2:浅い眠り

見張りは想像以上にハードだった。

兄弟は買い物の後、図書館に篭り、日が落ちてからようやく宿に戻った。
どうしてエドが見張られているのかは分からないが、恐らく錬金術絡みだろうと未登録は思った。
彼女自身も錬金術の腕を見込まれラストに連れてこられたからだ。


段々と夜が深まり寒さが増す中、勝手に帰る訳にもいかず、結局現場にエンヴィーが来るまで未登録は監視を続けた。







次の日―――――。


「何こいつ、どうしたの?」

いつも通り未登録を起こしに来たエンヴィー。


「エンヴィー?お嬢ちゃん起きたの」

「ラスト、なんかこいつ変なんだけど」

「…?」

首を傾げるエンヴィーの後ろから未登録を覗き込むラスト。
見ると、ベッドに寝たままの未登録は、顔が赤く熱りぐったりとしていた。


「…この子、風邪引いたんじゃないの?」

「は!? 風邪〜!?」

明らかに面倒臭そうな声を上げるエンヴィー。

「使えない奴…、放っとけばその内治んじゃないの?」

二人は何か処置を施すでもなく、未登録を置き去りにしてさっさと仕事に出掛けていった。

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