世の中には知らない方が人生うまく行くってこと少なくないと思う。例えば、付き合っている彼女の歴代彼氏の話とか…………



「ねぇ、名前の恋愛遍歴教えてよ」
「え、なんで?」



だけど、そうは言っても知りたくなるのが人間の性と言うかなんと言うか…絶対聞かない方が良いって分かってても気になっちゃうんだよな。名前がどんな男と付き合ってきて、今の俺はどんな男として名前に見られているのか。



「今までに付き合った人数は?」
「……勇人で2人目」
「前付き合ってた人とはどんだけ続いたの?」
「えっ、と…1年くらい?」



1年…俺たちはまだ付き合って半年。まだまだ大丈夫…なんて思ってしまった。名前がじっとこちらを怪訝そうに見つめている。そりゃ、そうだよね。突然こんなこと聞かれたら。



「何?いきなりどうしたの?」
「んー?名前が前はどんな奴と付き合ってたか気になって」
「そういう勇人はどうなのよ」
「中1の頃に好きな女の子いたけど、好きになるだけでいっぱいいっぱいで、それ以上なんて踏み込めなかったよ」
「ふぅん……」
「あ、もちろん今は名前のことが好きだからね?」
「分かってるよ…」



多分、変な疑いはされてるしその疑いも晴れてはいないだろう。あまり納得もしていないようだけど、これ以上この話を続けて欲しくも無さそうだ。元々名前は自分の話をするのが苦手だ。



「勇人が中1で好きになった女の子は…どんな子だったの?」
「へ……っと…」
「私ばっかり話すのは不公平でしょ?勇人の恋愛遍歴も教えてよ」
「あ、うん……」



話すのが嫌なわけじゃない。なんと言うかただ、驚いただけで。少しは俺の事、興味持ってくれてたんだってジワジワ嬉しさが込み上げて来てしまった。



「同じクラスの女子でさ、活発な元気な子だったんだ。グループのリーダーみたいな存在で、誰からも人気があって……」
「私と正反対じゃん…」
「名前は大人しいかもしれないけど、皆から人気はあんじゃん?」
「えぇ〜嘘だぁ〜」



少し嫉妬したのかな?ぷくっと膨れた頬が可愛らしい。

確かに初恋の女の子は、The女子って感じの女の子で名前とは正反対かも。でもその子は皆から人気だったから、それ以上踏み込むのを辞めてしまった。ただ見てるだけから、その内見向きもしなくなってしまった。



「中1の時は、人気者故にそれ以上好きになるのは辞めたんだ。どうせ俺の事なんてって思ってさ」
「そんなの告白してみなきゃ分かんないじゃん」
「そうだよね、今ならそう思う。」



だけど、きっとその子のことはそこまで好きじゃなかったと思うんだ。所詮中坊の恋愛なんてまだまだごっこ遊びみたいなもんだし。



「だけど、名前は違うよ」
「何が?」
「人気者だけど、俺踏み込んだでしょ?名前に告白したでしょ?」
「そりゃあ…まぁ…」



名前の時は一目惚れだったし、それはクラスの連中も同じだった。何人かの口から名前の名前が出て来ていたしそれなりに人気ではあった。だから、俺は他の誰にも渡したくないって。中学では芽生えなかった気持ちが芽生えて焦ったんだ。早くしないと、って



「誰にも渡したくないって思ったら勝手に体とか口が動いてさ、気付いたら告白してた。結果オーライだったけど、気を取り戻してから緊張しすぎてあの時の記憶あやふやなんだよね…」
「……ふふふ、何それ」



……そうそう。この笑顔にみんなやられてたんだよなぁ。この笑顔を俺だけに向けられないかな、ってちょっと邪な心が出てきちゃってさ。…まぁ、今も同じなんだけどね。



「だから、なんで名前は俺と付き合ってんのかなーって。少し気になって、過去のこと色々聞いちゃった。」
「なんでも何も、私も勇人が好きだからだよ。別に昔の彼と勇人比べてどうとか思わないよ、勇人は勇人だし。」
「そう、だよね。変なこと聞いてごめんね」
「私の愛情不足って言うんならもう少し積極的になった方がいい?」
「え、それは…どーいう…」



今のままで充分だと思ってたけどそれ以上…この先…って事?少し考えて顔が暑くなってきたところで「冗談だよ」と笑って話す名前が見えた。



そうして二人は愛をはぐくむ



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