幸せのカタチ


遠距離恋愛はとても辛い


そんなのは、嫌って程分かってる。その代わり、たまに会える時、話せる時、一緒にいれる時がとても幸せ


なのに、さ


「………………何で学校が始まった週に来ちゃうんですか」


怒りたくもなる
そりゃあね、忙しいのは分かりますよ。でももう少し早ければクリスマスも年越しもお正月もずっといれたのに


文句だって言いたくなる
せっかく来てくれたのに俺は今から学校に向かうのだ


……本当はこんなの我が儘だ。来てくれるだけ嬉しいのに、それだけで喜ぶべきなのに更に求めてしまう自分に嫌気がさす


「行ってきます」


最初は笑顔で、俺が怒ってびっくりして、最後は少し寂しそうな顔してた


……………帰ってきたら謝ろう
















って、思ってたのに


「帰ってきたらいないし…」


母さん曰くチビ達と遊びに行ったらしい。どこかは知らないみたいだが………大丈夫かな…あの人部下いないと大きい子供だけど…ランボ潰されたりしちゃうんじゃないか……?


あああぁ考えるほど心配になってきた……!!


「ただいまだもんねー!!!!」


ナイスタイミングで皆が帰ってきた。あの元気さならとりあえず大丈夫だろう


「おかえりー……………」


見てびっくりした


向こうも俺を見てびっくりしている。と言うか不意打ちで現れたから気まずそうと言うか


そんなんはどうでもいいのだ


「え、えと、その………た、ただいま…」


何で………


「…何でディーノさんだけ泥だらけなんですか」


何かぎくっ!!って感じでやっべ…って声が聞こえてきそうだ


「いや、これは、その、あのな…」


必死に言い訳を考えているであろうというとこで母さんが丁度出てきた


「皆お帰りなさい!!まぁ!!ディーノ君泥んこじゃない!!お風呂沸いてるからお先入ってきちゃいなさい」


「いや、さすがに俺が一番風呂するのは……」


そう言うとランボ、イーピン、フゥ太まで一緒に入ると言ってきた。仕方無い………


「俺も一緒に入りますから、ね」


さすがにディーノさんを1人にはできない…!!







そして、まるで習慣のようにこれが毎日繰り返された


何で泥だらけなのかも言わないし、ディーノさんだけ泥だらけだし。いや、結局は部下がいないからドジ踏んでるだけだろうけど


どこに行ってるか何してるかも皆して教えてくれない。何か………それってすごく寂しい


明日でディーノさん帰っちゃうのに…


あの時以来ちゃんと話してない。お風呂やご飯はチビ達とディーノさんの面倒見るのでいっぱいいっぱいだし夜は疲れてるのかさっさと寝ちゃうし……


明日は、俺も休みだし一緒に遊びに行こう


















って思ってたのにだよ!?


朝起きたら、いなかった


すごく泣きたくなった。勝手なんだよ。ディーノさん。すれ違いにも程があるよこんなの


「おはよー……」


とりあえず泣いてる場合でもないから降りてった。チビ達はご飯食べてるから一緒に遊びに行ったんじゃないんだ…帰っちゃったのかな………


「ディーノ君張り切って朝早く出ていったのよ。夕方には戻るって言ってたから母さん頑張ってサンドイッチ作ったの!!」


あ、一回こっちに帰ってくるんだ。ちょっと安心した


でも夕方って……あんまり一緒にいられない。結局寂しい。せっかく来てくれたのに今回はほとんど話してない


気分が重たいまま朝食を食べていたら、イーピンが俺の服を引っ張っている。ランボもフゥ太も一緒だ


「◎△※□……」


少しおどおどしながら、見せてくれたのは1つのしおり














「はぁっ…はぁっ……」


『これは俺っち達が見つけたんだじょー!!』


「はぁっ…はぁ……っ」


『ディーノ兄ね、ずっとツナ兄を怒らせたって気にしてたの』


「はぁっ………はぁ…っ」


『その日、イーピンとランボがたまたま見付けて。僕が幸せになれるんだよって話したら……』


「はぁ………はぁ…」



見付けた…
一面緑色の川原に、まるでタンポポの様な金色の髪がゆらゆらしている


相変わらず顔も手も泥だらけ


「……っ、ディーノ…さんっ!!!!」


呼んだらびっくりした顔で見てくる。もう何回見たか分からない


「え、えと……あの…」


もう言い訳できませんよね
勝手なんだ。ディーノさんも、俺も


だからすれ違っちゃうんだ


「……………四つ葉のクローバー、探してたんですよね」


しゅん、ってしてしまった。本当に引きずってたんだ…


「だって、俺ツナのこと怒らせちゃったし…いつもびっくりさせたくて連絡しないで来ちまうからさ。まさかそんなことになると思わなくて」


淡々と話ながらも手元は掻き分けながら探している


「普段も一緒にいてやれる訳じゃねぇから。だから、せめて、こんなまじないみたいなもんでも俺から幸せをあげたかった……」


泣きたくなった。むしろ俺、もうそろそろ泣いてもいいかな


「………っ、でぃ…のさ、の…ばか……っ」


泣き始めた上に可愛くない言葉を発した


「ばかっ……ばか!!ディーノさんのばか!!!!」


そのまま抱き着いた。泥だらけなんて関係無い。馬鹿だ。本当馬鹿だ。馬鹿な俺に真剣に向き合ってくれるディーノさんは馬鹿だ


ごめんなさい、ごめんなさいって謝っていたらぎゅうってされた。俺より少し大きくて、しっかりした腕の中


「………今日、帰っちゃうんですよね」


「ああ…だから、今日中に探さなきゃなんねぇって思って」


結構溜め込んだ分吐き出せたので大分落ち着いた。うん、もう大丈夫


「ディーノさん、それじゃ駄目です」


びっくりした顔。少し寂しそうな顔。もう、見せないでください


「………ディーノさんが頑張って俺を幸せにしてくれても寂しいじゃないですか」


俺も地面を掻き分けた


「2人で頑張って、幸せを見付けましょう」


やっと笑顔を見せてくれた。少し泣きそうな顔だけどいつもの明るい笑顔。一回手をぎゅってしてから、お互いクローバーを探し始めた











もう日が傾き始めてる。さすがに広すぎて見付からない。どうしよう、やっぱり見付けたい


夕日に当たりながら草をそっと避けたところに


「……………あった」


小さい4枚の葉っぱ
すごく、すごく小さいけれど


「ディーノさん!!ありましたよ!!!!」


嬉しくて駆け寄っていった。そして


「………俺も、たった今見付けた」


彼の手にあったのも同じくらい小さいもの


それでも幸せで、泥だらけの俺達は抱き合いながら喜んで泣いてた












「「ただいま!!!!」」


息ぴったりで帰って一緒にお風呂入って、母さんに教えてもらいながら俺達もしおりを作り、帰る時間になってしまった。時間が時間なため、家の前でお別れ



「これ、俺が見付けたヤツな」


そして、ディーノさんには俺が見付けたやつを渡した


「……何かちっちゃいのでごめんな?」


ぽんぽんって、少し申し訳なさそうに撫でられた


「いいんですよ、小さくて。俺が見付けたのもディーノさんが見付けたのも、同じくらい小さいじゃないですか」


それは、きっと


「どんなに小さいことでも、幸せに感じられるようにってことですよ。俺…ディーノさんが来てくれるだけで幸せなんです。少し欲張りすぎてました。だから……また来てくださいね。今度はもっと話しましょうね!!」


必死な俺に対して何か余裕な顔のディーノさん。何か悔しい。さっきまでディーノさんも必死だったくせに


「ツナが、俺に対して欲張りになってくれたことが嬉しい」


ちゅっ


「また、来るから。今度は笑顔で迎えてくれよ」


そしてもう一回キスをして車に乗り込んでしまった。俺は不意打ち過ぎて動けない。あぁ不意打ちされる気分ってこんななのか





「……………大好きです」



俺は彼がくれた四つ葉のクローバーにキスを1つ落とした


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あとがき

甘い話続きますね!!笑 ディノツナ\(^o^)/

元々、ついったの診断でシチュを指示されるみたいなやつなんですが、ディノツナで診断したら泥だらけになりながらも四つ葉のクローバーを見付けるディノツナと出て書くしかない!!

となり、こんな話になりました。相変わらず不完全燃焼さがパねえっす。もっと可愛らしさを出したい…


2011.01.04



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