=追加=


抱えきれないココロ/末っ子
無菌室のように整理整頓された、まるで小箱のような真っ白な独り部屋。
常に何処かしらから誰かの気配が漂っているはずなのに、このいく日かの間はぱったりと静か。
誰にも何も伝えてなどいないのに、ベッドの下も天井裏も、机の下もクローゼットの中も、何処にも誰もいない。
当然、天井の灯りから作られた足下の影の中にも。
独りきりの部屋の中で、部屋全体を見渡せる片隅でひっそりと膝を抱える。
眩しすぎはしない部屋の灯りが届く距離ではあるのに、壁に身を寄せるように膝を抱えると自身の影がほとんど見えなくなる。
寄りかかっている壁には、輪郭を写し取るように薄く影が出来てはいるが、自らの身体で隠れて見えはしない。
壁に頭を預け、伽藍堂の部屋に目を向けて。
虚な、視界の中に無機質な部屋を映しだす。
あの、生活感がありそうで無い、住宅展示場の中のテンプレートを引っ張ってきたようにしか見えなくとも、そこで過ごす者への配慮が感じられる落ち着いた部屋ではない。
個性も生活感もなくとも、見慣れた個人専用ルーム。
生活音といったものは聞こえてはこない。
音があるとすれば、自らの呼吸音だけ。
レイシフトの度に何度か経験した喪失感は全て、己だけの感情だとして秘めてある。
提出用のレポートに書くべきでなく、ただの個人的な感想であり感情。
増えていく数多のサーヴァントとの出逢いと縁、その合間に起きる別れ。
一時的だと理解していても辛く、カルデアへ帰還する度に無事な姿を確認しに走った。
特異点での記憶が無くとも、怪我も異常も無い姿で出迎えてくれる都度、胸を撫でおろして深く安堵する。
だのに。
頬を寄せている冷たい壁へ、掌を広げた。
同じ大きさの影は、そこにある。
ただ、それだけ。
影から伝わる魔力はなく、掌が飲み込まれていく感触もない。
それが、普通。
今までが普通ではなかっただけのこと。

「…声が、聞きたいよ。ねえ、何処にいるの」

無音の室内だからこそ耳に届く自身の声は、吐息のように小さく消え入りそうに弱い。
返事が、返ってこないと知っているから。
音楽室で奏でられるチェンバロの響き、風のように早く草原を駆けた硬い獣の毛並みの強さと温かさ、いつからかいつも傍にあった優しい炎。
積極的に表に出て来ることはなくとも、確かに『居る』と居てくれた存在。

LOSTの、重み

ずるずると壁に擦り付けながら、頭を膝に抱え込む。
覚悟を、問うための大事な時間だった。
未来に向かうための、必要な試練だった。
正しい道行には、連れ立っては、いけない存在、だった。
サーヴァントとしての在り方が、成り立ちが、彼等を正しい未来へは連れていけないと。

「ずっと…一緒にいてくれたのに…」

頭では、合理的には理解した。
精神が、心が、ずっと拒んでいる。
どれだけ泣いても涙は込み上げて、泣き腫らして尚も瞼が熱い。
ぽっかりと胸に空いた穴に、蓋はない。
当人達以外の代わりなど、何処にもいないのだから。
身体中の水分が尽きたとしても、涙はきっと止まらない。
時間が、記憶を風化することはない。
未だ時間神殿での無力さを噛み締めている者が、そう簡単に彼等を忘れて笑えるものか。

「運命なら、いなくならないで…傍に、いて…」

誰もいない部屋の隅で泣きながら意識を手放しても、もう、身体を抱き上げてベッドへ優しく寝かせてくれる存在はいない。
あの、温かい腕の中に戻れはしない。
どんなに、請い願ったとしても。
それが、彼らの意志なのだから。


=◆=◆=
■□■
平行世界の俺≠今を生きる俺/次男
「思いの外、顔色が良いようじゃないかね」

医務室で目を覚まし、マシュの無事を確認したマスター。
それはナイチンゲールやネモナースの後ろにひっそりと控えていた古参の老紳士が、ぽつりと誰に告げるでもなくこぼした一言。
精神世界の奥深くで発生した特異点が原因で眠り続けていたマスターの目覚めに、歓喜する職員たちやマシュの様子にも気づいていながら、シルバーグレイのモリアーティへマスターのしっかりとした瞳だけは秘かに向けられてはいたが。
その場での会話は互いに無く、しばらく安静にしているようにとのお達しでマイルームでの謹慎扱いになったマスター。
過保護なサーヴァント達が代わる代わるお見舞いにきて、休まる暇は無くとも気分転換にはなったらしい。
マスターの深層心理の奥深く、無意識下に近い場所ともなれば精神的なダメージの蓄積は通常の特異点よりも負担が大きく免れようもない。

「…と、そう思ってお見舞いにきたのだけれど。君、トラオムから戻ってきた時の方が、ひどく落ち込んでいなかったかね?」

ダックワーズとマカロンという布団の上で食すのにむかない茶菓子を手土産とし、既にお見舞いだらけの簡易テーブルの上へティーポットとカップを乗せたトレイを置く。
入れ替わり立ち替わりの来客で睡魔も遠退いたマスターは、既にベッドではなく椅子の上。
花札やトランプにリバーシが散らばり、賑やかな見舞い客ばかりだったのは一見しただけでも理解可能。

「まあ、サリエリとロボの姿が見えなくなったのは悲しいし、悔しい。けど、それだけ、かなあ。
俺たち、誰もオルタ含めジャンヌや岩窟王とは一度も繋がったことないから」

泣き腫らしたような目の充血も、目元の腫れも無い穏やかな表情だけがモリアーティの目の前にある。
普段よりも少しだけ疲労感が残る顔色の悪さが、今回の騒動を実感させるけれど、それだけしか無い。
拍子抜けしたと軽く唇を尖らせ、伝え聞いた発端の出来事をからかうように口にしてみる。

「おや?彼に呼ばれたから、特異点へと誘われたのではなかったかね」
「呼ばれはしたけど、岩窟王が本当に呼んでいたのは『藤丸立香』であって、『俺』じゃないから。
特異点に行く度に、平行世界のいろんな『藤丸立香』と同調するけど、そのどれも『俺』じゃない。
俺は、いろんな藤丸立香を中から眺めてるだけの、他人。
もしかしたらソロモンの神殿を乗り越えた兄さんなら、『藤丸立香』に共感できたのかもしれないけど。それでも、確実ではないからわからないや」

平然とそんなことを口にするマスターを、咎める者はない。
三兄弟で最も色濃い悪の素質を備えたマスターであり、一番最初にモリアーティを召喚した子供。異聞帯の顕現、白紙化してしまった地球上で真っ先に壊れた精神。いくつもの平行世界が存在し、数多のマスターとカルデアが実在すると知った時の虚無に満ち満ちた表情。今尚、崩折れて発狂しかねない精神を表面上だけ隠した復讐者。
手塩にかけてゆっくりと育んでいる狂気を間近で見つめて、モリアーティは満足そうに目を細める。

「トラオムは本当に、本当に…辛かった。兄さんから預かってたシャーロックがいなくなったから!兄さんと弟がいつ戻ってきてもいいように、俺が二人のサーヴァント達を護ってないといけなかったんだ。なのに、いなくなっちゃうから…。
ホームズはちゃんとカルデアにいたから良かったけど、アレは心臓に悪かった」
「アレは事故のようなものだ、気に病む必要はないとも。
君は君の出来ることを最大限やって来たのだから」
「岩窟王がとても綺麗な夢を見せてくれた今回の特異点は、綺麗すぎて現実感が無かったんだ。都心の広い二階建ての家で、美人な母親と妹に叔母さん。ははっ、岩窟王に愛されてる藤丸立香は恵まれてるんだなあって。
現実感が無さすぎて、夢から覚めるのも早くて…兄弟のいない家族ごっこ見てるのキツかった。
俺は、総てに絶望してなおもあんなに善良な良い子ではいられない。
『藤丸立香』にはなれない」

二十歳に満たない少年は、数多の特異点を経て成長した。肉体でなく、精神の。
深く暗い想いを腹に抱え、磨き抜かれたターコイズの瞳がモリアーティへ据えられる。
この、カルデアにおいて最大級の信服を預けられた共犯者は、唯一人。

「君はそれで良いのだとも。それでこそ私のマスターだよ」


=◆=◆=
■□■
今は亡き人にあてた恋文/次男
『155番目のソネット』は歴史上、存在しないはずの即興詩。
世界の理の外、過去の偉人の影法師を喚び出すことが出来た者だけが知る、有り得べかざる現実。
それは過去に一度、たった一人の為だけに書かれた、甘い言の葉。
二月十四日の特別な日に贈られた、大切な宝物。

着慣れない真っ黒なスーツに身を包み、錫よりも深い鉛色のシャツに真っ黒いネクタイ。
慣れない間は結び方すらわからずに手間取ったものだが、今となっては鏡を見ずとも形が崩れはしない。
櫛で形を整えるように髪を梳き、この一年で長くなってしまった髪の長さを調整する為に鋏をいれる。
鏡の前で慎重に、記憶を呼び起こしながら一ミリ単位の誤差もないように。

「賢王、どう?今年も格好良い?」
「…ああ。寸分違わず同じだ。満足か、雑種」
「うんっ!ありがと。じゃあ、行ってくるね!!」

我が物顔でベッドに寝転がりながらも寛ぎきった表情にはほど遠く、苦しく眉間に皺を刻む古株の一人であるキャスターのギルガメッシュ。
ギルガメッシュからのお墨付きを頂き、彼をマイルームへ独り残して意気揚々と廊下へ出て行くマスターの表情は明るい。
バレンタインデーだから着飾っているのかと、カルデアへ招かれてまだ一年未満のサーヴァント達が、見慣れない格好のマスターへすれ違いざま目を向けてくる。
いつもなら足を止めるなり、すれ違いざまに笑みをくれるマスターだが、その足は止まらない。
すぐさま物陰から訳知りのカルデア歴二年目以降のサーヴァントや、最初期からの古参組達が、マスターへ声をかけようとするサーヴァント達を引き止める。
知ってか知らずか、一定の速度で歩き続けるマスターに足を止める気配はない。
普段の落ち着きのなさとは打って変わったゆっくりと落ち着いた足取りで、五分もかからない距離を、一歩一歩確かめるように歩く。
笑みを浮かべているように見えるその瞳は、何処か遠い。
十五分かけて、作家サーヴァント達の為の書斎を模したシミュレーションルームの中の一画へと辿り着く。
仔細事情を理解している、同じ書斎に居付いているアンデルセンは事前に席を外した。
がらんと静かな薄暗い書斎で微かに聞こえるのは、ペン先が羊皮紙を引っ掻く音。
マスターの来訪を知覚しようとも、出迎えずに机に向うその背中へと近付き。
一歩ずつ踏み出す度に、乾いていないインクの匂いが強くなる。
毛足の長い絨毯は足音も消すが、他人の気配は容易く消せるものでもない。
サーヴァントとマスターなれば繋がった魔力のパスで、気配など関係なくお互いの位置くらいは簡単にわかるのだが。
触れられるほどの近い距離へ辿り着き、真後ろで足を止めた。
静かに振り返ることなく紡がれたのは、戯けても明るくもないシェイクスピアの硬く低い声。

「マスター、吾輩から『貴方』へ贈れる物などありませんぞ」
「うん。シェイクスピアから俺へのお返しはいらない。
俺が欲しいのは『155番目の』ソネットだから」

カルデアに所属する全員分のチョコレートを事前に用意し、個々人へ配り歩いている。
それが、新参のサーヴァント達に伝えられているバレンタイン行事。
薄らと笑むアルカイックスマイルと共に差し出されるマスターの利き手は、空。
広げられた掌だけが、シェイクスピアの前に。
鈍い動きで机から顔を上げ、マスターへ振り返り、その姿に顔を顰めた。

「…お忘れですかな、吾輩のマスターは右利きです」
「ああ、そうだった。ごめん、左利きなのは俺だけだった」

差し出していた左手を下ろし、すぐさま何食わぬ顔で右手を差し出す。
マスターの表情はプラスチックのお面の様に変わらない。
その姿に憐れむような感情がシェイクスピアの瞳を過れども、『バレンタインチョコレートの返礼』を受け取るまではこのマスターは大人しく部屋へ戻りはしないのだ。
親愛でも敬愛でも友愛でも構わないのに、愛情を込めたチョコレートを『このマスター』から貰ったことなど一度も無いのだとしても。
既に書き記し、華やかなピンク色の花で飾った羊皮紙。
155番目の、即興詩。
初めてバレンタインデーの返礼品として贈った時の物と、全く同じように用意した一品。
シェイクスピアの為に贈られたチョコレートの、お礼の品。
苦く顰めた顔を、取り繕いはしない。
差し出された束ねられた羊皮紙を受け取り、この日初めてマスターが殊更に嬉しげな笑みを綻ばせた。
向けられたのはシェイクスピアではなく、両手で大事に抱えた羊皮紙。

「ありがとう、シェイクスピア。シェイクスピアは嫌そうだけど、俺は、コレ大好きだよ」
「ソレに綴るのは、吾輩のマスターへの言葉。
『貴方』へ贈るに相応しい物をご所望なれば、別にご用意いたしましょうぞ」

横に首を振り、瞳を蕩かせ、頬を薄く紅潮させて。
きっぱりと拒否する。

「俺が欲しいのは、シェイクスピアが兄ちゃんに贈った、即興詩。
この即興詩の中には、兄ちゃんが生きてる。だから、俺は155番目のソネットが大好きだよ」
「マスター…」
「安心して、俺からシェイクスピアにチョコレートを贈ったりはしない。
だって、シェイクスピアは兄ちゃんが一番愛したサーヴァントだもの」

カルデアが、南極基地が襲撃され、壊滅し、凍結封印されたあの日。
奇異な三つ子のマスターは兄と弟を失った。
三つ子でありながら、『一人』であったマスター。
カルデアに登録されているのは唯一人だのに、実際は三人で。
三人それぞれで招いた数多のサーヴァント達は、全て今のマスターに引き継がれた。
兄弟の真ん中で一番甘えたでのんびり屋だったマスターの瞳は、たった一日で暗く沈む。
どんな苦境も兄弟で協力していたからこそ明るく笑えていた笑顔だったのに、あの日から貼り付けただけの模造品の笑顔に成り代わった。
特異点Fの時点で心を壊されることなく歩んで来れたのは、兄弟の支えがあったから。
独り、生き残ってしまった今、新しく増えていくサーヴァント達が知らない存在。
白紙化地球を、未来を取り戻さんとするマスターの本当に望むもの。

「待ってて。俺が、全部取り戻すから。
ダヴィンチちゃんも、ホームズも、兄ちゃんも弟も、全部。
その為に世界をいくつ壊しても、絶対に取り戻してみせる」

にっこりと笑むその瞳に、光は無い。



=◆=◆=
■□■
ロスト/次男
人理を修復し、全てが元に戻るハズだった。
ようやく平和が訪れて、皆でパーティーでもしてはしゃぐ予定で頭がいっぱいだったのだ。
なのに。
何故だろう?
全速力で走って逃げながら、真っ白な頭では何が起きたのかすらわからなくて。
はぐれてしまった最愛の兄弟達を、心配する余裕すら無い程に混乱していた。
大好きな義兄のホームズに導かれていても、喜ぶ事すら出来ずに必死に逃げて、逃げて、逃げて。
やっと立ち止まることが出来た時には、振り返る場所すら無くなっていた。

与えられた狭い部屋。朝とも夜とも知らぬ闇の中で、独り。
ボロボロと泣き喚きながら、言葉にならない声をあげて叫んだ。
平和などとは遠く、より過酷な現実に叩きのめされたのだ。
裏切りなど、慣れた。
追われるのにも、慣れた。
襲われるのは、日常茶飯事。
そんな事は、どうでも良かった。
最も精神を抉っていたのは…

「義鳥兄…っ、飛鳥い…っ!!」

行方の知れぬ最愛の兄弟達。
どれ程に強大な難敵だろうと、悲惨すぎる戦場だろうと、恐れずにいられたのは兄と弟がいたから。
いつだって三人で乗り越えてきた、から。
いきなり独りだけに切り放されてしまっても、一人立ちする心積もりも予定も無かったのだ。
頼れる兄と、生意気で強かな弟に一番甘えていたのは自分なのだから。

取り戻せない過去を嘆いて、泣いて、泣いて、泣き尽くして。
赤く腫れた瞼と、隈の目立つ顔で虚ろに鈍る瞳を、暗い天井に向ける。

「返せ…俺の兄弟……」

今までより過酷さを極める戦場が待っている。
そんなもの、どうでもいい。
全てを倒した時、世界はようやく元に戻ると言われた。
ならば。

全てを倒して、取り戻す。

兄と、弟を。

その為なら、世界だって、滅ぼしてやる…!!!


=◆=◆=
■□■
強化/末っ子
「コレを向こうにつけて…いや、あっちの方が有利?
んん゛…」

殊更に険しく眉間に皺を増やし、最近新しく追加されたばかりの『コード』を拡げて唸っていた。
いつでも着け外しは可能だが、高額な費用のかかる追加機能。
三兄弟の兄達は未だに手を着けていない領域。
だが。
稀少度が高く数あるコードを揃えるのも大変だというのに、回復に特化したコードばかりを集めて頭を悩ませている。

「マスター、急ぐ必要は無い」
「ダメだって。
せっかくぶらっどサンを強く出来るんだから、有効活用しないと!」

撃たれ弱いバーサーカーに、回復機能を増やす最上のチャンスを逃すわけにいかない。
新機能の為に強力なコードは少ないが、それでも十分生存率が上がる。

「余に執着するとは…物好きな幼子よ」
「ちょ、子供扱いってひどくない!?
義兄に貸してはいるけど、ぶらっどサンは俺のサーバントなんだから。
強くて格好良くいて欲しいだけだっての!」

喚くように捲し立てた、そのすぐ後。
自分の身勝手で子供じみた発言に気付いてか、僅か俯いた頬が薄紅に染まる。
喉奥で小さく声をあげ、愛しい主の頬に、そっと触れていた。


=◆=◆=
■□■
強化/次男
素材が大量に手に入ったルルハワでの日々を終え、最後まで悪戦苦闘し続けたマスターの手元には当然様々な素材が。
中には貴重なコードや星4フォウカードもあるのだが、稀少種を多く従えるマスターは全てを保管庫へと片付けてしまった。

「おや。良いのかね、せっかくの強力な素材達だろう?
私やその他のサーバント達に使えばもっと戦いやすくなるだろうに」
「あー…まあ、そうなんだけど。
貴重すぎて使いにくいっていうか、誰に使うかまだ決めかねてるというか…」

歯切れ悪くはにかむ表情には、三兄弟一番のひょうきん者らしく愛嬌に溢れている。
見分けられる者はあまり多くはないが、次男にしか従わない教授だからこそわかるのだろう。
今度のイベントでもまた、貴重なサーバントが増えてしまったが、ライバルたりえはしないと判断した。
飄々とした教授最大のライバルは今も昔もただ一人。

「…シャーロックが手に入った時の為に残しときたいからさ」
「………」

ポーカーフェイスを貫いてはいるが、誰より怒りに満ち満ちて。
殺意を滲ませる教授に、極上の笑みを向けるマスター。
裏社会のナポレオンがあらゆる手をつかい、次男の元にシャーロックが来ないよう手を尽くしている事をまだ、このマスターは知らない


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