内緒
「テスト返すぞー」
あぁ………来たよこの憂鬱な瞬間
「はぁー………」
分かりきっていた。あぁ、分かりきっていたよ
何かすごい簡単に作ったから50未満は補習………まぁどうせいつもの2人だろうな
「山本ー頑張ろうねー」
なぁんて苦笑いしながら言ったら苦笑いで返ってきた。いつもならあの笑顔で『おうっ!!早く終わらせようぜ!!』って言うはずなのに
ま さ か … !!
「……………わりっ、ツナ」
謝って見せてきたのは丁度50点
「え、アウトじゃない?だって50未満って入るよね?」
そうだよ、今回の数学のテストだっ……て…
「ツナ、そこんとこ全部ケアレスミスしてんのな」
マジだ………
しかもそのミス無くせばまさかの俺も丁度50点だった…
て訳で、教室にぽつんと1人。しかも今日は獄寺君がいなくて山本もさっさと部活に行っちゃったから掃除を押し付けられた
おかげで始めるのも遅くなった。まぁいいんだけどさ。テストと似た問題だし見ながらしていいって言うから合格点に行くのはそこまで時間かからないだろう
それに………
「山本ー!!そっちボール行ったぞおおぉ!!!!」
「ウッス!!!!」
「…ナイスキャッチ」
思わず声に出していた。それに自分が笑ってるの分かる
山本は……俺の大好きな恋人だったりする
いっぱい助けてくれて、頼りになるのに、補習はいつも一緒
そのいつも通りの2人きりの補習で…夕日が当たる教室で告白された
(嬉しかったなぁ…)
皆に会うまでは夕焼けは憂鬱な1日が終わるから嬉しかった
皆に会ってからは楽しい1日が終わるから寂しくなった
でも、山本に告白されてからその気持ちに幸せな思いが足された
(………早く終わらせて山本を見てよう)
本当は山本の練習が終わる時間と合ったら一緒に帰ろうって話だったんだけど、例え早く終わったって待ってる
「よし、合格だ。もう帰っていいぞ」
無事課題も終わった。さて、教室に戻ろう!!
しばらく見ていたらいつの間にか終わったみたいだ。皆が片付け始めてる。今日も山本はすごかったなぁ……皆には勿論言えないけど俺の自慢である
(……………ちょっと驚かせようかな)
寝てるふりして、起こしに来た瞬間にわーっ!!ってやろう
安直だけど何だかんだ単純だから、きっと驚く
ガラッ
「あれ、ツナまだいたんだ…?ん?寝てるのな…」
よしよし、バレてない
足音が近付いてきた
もう少し
もう少し……………
ちゅっ
!!!!!!!!!!!!
(え、い、いま…いま……!!)
「ツナ、起きろって」
すぐ起きれる訳もなくしばらく寝たフリだ
しかも………しかも…!!
「ツーナ!!!!」
揺さぶりが大きくなる。てか机がガタガタ鳴ってるよ……でも起こされてるときこのタイミングで起きるよな…いつもこんな揺すられてたのか…
「あ………お、つか…れ……」
自然に自然に
「今日も待っててくれたのな!!補習終わったんなら帰ってもよかったんだぜ?」
いや、それはいいんだ
それはいいんだ
何、俺よく待ってる途中に寝ちゃって今みたいに起こされるけど
いつも………キスしてたの…!?
「ツナ?どした?」
「いやいやいや!!ななな何でもないよ!!ほ、ほら早く帰ろ!!暗くなっちゃうよ!!!!」
変なのなーとか言われてるけど気にしてられない。何かすごい照れてきた……これからはちゃんと起きてなきゃ………!!
「ツナ、手繋ごーぜ」
と言いながら手を繋ぎながら帰る俺達
我ながら切り替えの早さに驚く。いや、切り替えなきゃまともに帰れなくなる…!!
「今日も夕日が綺麗なのなー」
はしゃぐ子供みたいにぶんぶん振りながら前をまっすぐ見てる
「………うん、綺麗」
山本に告白された日を思い出す。幸せな気持ち、でも明日までお別れしなきゃいけない寂しい気持ち
「俺ね………」
「うん?」
「山本の大きくてごつごつした手が好き」
あ、驚いてる
「俺と一回り違う大きな体が好き、広い背中が好き」
照れてる照れてる
滅多に見れないから……あともう一個!!
「聞いてて落ち着く声が好き、頼りになって前向きな性格が好き、元気になれるような笑顔が好き」
つまりはね
「………山本が好きっ」
うわー!!山本照れてる!!
顔を手で押さえて耳まで真っ赤にしてる!!新鮮!!!!
「………ツナはちっちゃいのにさ」
ちっちゃい言うな…!!
「その手に色んなものを持てる。心が色んな奴等を助ける。更に笑顔で幸せまでくれるのな」
あ、あれ……何かすごいこと言われてない?
ちょっと汗ばんだおっきい手がぎゅって少し強く握った
「………俺もツナが好きなのな」
──────っ!!!!!!
て、照れくせええぇ…!!
「ハハッ、仕返し」
俺こんなん言ってたのか!!そりゃ照れるわ!!あの山本だって照れるわ!!!!
「俺達両想いでラブラブなのな!!!!」
あぁ〜っもう!!!!
最後にわたわたすんのは俺かよ……
でも………うん
「……うん」
こてんって、頭をよっかからせた
「…その笑顔見ると幸せなのな」
「俺も」
周りに誰もいなかったから俺達はキスした。内緒の帰り道
「そういえばこの間の試合平気だった?こっちは丁度試合の頃に雨降り始めて…」
「マジで?こっちは快晴だったけど………あぁ、そっか」
「何?1人で納得しないでよ!!」
「いやあぁ、試合直前ずっとツナに会いたいって思ってたから。きっと会いに行ったんだ、雨の俺が」
太陽みたいな笑顔で言われるのはやっぱり違和感が感じるけど……
「雨見てツナは俺を思い出したんだろ?」
確かに、雨を見て山本を思い出してから試合の杞憂へ思考が移動した
「うんっ、だからかな。試合始まった瞬間、すっげぇ落ち着いたのな。何かツナに会えた気がして」
やっぱお前スゲー!!なんて言いながら抱き締められた
「山本が会いに来てくれたからだよ!!」
俺もぎゅーってし返した。おっきくて広い…包まれて幸せだ
「………着いちまったな」
「うん…ここまで送ってくれてありがとう。また明日ね……」
ちょっとお互いに寂しそうな顔。でもさすがに仕方無い。もう割りと暗くなってるし
「ん」
そして今日最後のキス
あ………思い出しちゃったよ。今日3回キスしてんじゃん
「ツナ、これだけ言っとくな」
髪の毛を避けながら内緒話をするように耳元に来た。息が当たってちょっとくすぐったい
「俺………お前が起きてるときにしかちゅうしねぇから」
な……………っ!!
「じゃ、また明日なー!!!!!!」
そう言って山本は今日4回目のキスをしていたずらっ子な顔で帰っていった
そのいたずらっ子な顔がよく見えなかったのは暗かったせいか俺が恥ずかしくて見れなかったせいかどっちか分からない
それは、きっと
(………………顔が熱い)
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あとがき
な ん だ こ れ … !!
書いてる私は楽しかった。何か山ツナがとかでなく久しぶりに甘い話を書いた気がする
途中の雨の話は入れる予定無かった…でも何かしらで書きたくて一個の話にできなさそうだから無理矢理入れちゃった!!本当に無理矢理だな!!
とりあえずもっさん幸せな話になってよかったね!!山本言い過ぎて途中山本が何か分からなくなったよ←
2010.12.29
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