ありったけの愛を君に


愛しい愛しい存在

いや、むしろ、愛しいすらも通り越しそうな何か

10代目は俺の全てだから

だから、誰よりもあなたの傍にいたい

誰よりもあなたの力になりたい

誰よりもあなたに信頼されたい

誰よりも、あなたに…

「獄寺君?」

「っ!?は、はははは、はいいぃっ!?」

そんな、あなたの為に紅茶を入れようと準備をしていて、少しぼーっとしていたらしい

「あ、ごめんね?お湯沸いてるのにほったらかしにしてたからどうしたのかなぁと」

「す、すみません!!今、ご用意しますので座っていてください」

危ない危ない…10代目に心配をかけてはいけない!!お茶を入れなくては!!

「お待たせ致しました」

いつものように、お茶菓子とセットでテーブルに置く。今日は10代目が一番気に入ってくださってるお菓子

「ありがとう…………獄寺君」

少し、真剣な顔で向いてきた。もしかしたら何か大事な話なのかもしれない

「はい、10代目。何でしょうか」

なので、俺も真剣に向き合った。ちょっとの沈黙がやたら長く感じられ、ごくり、と唾を飲む

「何かあった?」

何か…何か…え?

「え?10代目に何かあったのではなくてですか?俺ですか?」

何かあった10代目から話を聞くのだと思っていたら俺に何かあったと思われたらしい。ちなみに何もありません。勿論浮気もしていません

「紅茶の味が何だかいつもと違ったから。さっきもぼーっとしてたし」

少し、渋い顔をなさっている

「っ、申し訳ありません!!急いで淹れ直します!!」

別のポットがあるので、すぐ淹れ直した。冷静に考えて、10代目の束の間の休憩に少しでも休んでいただくために、丁寧に丁寧に…

「ど、どうですか?」

恐る恐る尋ねれば今度は笑顔が返ってきた

「うん、いつも通りの獄寺君の味だ。美味しい」

少し力んでいた肩をほっと撫で下ろす

「何か考え事でもしてたの?」

考え事…あぁ…してた…

そっか。いつもは、10代目の為にって考えながら淹れるのに。今日は俺の自分勝手な気持ちばかり巡らせてしまった

「そうですね、すみません。次からもっと気を付けます」

それで終わると思ったらそうではないようで。依然、真剣な眼差しで睨んでくる

「何を考えてたかまで言えって訳ではないけど…逆にさ、いつも獄寺君は気張りすぎじゃない?」

そんなことは無いのに。俺にとっては、あなたの為に動くことが当たり前だから

「まぁこんなん言ったって獄寺君がもう曲がらないのは知ってるんだけどね」

そしてバレていた

「何だかんだ言いながらも…獄寺君が俺のために一生懸命なの嬉しいんだよね。見てて可愛いし」

かわ…

「可愛い…ですか…」

「うん。何と無くだけど」

俺にとっては、俺に笑いかけてくれるあなたの方が…てか俺なんかと比較するのも申し訳無くなるくらい、可愛いです

「そしてよく思うよ。君が俺の右腕で…俺の恋人でよかった」

そうおっしゃりながら腕を広げてくださったので、思わず抱き締めに行ってしまった

「ほら、こういうとこが獄寺君は可愛い」

「可愛くないです。10代目の方が可愛いです」

即答したら軽く叩かれてしまった

「俺は、誰よりも獄寺君に愛されてる自信があるよ」

当たり前です。誰よりもあなたを、あなただけを愛しています

そう示すように、抱き締めた

「………気付かないかなぁ」

「何がですか…?」

我慢できなくなって…でも我慢はしなきゃいけないから、キスだけひとつ落とす

「…………俺が、誰よりも愛してるのは獄寺君だよ」

それを示すかのように、10代目からキスをしてくださる

俺が望んでいたことを叶えてくださった

いつも、いつも…あなたはそうですね

「俺、きっと明日からもっと美味しく紅茶淹れられるようになると思います」

「うん、期待してる」

俺が淹れていく紅茶は。あなたを愛す気持ちと比例してどんどん美味しくなっていくらしい

俺が不安になったら、あなたを不安にさせてしまうと分かった

大丈夫です。今日よりも明日は、明日よりも明後日は、明後日からもずっとずっと

あなたに、美味しい紅茶を淹れます


『ありったけの愛を君に』

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あとがき

ありったけの愛を君にシリーズ、獄寺君ver.です

実は一番悩みました。かなり悩みました

獄寺君はいつでもありっけの愛を与え続けてるから、逆に少しでも途絶えたら分かってしまうんじゃないかなって思い紅茶にしてみました

きっと最初は味はすごいまずかったんじゃないですかね。でも一生懸命な姿でありっけの愛を込めてくれてるって分かっていたと思います

獄ツナは可愛いねぇ

2012.12.31



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