あなたは大人で子供で
俺は子供で


2011年ディノ誕
なのにシリアス
ディノツナと言い張る


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ぽつん

(あ………)

ザ──────………

(雨だ………)

突然降りだした。天気予報当たったなぁ……母さんが朝、持っていけってうるさかったんだよなぁ

皆、俺を置いて旅行行っちゃうから風邪引いたら困るって………俺も旅行行きたかったなぁ

今日から出発して明後日の日曜日に帰ってくるらしい。俺は今日が学校あるから留守番だ

平日じゃない分よかったかもしれない。獄寺君がちょうどイタリアに行っちゃったし山本は朝練あるから時間合わないし

て、なんか獄寺君を目覚まし代わりに使ってないか俺……





バサッ

(帰り1人かぁ……)

山本が一緒に帰れるものだと思ってた。でも今日はミーティングやら室内で筋トレやらはするらしい

………いや、別に寂しくないし

結構雨降ってるなぁ………
ん?道端に何か見える…


「………捨て犬?」


そこにいたのは段ボールに入れられたまだ小さな子犬。全身びしょ濡れだ

どうしよう……きっと家では飼えない。かと言ってこのまま置き去りにするわけにはいかない

とりあえずタオル出そう……

「くぅーん……」

体をふいてやったけど気休めくらいにしかならなかった。すぐタオルは使い物にならなくなった

誰か拾ってくれないだろうか……傘の中に入るようにしながら雨しのぎをした

俺が助けられればよかったのに……


「ツナ君?どうしたのこんなところで!!」

「あんまいると風邪引くわよ?」

途方にくれてたら話しかけられた

「京子ちゃん…黒川……」

「あれ……その子…」

京子ちゃんが俺の足元にいる小さな存在に気付いたみたいだ

「捨て犬みたいで……俺の家じゃ飼えないんだけど、さすがにここに置いておくわけにはいかないから」

黒川にため息つかれた。なんだよ、仕方無いじゃんか

「あ!!だったら私友達に聞いてみるよ!!犬飼いたいって言ってた子がいるの」

京子ちゃんが心当たりがあるみたいで電話してくれてる。大丈夫だといいんだけど…

「アンタいつからここで待ってんの?」

「へ?」

「へ?…じゃあなくてさぁ!!どれくらい立ち呆けてんのよ」

いや、別に呆けてたつもりはないんだけど……

「うーん……そんなでもないよ。10分15分くらいかな」

「ふぅーん……沢田って結構お人好しよね。獄寺とか山本とかにもそうだし」

そうかな…?あんま言われたことないけど……

「じゃあ黒川はこのまま立ち去れる?」

「いや、多分無理だけど」

何だそれ。笑ったら怒られた。まぁ黒川も姉御肌だもんなぁ

「ツナ君!!連絡取れたよ!!引き取ってくれるって」

俺も黒川もホッとした

「とりあえず私が一回引き取ってその子に渡すね」

「うん、お願い」

よかった……俺が何かできたわけじゃなかったけど結果はオーライだ

「ツナ君に感謝だね!!ツナ君の傘が見えなかったら私達ここ通らなかったと思うの」

「いつもはそこの手前で曲がるからね〜」

そっか……俺が少しは役に立てたんだ

「たまにこの子の様子聞いて教えるね!!」

「うん!!本当色々ありがとう」

月曜日にね、と言葉を交わし俺達は別れた

さて……帰るか。雨は相変わらず止む様子がない





そして








俺の家の前にはびしょ濡れの大きな犬がいた

金色の綺麗でかっこいい……何て言うんだっけ……

えーっと……






「……………あ、おかえり。ツナ」




そうだ。ゴールデンレトリバーだ






とかを考えてる場合じゃないんだよ!!

「何でディーノさん傘もささずに俺の家の前にいるんですか!?」

「ん?んーっと……えーっと…んー」

何か考え込み始めた

いや、実際そんなことはどうでもいいわけで

「今開けますね!!後で拭いておくんで濡れたまま歩いて大丈夫ですよ!!あ、急いでお湯張りするんではいっタオル!!!!」

ちょっと自分に感心した。おれこんなてきぱき動けるんだ

「…………ん、さんきゅ」

何かさっきからディーノさんもおかしい。いつもよりふにゃふにゃしてる。ふにゃふにゃって変な表現だけど

冷えて風邪引いたんじゃ…!!
おでこに手当てたらとりあえず冷たかった。熱があるかはよく分からないけどとりあえず風呂に入れよう。温まらせよう

「まだちょっと量少ないんですがとりあえず浸かれるんで入っちゃってください。着替えは父さんのになっちゃいますが置いておくんで」

何かぼーっとしてる……聞いてるんだか聞いてないんだか……って!!ボタン外せてねえぇー!!

あ、あれ?とかぽやぽやしなが手かけてるけど…外せてませんよ。何で今日ワイシャツなんだ…

どうしようもないので俺が外していった。さすがにチビ達にやるのとは違うからちょっと恥ずかしい

「はいっ、外し終わりましたよ!!あとは大丈夫ですよね?」

大丈夫じゃないと言われても絶対やらないけど。さすがにベルトから先はできません

「…………なぁ、ツナ」

相変わらずぽやぽやした声で聞かれて顔をあげたら何かしょぼんって顔をしている。何か今日こんな目をどこかで見た気がする

「一緒に入ろうぜ?」

へらって笑われた


一瞬思考停止


へ?一緒?

「な……!!な、な、な、なにいってるんですか!!」

「一緒に入ろうぜ?な?俺、ツナと一緒がいい」

まるで子供だ。部下がいないディーノさんは大きな子供だけど、今日は中身までもが子供だ

さすがに照れるし素直に「はい」とは言えない。あ………

「…分かりました。でも俺準備とかしちゃうんで先に入っててください」

「おう。来るんだよな?な?」

「行きますって。い、一緒に入りますから…」

ふにゃりと笑った。すごい嬉しそうだ。とりあえず下も脱ぎそうなので立ち去ることにした

父さんの何かいいのあるかな?タンクトップとかしかない……Tシャツは、と…あったあった

いや、一緒に入るのはやっぱり恥ずかしいんだけど………きっと溺れかねない…!!




とりあえずなんだかんだ俺も寒かったしちょうどいいかも。タオルは…巻いておこう

「おじゃましまーす………」

って俺の家なのに言うのはおかしいけどやっぱ違う人が入ってる訳だし…

「………ディーノさーん?」

何かやたら遠くを見てる感じで手をひらひらしてみたら漸く俺に気付いたみたいだ

「ツナ。やっと来た」

無邪気そうに見えてどこか安心したような顔。何か…やっぱりいつものディーノさんらしくない

「一緒に入れますかね?」

「こうやってタイルに向かって体育座りすれば入れんだろ」

って言ってるそばからディーノさんは辛そうだ。俺先に体洗ったり済ませちゃおうかな

それを察したのか腕を掴まれた

「なぁ…一緒に入ろうぜ?」




ちゃぽん


何で一緒に湯船浸かってるんだ…俺はまだ余裕があるけど確実ディーノさんはきつい!!辛そうじゃない。きつい…

「何かツナとぴったりくっつけて嬉しい」

体を少し斜めにしたのか余裕ができて俺に思いっきり寄っ掛かってくる。重くは…ないけど……

(ディーノさんの体温が…直に伝わってくるよ…!!)

「ツナあったけぇー…」

首元に顔を置かれた……別に変なことされてる訳じゃない…と思うんだけど…


俺の身がもたない…!!
















……分からない


何で俺この人の髪拭いてるのか分からない

「ツナ髪拭くのうまいんだな」

そりゃあ…さすがにチビ達で慣れてるからなぁ

「ん……何かきもちぃ」

ちょっとどきってした

「あ、あの、何でディーノさんこっちに…?」

ずっと気になってた。それに、今日はいつも一緒にいる部下の人達がいない

「んー………何でだろ」

いや、あの、こっちが何でって聞いてるんですが…

「………何かさ、いろいろ…疲れた……」

ぽすんって俺の体に倒れこんだ。いや、倒れてはないけど俺のお腹の部分にディーノさんの頭がある

「………昔はさ、俺はあいつらにとってはボスの息子だった」

あいつらってのは……部下の人達かな…

「今じゃさ…俺ボスなんだよな。皆……ボスって呼んでくる」

ディーノさん…

「ボスになって、歳を重ねるようになって……よく分かんなくなっちまった」

声が掠れてる…泣いてる…?

「あいつらは俺を信頼してくれてる。俺もあいつらを信頼してる。だからこそ…ちゃんとしたボスでいなきゃいけねぇんだって、思ってきたんだ」

タオルでちょっとずつ、涙を吸った

「………よくわかんねぇよ。俺……確かに、ボスだけど…ディーノなんだよ」

ぎゅうって、腰へと抱き着いてきた。まるで

「頭ぐちゃぐちゃになって…どう接すればいいか分かんなくて………」

子供の様に、甘えるように

「気付いたらツナのこと考えてた。そんで……会いたくなって来ちまった」

ディーノさんは……

「ツナに…会いたかったんだ……」


甘え方を忘れてしまったんだ



ぎゅうって、抱き締め返した

「俺には、甘えていいんですよ。ディーノさん…」

息を飲む音が聞こえて、少し体が強張った

「………ツナ、俺の頭なでて…」

恥ずかしいのか、しどろもどろ言われた。いつの間にか乾いた、綺麗な金色の髪を優しく撫でた

「俺には、甘えていいんです………だって、俺の前では、ディーノさんですから」

ゆっくり見上げてきた。いつもは見上げるのは俺だけど、今日は逆転だ

「…………なぁ、今日って…何日…?」

突拍子もないことを聞かれた。でも、最初みたいにぼーっとしてる訳じゃない

「え、えっと……4日、です」

そしたら両手に顔を包まれた。まるで、目を逸らさないで、と言うように

「今日…俺、誕生日なんだ」





ええええぇっ!?

そ、そんな……何も…無いよ…!?



「なぁ……今日だけでいいんだ。今日だけでいいから」


───俺に、ツナをちょうだい




今、俺の前にいるのは、いつもはとてもかっこいい大人な人


でも、今は……


「駄目です」


俺、強くなろう

「そ、か……」


でも、俺自身は変わらないでいよう


この人がいつでも俺に甘えられるように


「今日だけじゃなくて……今日から、俺をあげます」


また泣きそうな彼を、今度は俺が両手で包んでキスをした


「誕生日、おめでとうございます。ディーノさん」


引っ張られ、背中に柔らかい衝撃


見上げれば、少し目が濡れてるディーノさん

顔が、近付いてきて

「愛してる、ツナ………」


優しくキスされた


「……俺も、です」


あなたが


幸せでありますように



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あとがき
間に合ったああああああああああああああああ!!!!!!

すげぇな…頑張ればできるもんだな…すげぇ時間かかりましたが…!!数日にわけてちまちま…

しかし分かりにくい話…ボスだから、信頼してるからこそ部下に弱音を見せられなくて甘え方を忘れて頭ぱーんってなったでぃのさんが1人でツナに会いに来る話です

1人でってのがポイント。どうやって出たのか分からんけど← 何も持たずに来てたらまたいいよね。無理だろ←

なんかツナディノくさいけど、ディノツナだって言い張ります。ディーノさん誕生日おめでとう!!大好き!!!!


2011.02.04



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