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▽ 廃屋ホラー草案


廃屋ホラー草案

◇設定
廃屋に住みついた鯉は、いずれは龍になるほどの力を持った奇っ怪だった。心優しい家族Aとの交流に心打たれた鯉は、彼らを守るために自らの髭を差し出し、悪い気を払い幸運を呼び込む家の守り神となる。その代償に、龍になる資格を失った。
やがて家族Aはみなこの世を去り、鯉は一人残され、そこへ家族Bが越してきた。家族Bは鯉のことを何も知らないため、そのまま鯉の住処である池を埋め立て、髭を気味悪がって引き出しの奥にしまい込んでしまう。
鯉は長い時の流れととある事情から記憶が曖昧になり、家族Aが自分を見捨てた、家族Bが髭を奪って隠したという記憶違いをしてしまうように。不敬への怒りと、心の奥底にあった寂しさ、孤独によって我を忘れた鯉は変質し、家族Bを憑り殺してしまう。家族Bの魂は鯉の一部となり、入ってきた人を無差別に襲うようになる。こうして家は呪われた屋敷となってしまうのだった。

◇調査前
家族Bから家を相続した親族から、いい加減家を取り壊したいので奇っ怪を追い出してほしいという依頼が入る。車椅子では調査しにくい室内であることから、組んでくれる護手が見つからないと彗は沙弥に相談。それならと二人で組むことになる。それに反対の意を示したのが実だった。

◇訪問一回目
家族Bから家を相続した親族から、いい加減家を取り壊したいので奇っ怪を追い出してほしいという依頼が入る。沙弥と彗は、住んでいる奇っ怪の様子を探るため廃屋を訪れるが、そこは一歩踏み入れると間取りすら変わる恐怖の家だった。様々な怪奇現象(人の気配を感じる、いつの間にか服が濡れているetc…)を経て二人は何とか出口を見つけるが、同時に鯉が失っていた髭を見つけだしてしまう。不穏な空気を感じた二人は鯉の髭を奪い取り、その代わりに腕と首に痣をもらってしまう。
→腕の痣は人恋しい鯉の本心が現れたもの。首の痣は鯉にとりこまれた家族Bの無念がつけたもの。廃屋に人の気配がしたのは、いまだに家族Bの魂がこの家に囚われている証左

◇調査パート
ろくに対話すらできないほど危険な奇っ怪の報告に、護手達の間に緊張が走る。実は危険な奇っ怪を二人が調査するのは無理だと反対。二人は葛藤の末に反発し、最後まで自分達でやり遂げたい意思を固める。
鯉の髭の調査、近隣への聞き込み、鯉そのものにまつわる言い伝えの調査をして、真相に迫る二人。しかし一方で、二人についた痣も少しずつ色濃くなっていくのだった。

◇訪問二回目
充分な調査を終え、真相にたどり着いた二人は再び鯉との対話に挑む。人へ向けた敵意と害意、その奥に隠された孤独を指摘された鯉はそれを認め、再び人を信じさせてほしいと彗に頼む。二人はこれから定期的にこの廃屋を訪れることを約束した。護にもその件は報告し、取り壊しは取りやめ自治体が管理することになった。

◇エンディングパート
遅れて恐怖と疲れがやってきた沙弥と彗は、一日お泊り会を開くことに決めた。ゆっくり体を休め、翌日からは、今回の件を振り返りながら報告書を作成することに。危険と目された奇っ怪を二人だけで解決したことで、沙弥の評価は大きく上がった。また、女性が護手をするのは危ないと決めつけていた実の価値観を揺るがす出来事となったようだ。
しかし、結局鯉の記憶が混乱していた原因はわからなかった。


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