一本の糸


人気者で

打順は4番

背の順は一番後ろ

出席番号も一番後ろ


でも

誕生日で並ぶと一番最初になる

そして、成績順に並ぶと俺の後ろに来る

そんな彼の。誕生日が明日です


と言う訳で

「もうすぐ山本の誕生日だけど誕生日プレゼントは何がいいと思います。はい、獄寺君」

「はい!!山本にプレゼントなんてあげなくていいと思います!!」

そう言うと思ったよ。獄寺君、山本のこと嫌いだもんね

本当はそうじゃないって知ってるけど

「獄寺君は誕生日プレゼント何が欲しい?」

「え!?10代目からいただけるならなんだって嬉しいですけどやはりいつでも思い出したいので普段使いしやすいものが…いいかなぁなんて…」

ふむふむ。成る程。普段使いしやすいものか

「じゃあ会議終了。俺は買い物行くからまた明日ね。ばいばーい」

「え!?ちょ、ちょっと!?じゅうだいめええええぇ――――――…………!!」



普段使い…っていうと

山本は野球部だし。タオルとかがいいかなぁ

部活で使えなくてもお風呂とか、別にお店でもいいし。あって困るものでもないよね

とかはやっぱねぇ。ありきたりなのかなんなのか知らないけど

「ねぇねぇどれにする?」

「私はこれにするー!!真似しないでよ!?」

「山本君って何色が好きかなぁ〜」

帰り道に寄ったスポーツ用品店

女子が沢山いた。何か他校生もいたしね
タオルもいるけどリストバンドもいる
ここで手に入れたものは何かしら被るであろう

しかも思った。金…足りない………

俺は黙って店を出た


「あーあぁ………どうしようかなぁ…」

「じゅうだいめええええぇ!!偶然ですねっ!!」

「うわああぁ!?ごっ獄寺君!?」

「はいっ!!あなたの獄寺隼人です」

あれ?いつも手ぶらなのに何か手に持ってる?

「獄寺君何を持ってるの?」

「え?あ、あの…あなたの……あ、いや、何でもないです。これは野球バカへのプレゼントっす!!」

ええぇっ!?獄寺君が…?うん、まぁ、すごい仲が悪い訳ではないって分かってるけど。まさかプレゼント買うなんて…!!

「あいつに雑巾買ってやりました!!家帰ったら野球バカってちゃんと名前書いてやるんですよ」

あっ、そう………すっげぇ楽しそー…

でも名前かぁ…

「俺も…そうしようかな……」

タオルに名前でもいいかな

「そっすよ!!それがいいですよ!!野球バカって書いてやりましょう」

「ありがとう獄寺君!!じゃあ今度こそまた明日ね!!俺また買い物行かなきゃ!!」

俺の名前を叫ぶ獄寺君を置いて普通のタオルを買いに行った


「ただいまー!!母さんっ針と糸貸してー!!」

帰ってくるなりすぐ母さんの元へ
まだまだ時間はあるけど…不器用な俺のことだ。絶対かなりの時間がかかる

「まぁっツッ君どうしたの?制服のボタン取れちゃった?あら、でも自分じゃやらないわよねぇ…?」

「きっと好きな奴の為とかだろ。このダメツナが」

「愛の力ね」

「あらあらまぁまぁ…っ!!今夜はお赤飯かしら」

「うるさいよっ!!りボーンでたらめ言うな!!明日は山本の誕生日なのっ!!」

これ以上からかわれる前に急いでリビングを飛び出した

夕御飯に呼ばれたら急いで食べて

チビ達を連れ回しながら急いで風呂を済ませて

急いで部屋へ戻る



「……………いたっ」

もう何回刺したか分からない。てか俺不器用にも程があるだろ……こんな簡単なの縫うのに時間かかるとか…

「おいダメツナ。俺はもう寝るぞ。消すからな。豆電球は許してやるぞ」

「はいはい、ありがとうございますー…」

と言いながらも。俺も眠い……あぁ、でも…もうすこ…し………










「はっ!!!!!!」

やばっ!!寝ちゃってた!!今何時!?

「10代目!!おはようございまーす!!」

そんな時間かよ!?

タオルは…よかった、終わってる…
ラッピングはもうできあいの袋に入れて済ませるつもりだったし、これでいいや

「いってきまーす!!」

学校に着いたら着いたでまた難関待ってたけど

ほら。やっぱさ。山本って人気者じゃん。誰のものも拒まないじゃん

スポーツ用品店にいた女子全員がまずいるじゃん?しかもそれが全員なわけじゃないじゃん

渡す隙が無い……けど。こんな時に頼りになる人がいたよ!!

もう放課後で準備も急いでた山本に啖呵を切る獄寺君。引き止め方にかなり問題はあるけどこの際四の五の言ってられない

「山本!!誕生日おめでとう!!ほら、獄寺君もっ」

「ありがたく使えよ!!顔拭くのにでも使いな!!」

雑巾をかよ……こういうとこ獄寺君らしいよなぁ…

「えっマジで!?お前らもくれんの!?今日全然話してくんねぇから普通に何も無いと思ったのな」

それは…山本が人気者になりまくってたせいだよ……

「俺のはタオルだから。適当に使って!!」

「ん、さんきゅ!!あ、わり、多分もう出てかねぇと部活遅れちまうんだっ!!また明日ちゃんと話そうぜ!!またなっ」

きっと今のうちに出てかないとまた捕まって時間通りに行けないんだろう…人気者は大変だ

とりあえず渡せてよかったなぁ…のんびり片付けてたらグラウンドに山本がいた。ユニフォーム着てるしちゃんと間に合ったみたい。よかった…

そしたらバチっと目が合ったから。もう一回おめでとうって言いながら手を振った。口パクだけど

けど彼には届いたみたいだしピースを返してきた。きっとお返しは次の試合で勝利を持ち帰ってくれるんだろう

次に俺が山本と同い年になれるまであと半年



おまけ

まさかツナも獄寺もプレゼントをくれると思ってなかった。特に獄寺

全体的にプレゼントの中身は何と無く分かる。まぁ夏になるとタオル1枚じゃ足りないからいっか

獄寺は顔拭けって言ってたからハンドタオルとかかな?まず開けてみると

『野球バカ』

と書かれた雑巾が2枚入ってた。え?俺、これで顔拭くの?

プレゼントくれるとは思ってなかったけどまぁこれなら納得だ………店の台ふきんにでも使おう…

ツナはタオルって言ってくれてたよな!!うん!!これでツナも雑巾だったら…!!いや、ツナは許す

開けてみたらちゃんとタオルが入ってた。一安心。更に広げてみるとがったがたに縫われた文字が目に入る

でも、それは

「…っ、あっはっは!!」

そこに書かれてたのは

『やきゅうガンバレ!!山木!!』

きっと…すごい頑張ってくれたんだな…だってツナも俺も更に言えば獄寺も裁縫は全く…

今日はずっと眠そうだった。ギリギリまで頑張って縫ってくれたんだから幸せだなぁと思う

でも。それでもさ

「山木って誰だよツナー!!あいつらやっぱおもしれー!!」

こりゃあ明日、ちゃんとお礼言わなきゃなのな



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あとがき

山本誕生日おめでとう!!
どんな話かよく分かりませんね。私もよく分からない

ツナ君夜なべして山本の名前縫ってたのにまさかの一本忘れると言う

ほら!!寝起きで必死なのと先入観で!!みたいな!!よくありますよね!!え、無い?

とりあえず獄寺君プレゼントあげると思えないけどこれをノリノリでしてたら可愛いと思う。ツナ君にはタオルどころじゃすまないすんばらすぃものをあげるだろう

山本祝ってるか非常に謎な話ですね!!祝ってるよ!!山本はぴばぁ!!


2012.04.24



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