仲間外れにされた友達


長かった夏休みも終わり

学校が始まった

しかし俺は夏休みだろうが学校だろうが毎日10代目にお会いしている

「あぁ……幸せだ…」

学校に興味は無いが10代目が行くのなら右腕としてお供しないわけにはいかない

むしろ学校以外でもそれこそ例え火の中水の中

むしろあなた様にそんなところ行かせません。俺が任務を果たします

おっと、10代目のお屋敷に着いたぜ

「おはようございます10代目!!!!」

いつも通り元気にご挨拶!!
10代目は朝が弱い。ここは是非俺が目覚まし時計代わりを…

「あらあら、獄寺君おはよう。今日もありがとね」

「そんなお母様!!とんでもありません!!」

右腕ですから!!!!!!

「でもごめんなさい、あの子ったら今日は珍しく早起きで…山本君と先に学校行っちゃったのよ。獄寺君に一言も言わないなんて失礼な子ね〜」

な……っ!?

「そそそそうですか!?分かりました!!ありがとうございます!!それでは、また明日お迎えに伺いますっっ」

直角に腰を曲げてご挨拶。お母様ならこれくらいは当たり前である

しかし………寄りによって野球馬鹿とご一緒とは…

「アイツのことだから朝が苦手でいらっしゃる10代目を無理矢理起こして連れ回してんじゃねぇだろうな!?」

そんなことしてたら!!果たす!!即果たす!!!!


そして。学校に着いたら

「あ、お、おはよっ獄寺君!!」

「ウッス獄寺〜」

ふたりは。仲良さげに。座っていた
何だか。心無しか。10代目の態度がよそよそしい

「おはようございます10代目。本日はもう学校にいらしてたんですね」

「あ、う、うん、そうなんだ。早く目覚めちゃったし山本と丁度登校の時間被るんじゃないかなぁって思って」

目を逸らされてる気がする…気のせいだろうか……

「何も言わなくてごめんね…?」

悶々としながら見ていたら謝られてしまった

とんでもない。とんでもない!!!!

「お気になさらず!!また明日お迎えに伺いますし!!」

「あ、獄寺。それなんだけどな」

せっかくのふたりの会話を邪魔する野球馬鹿

お前邪魔だな!!本当に邪魔だな!!!!

「俺達、朝も放課後も補習入っちまったんだ」

そして。驚愕の事実である

「いけません!!行けません、10代目!!こんな野郎と朝も放課後も一緒だなんて許せません!!俺も付き合います!!」

「いやいやいやいや!!!!!!」

ガシッ、と手を掴むと全力で断られた
しかし!!俺は諦めない!!と、もう一度抗議しようとしたが

「駄目!!絶対駄目!!獄寺君わざわざ付き合わせるの本当に申し訳無いし、山本とふたりじゃないと駄目なんだ!!」

したが………

「野球馬鹿と………ふたり…すか…」

そりゃあ。もう

頭を後ろから鈍器で

ずがーん!!!!

と殴られたような感覚がした

「そ、それなら…仕方無いっすね…」

目の前は真っ暗だし頭はガンガンする

あー。もう。俺駄目だ。俺が駄目だ

その日は何も言わずに早退し

翌日は。学校になんて行けなかった

くそ……10代目、いつから野球馬鹿なんかと…

毎日一緒にいたというのに。あの馬鹿が入る隙がどこにあったんだ

ショック過ぎて頭は回らず登校拒否を過ごしていった

「……………腹減ったなぁ」

何日過ごしたのかよくわかんねぇ。とりあえず腹減った

つか何だよ。今日日曜日かよ。丸々1週間学校休んじまった。関係ねぇか

「冷蔵庫、っと……うっわ。何も入ってねぇ」

仕方ねぇ。何か買いに行くか

とりあえず風呂には入ってるし、着替えだけでいっか。多分10代目とは会わないだろうし…

どうせ、野球馬鹿と……

「……………………コンビニ行くか」

そう思った矢先に


ピンポーン


と。妙に間抜けな音がした
誰だ…つか俺の家に押し掛けるの姉貴しか思い付かねぇ…やべぇ…どうしたら

覚悟を決めながら覗きに行き

即開けに行った

「10代目!!!!!!」

「俺もいるのな〜」

愛しの10代目がそこにいた

「10代目!!どうしてこちらに!?」

「おい、俺は無視かよ」

見えてるよ嫌でも見えてるよちくしょう!!
てめぇ来んな!!ふざけんな!!

「獄寺君ずっと学校来てなかったけど…体調悪かったんじゃない?出てきても大丈夫?」

だああぁいじょうぶっす!!!!!!

「10代目がいらっしゃるのに出てこないとかそんな最低なことしません」

むしろ学校に行かなくてすみませんでした

「そっかぁ。あの日から来ないからさぁ…何か仲間外れみたいにしちゃったの怒ってるかと思ってて…出てきてくれてよかった!!」

あぁっ!!眩しい笑顔!!
あなたのその笑顔は俺のオアシス!!
つか10代目自身が俺のオアシス!!!!

「獄寺、別に俺等お前を仲間外れにした訳じゃないのな?」

うっせ!!お前黙れ!!!!

「ほら、ツナ。お前から言ってやれって」

「え、で、でも」

てか待てよ。これあれじゃねぇの
正式に『俺達付き合い始めました〜』とかじゃねぇの!?そうじゃね!?墓穴掘ってね!?

「じゃあ一緒に言おうぜ!!」

さっきの覗き窓よりやっぽど覚悟を決めた
そうだ。分かってればそこまでショックを受けないはずだ

「せーのっ」

うおおおおおおおおぉ…!!

「「誕生日おめでとー!!!!」」

「うわああああああああああぁ!!」

………………あ?

「え?今、何て…」

思わず上げた雄叫びにふたりとも目を丸くしている

手元に何かの包みと箱を持ちながら

「何言ってんだよお前」

「今日はさ。獄寺君誕生日でしょ??と言っても…」

その箱の方を開けてくださると

「俺達のお小遣いだと大したもの買えなくて……」

「だからモノを1つとホールケーキなのな!!ちなみにホールケーキをひとりで食べきれないと言うなら今すぐ俺達を中に入れるべき」

図々しいなお前

「10代目どうぞ」

「よっしおっけー貰えたな!!入るぜ、ツナ!!」

「ばっかやろう!!お前は許可してねぇよ!!何入ってきてんだよ!!」

「ご、獄寺君!!みんなで食べようよ!!!!」

10代目のお願いだったので仕方無く野球馬鹿も入れた

その後はさんにんでケーキを食べて

夕御飯は。恐れ多くも10代目のお屋敷でいただいてしまった。お母様の手作り

大変おいしかったです

「かぁさーん。俺、獄寺君と山本送っていくね」

「何をおっしゃいます!!俺達なんてここまでで充分です!!」

「そうだぜ、ツナ。帰ったらツナに連絡入れっから。な?」

心配そうな顔をする10代目を何とか説得し、門まで送っていただいた

「獄寺君、その、さ……今日…楽しかった…?」

不安そうに上目使い。その上目使いは神がかってますね。さすが10代目っす

走る気持ちを抑えて。ゆっくりと今日を振り返った

「……………すごく楽しかったです」

自分でも分かる。あぁ、俺。今


笑ってる

だって。10代目が嬉しそうに笑ってくださるから

家に着いたら10代目にメールして

一応、野球馬鹿にもメールした。10代目はてめぇなんかに渡さねぇってな

人に祝ってもらえたのはいつぶりだろうか。テメェですら忘れてる誕生日を

「ありがとうございました」

幸せです

最も。この日の締めは

突然ケーキと共に現れた姉貴だった


ジ・エンド・オブ 俺



おまけ

「獄寺君、そろそろ会議だよ」

「あ、はい、すみません。今すぐ行きます」

「あ、それ吸い終わってからで」

「大丈夫です。もうそろそろでしたし」

「また、そんなこと言っちゃって………あ、その灰皿…」

「ん?あぁ…未だに。愛用中です」

「懐かしいなぁ。それさ、獄寺君が誕生日近いのに何も用意してなくて。山本と朝と放課後で一生懸命考えてたんだけど、君は仲間外れにされたと勘違いして学校に来なくなっちゃったよね」

「あはは………そうでしたね」

「それね、山本と一生懸命選んだデザインなんだよ」

「まぁこの言葉は全く守れてませんが」

「そして今年は更にそれを守れなくなりそうなかっこいいジッポが誕生日プレゼントです」

「ありがとうございます。楽しみにしてますね」

携帯灰皿に書かれた言葉

それは


゙NO SMOKING゙



----------------------

あとがき

ぎりぎり!!間に合った!!!!
もうあれですね!!ラストとかめっちゃ走っててすみません!!

獄寺君は10代目しか言ってないけど、一応山本に感謝してます。一応ね!!

山本とツナはただふたりで内緒で獄寺君のためにプレゼントを考えてたんだけど獄寺君から見るとふたりが付き合ってるんじゃないかになっちゃうんですよね

そんなぶっとんだ君が好きです

いつだって君が好きです

誕生日おめでとう

今日、君が生まれたこの日に幸あれ!!←?

2012.09.09



目次/TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -