君がくれた夏


私的山ツナソングになぞらえて書きました
設定はハチャメチャですが臨機応変にお願いします←

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な、ツナ
俺、お前に会えてよかった
お前は俺に色々くれた
出逢えたことにたくさん、たくさん、ありがとう

だから

お前がまたくれたこのチャンスを…
まだ、終わらないでくれ

俺の夏




「ふぃーっ!!あっちいぃっ!!さっすが真夏の練習はちげぇなぁ」

大会を前にして集中的な練習。男臭い野球部

でもそんな暑さも熱さも俺は嫌いじゃない

「またこの時間から暑くなるしなぁ…皆、熱中症とか日射病気を付けるのな〜。休むのも大事な練習」

「「うぃーっす」」

でも、やっぱり暑さとさっきまで練習に本気出したせいで頭がちゃんと働かない俺等

部員の間延びした返事。でもさっきまで、皆本気で腹の底から声出して真剣に向かい合ってたのを知ってるから練習終わった今に怒ろうとは思わない

「じゃ、キャプテンお疲れ様ッス」

「おう、お疲れ〜」

「ちゃんと休めよっ山本キャプテン♪」

「ははは」

全員出てくのを見送って部室の鍵を閉めた

さっき誰かがラジオを流し始めた。何か妙に珍しく感じて皆でわらわら集まって聞いてた

今日は、夕立の予報

「………俺のせいかなぁ」

最近は星がよく見えるから

もしかしたら天の川も見れるんじゃないかって、思ってるんじゃないか

俺的予想

「さて………」

チラ、と外から見ると小さな姿が見えた

夏の特別補習。アイツも俺も中々宿題をやらないから

だから、アイツは毎日来てるから

俺も練習終わったら向かう

宿題は切符、廊下と階段は教室行きの線路


そして、教室は終点

そして、終点には待ち人

「あっ、山本お疲れ様〜。今日も暑いね」

同じ沿線で、毎日俺達は同じ場所に来る

「おう、ツナもお疲れ。進んだ?」

「ぜーんぜんっ」

部活用の鞄は大きいから多分バレてない。いつも出し損ねて隠し持つ夏の風物詩、花火

そうやって、毎日会っていた夏休み



終わってから並んで歩く帰り道。これも毎日の日課

「今日、夕立って予報出てたんだぜ」

嘘のように綺麗な夕焼けが俺達を照らしている

こんな日が………いつまで続くんだろうか

今年が、中学最後の夏

「な、ツナ………来年はさ」

「山本」

明らかに反らされた言葉
見ると上を指差している

「一番星、出てる」

「……………あぁ」

きっと、あの星は俺のナミダ


「ツナ、握手しよ」

何の前触れもなく手を差し出した。差し出されてしまえば断る訳にもいかない様子で疑問を露にしたまま握ってくれた

「ツナの手、熱い」

「山本は汗かいてるね」

何て冗談めかしく笑い合う俺等

上を見上げるといつの間にか広がっている星空

「…………あの2つの星は織姫と彦星だね」

「ん……」

この、只、意味も無く握り合った手を離さないで

そう思いながら何と無く俺等はずっと2つ星を眺めていた

あの星を見たら、毎年今年のこと思い出すのかな

ツナと過ごした中学最後の夏を……

「……山本は来年からは甲子園を目指すんだよね」

自然と離された手

「あぁ。その前に今年の夏だけどな」

お前が俺にまたくれたチャンスを。最後まで、お前に会えたことに感謝して、全力でやるから

「…まだ夏を終わらせないでね。応援席で待ってる」

今度は指切り。力がこもっていて少し痛かった

さっきの一番星が瞬いた気がした





「あっちぃー!!」

「キャプテン!!暑いッス!!練習終わりましたし水浴びしましょう!!ホースの用意はバッチリです!!」

炎天下で全力の練習を終わらせて、練習後は相変わらずなこのノリ

「よっしゃ。いっちょやるか!!でもちゃんと全員浴びた後はタオルで拭いて服はすぐ着替え…っ!?」

指示を出している途中で後ろから水をかけてきたチームメイト

「分かってっからよ!!キャプテン話長いですぅ〜!!」

「お前なぁ…」

やられたらやり返す。それが俺なのな

そっからもうめちゃくちゃ。学年関係無しに水を掛け合ってびしょびしょになった

「山本せんぱーい。友達来てますよ」

言われて振り向いたらツナがいた

「…………何してるの?」

すごい笑いを堪えてる
でも、堪えきれてなくて

ツナが笑ってくれたのが何だか嬉しい

「じゃ、俺はもう抜けっから。全員風邪引くんじゃねーぞ」

「「うーっす!!!!」」


2人で並んで歩いた
俺は裸足のままグラウンドを歩いてる

「やっぱこう暑いと水も浴びたくなるよねー。俺んちもチビ達の為にビニールプール出したもん」

他愛もない話
それだって、俺にとってはすげぇ大事なことで

だって、こうやって、話し合って、日々を重ねていって…それがきっと俺達が一緒に過ごしてきた証

前に誕生日プレゼントで貰った時計は大事に机の中にしまっている

終わらないで、そう願ったって時間は、日々は過ぎていく。変わらずに時を刻み続ける

だから、少しでも、夏を長く…

だって、俺等はもう1人じゃないけど…1つにはなれないから

来年は別々だから



「な、ツナ」

「ん?」

いつものように、星空の下を

あの日から意識するようになった2つ星の下を歩きながら

「………次の試合買ったらさ、話したいことある」

ツナの表情は一瞬曇ったけども、ちゃんと頷いてくれた

「うん…応援席で待ってる」






炎天下

今日も相変わらず刺すような日差し

どこか遠くに見える聞こえる

まだ、まだ…終わらないで…

あぁ…俺は


アイツに



何を言いたかったんだろう…



何を言えたんだろう…






「山本…お疲れ様」

いつものように、歩く星空の下

只、1つだけ変わったことがある

「…………な、ツナ」

「うん……」

何の前触れもなく差し出す手

「手、繋ご」

出されてしまえば、握るしかないから

何の意味も無く、只手を繋ぎながら歩く

「…………俺、お前に会えてよかった」

上を見上げた。必死に隠したくて

「本当、たくさん、たくさん、ありがとうって言いてぇ」

また俺に生きる意味をくれてありがとう

また俺に野球の道をくれてありがとう

また俺に夢を目指す力をくれてありがとう

ずっと、一緒にいてくれてありがとう

最後の今まで一緒にいてくれてありがとう

「…………お疲れ様、山本」

只、その言葉だけをくれる

彼の優しさ

「ありがとう、ツナ」

まだ、まだ終わらないでって

ずっとずっと思う

空を眺めながら俺達のこの手を離さないでと祈った

握り返してくれた手が少し痛かった

「今日のこと…ううん。今年の夏、絶対忘れない。山本と過ごして、笑い合って、毎晩星を見ながら帰って……」


まだ、まだ、もう少し、夏よ終わらないで


「山本が悔しいことは俺も悔しいよ…」

そんな願いが届くはずもなく、今年の夏が終わってしまったことを、ハッキリと伝えられた

「だから、来年は一緒に笑いたいな」

でも……次の目標をくれた

また、次の夏をくれた

「……………あぁ。今度は俺が…ツナと笑い合うのを、ずっとこの街で待ってる」

その言葉からはお互い何も言わなかった

只、意味も無く、2つ星を眺めながら、手を繋いで歩いてた

「ツナ…言いたかったことな」

「うん…」




ずっと……




「俺達…ずっと友達な」


「うん……」









『恋していた』

なんて

言えなかったよ



繋いだ手

もっと、心を繋いで

これからはお互いの為のそれぞれの未来へ

きっと、歩いていけるよな

離れてても

ココロ繋げて

幾つもの季節を

今日みたいに

距離が離れてても

2人で歩いていこう

だから

俺等の道を照らしてくれ


「ね、山本」

「ん?」

「………流れ星、見えた」

「そか」

握り合う手

きっとその流れ星は


俺達のナミダ


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あとがき

夏と言えば山ツナだと思います

曲が何か分かった方連絡くだs
まぁ何人かの前で歌ったことありますがvv実を言うと最初は獄ツナソングでした←

何かまた分かりにくい話ですが、ツナが助けてくれたから山本はまた野球ができる、的な。夏の終わり=引退と言った感じです

お互い言ってないけど来年になったら離れるって知ってて、大事に大事に生きようと、毎日を必死に生きる青春若者的なの目指してました

彼等は、どちらかが何かを捨てない限り一緒になれないって言う切ない感じもありますよね

山本……!!


2011.07.14



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