あたたかいもの
「10代目、帰りましょう」
今日のHRも終わり、何事も無く1日が終わった
朝に獄寺君と山本が喧嘩するのも獄寺君が雲雀さんに喧嘩売るのも獄寺君がダイナマイトぶっ放すのもいつもの1日
「…………………はぁ」
「じゅ、10代目!?何でため息なんて…!!ま、まさか!!誰か気に入らない奴が!?俺が果たしますか!?」
最初のおっかない印象はどこへやら……でも、感情を自由に出してる、そんなとこもね、俺は好きだったりする
「…獄寺君のこと考えてたよ」
ため息なんてついてたせいで………ほら、眉間のシワだけじゃなくて眉まで下げて…ころころ表情が変わる様が愛しい
俺が変えてることが嬉しい
「漸く二人きりだなって。帰ろっか」
今日は俺達の恋人記念日
「うー…寒いね!!!!」
人気が少ない公園。よくデートする場所。お金もかからないし人目をすごい気にしたりとかしなくていいから絶好の場所
その代わり夏と冬は大変、というハンデ付き
「飲み物買ってきますね」
と言いながら自然な流れでぽんっ、と手渡して買いに行ってしまう。手にあるものは獄寺君の優しさ
自然な気遣いで俺に温かさをくれる。くれたものはホッカイロ。いつから用意してたのかな
俺の心も自然と暖かくなる
「お待たせしました」
そしてカイロが何と無く冷えかけたところで戻ってきて温かい飲み物と交換
「ありがとう」
2人で温かい飲み物飲みながら少しだけ体をくっつけて、少しでも寒さを和らげる
でもくっついてることが幸せで、寒くても暖かくて、目が合えば2人で笑い合う
「………今日、本当にここでよかったんですか?」
そう、獄寺君がレストランを予約しようとしたり色々考えてくれてたんだけど…俺達の等身大の場所ってここな気がする
「………ここで、俺が告白したんだよ」
それからここでいっぱいデートして、少し言い合いしたりして、俺が少し泣いたりして、君が謝ったりして
「…ここは沢山の思い出があるよ」
そして、始まり。記念日は、毎回ここにしたいくらいだ
「そうですね………俺、あなたに告白された日。嬉しすぎて泣いちまいましたよね」
苦笑いしながら言うけど、俺は嬉しかったな。その後俺も泣いて
好きな人に好きと言う怖さ、好きな人に好きと言われた嬉しさ。それを全て感じた
「………自分で言うのもなんだけどさ、俺の父さんと母さん。仲いいじゃん」
呆れちゃう程。最近は羨ましいほど
「あとね、もうおじさん、おばさんなのに手を繋いで歩いてる人達を見た。おじいちゃん、おばあちゃんなのに2人で1つの傘さしてる人達を見た」
チラって見たらきょとんってしてた。俺が何を言いたいかっていうとね
お互い、少し冷えかけてた手をぎゅって握って
「俺達も、そういう人達になりたいな」
少し照れくさかった
恥ずかしくて顔見れないや
「……………それは、」
ちょっと手の震えを感じる。獄寺君緊張してる……
「っ、俺がじいさんになっても一緒にいてくれるってことっスか」
改めて確認しないでよ………うん、まぁ、分かってたけどさ
「父さんと母さん以上に仲良くなって、歳取っても手繋いで笑い合って、相合い傘しちゃう程のおじいちゃんになろ」
もーっ!!恥ずかしいじゃんかっ!!!!あまりの恥ずかしさにマフラーに顔を埋めた。あつい………
「……………はい」
「…言っとくけど泣くの禁止ね」
「……………は、ぃ…」
だからぁ………
飲み終わった缶を横に置いて、繋いでなかった手で涙を拭う
「10代目、手冷たいッス…」
「その手をあっためてくれるんでしょ?」
「俺……手袋持ってないッス。カイロも切れちゃいました」
「俺も手袋もカイロも無いよ」
だから手繋いで帰ろ
ほっぺにキスしたら、獄寺君が口にしてくれた
目が合ったらさっきみたいに笑い合った。もう泣いてない
2人で手を繋ぐと幸せ
2人で笑い合うと幸せ
2人でキスすると幸せ
2人でいるととても幸せ
ほら、不思議
あったかい
もう寒くないね
「大好きです」
「うん、俺も」
きっと、この先もずっとずっと
俺達は幸せ
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あとがき
2011年初作品!!やはりここは獄ツナで!!何かすごくこっぱずかしい話になりました(^q^)笑
相合い傘してる老夫婦も、手繋いでる方々も、実際に見たんですが本当あれは幸せになりますね。癒される
公園な理由は単純に私が書きやすかったからです。寒いかららぶらぶしやすいじゃないですか。家に行っていちゃいちゃしろというツッコミは無しでお願いします
2011.01.03
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