた。

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