俺の生きる意味


「二度と歩けない」の設定のみ抜粋
暗い話

-----------------------

「山本!!」

「ツナ!!毎日見舞いありがとな」

「そんな、友達じゃん!!ね、今夕焼けが綺麗なんだ。外行こ」

「おう!!」


------------------------


「すげぇ……本当に綺麗なのな…」

「うん、今日来るのちょっと遅くなっちゃったけど…むしろ丁度よかったのかな?」

「…………なぁ、ツナ」

「ん?」

「俺さ……空に、広い空にボール投げんの大好きだったんだ」

「うん…」

「快晴の空に思いっきり投げたり、今日みたいな夕焼けの空に投げたり…」

「うん…」

「高く、遠く、空が吸い込むんじゃないか、って思うくらい投げててさ」

「うん…」

「投げるだけじゃなくて打つのも好きだった。ホームランとか最高でさ…」

「…うん。山本はさ、本当に野球好きだよね。誰よりも、練習して、誰よりも、頑張ってて……」

「そんな言われたら照れるのな」

「本当の事だよ」


「なぁ……俺、いつ野球できるようになるかな」

「っ、きっとすぐ治るよ!!また、すぐできるよ…!!」

「ありがとな、ツナ……でも、気使わなくていいんだ」

「え、な、何言ってるの山本!?」

「俺さ、もう知ってるんだ」

「!!」

「一生、歩けないんだろ?」



「………っ、ごめ…ごめんっ、やまもと…っ!!」

「ツナが謝ることないのな」

「違う!!俺がいけないんだ…俺が、ボス候補なんかじゃなかったら…こんな目に合わせたくなかったから継がない、って言ったのに…っ、ケガどころか……やきゅうまでっ」

「………泣くな、ツナ」

「ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん…ごめんな、さ……っ」

「ツナ、俺の前立って」

「……っく、っ!?」

ツナを引っ張って、思い切り抱き締めた

「な、ツナ……俺、生きてる」

「………っ」

「前まで、俺は野球が無くなったら全部終わりだと思ってた。生きてる意味も無いって思ったし、死んでるのと同じだった」

「…………」

「でも、今は違う。俺、生きててよかった」

「……やま…と」

「ツナに、会えてよかった。まだこうして話せて一緒にいれてよかった」

「……………っ」

「俺に、生きる意味をくれてありがとう」

「やま、も…とっ!やまもとぉ……っ」

俺の服を強く掴んで泣くツナ。ツナの体温と涙の温かさが直に伝わってくる

「…………好きだ、ツナ。」

思わず溢れ出した言葉

「………今は返事いいから、俺の気持ち伝えられたらそれでいいから」

「っく、ふっ…っぇ…っ」

「だから、今は…もう少しこのまま………」


------------------------


「じゃあ…また、ね」

もう外はすっかり暗くなってしまっていた

「おう、ちゃんと目冷やすのな」

「うん…………」

…………?
背を向けたのに立ち止まった。帰らないのか


「どうしたツナ?」

「あのね、俺も」

ツナが、振り向いた

「………俺も、山本のこと好き、大好き。全部終わったらいっぱい話そう。いっぱいデートしよ。あと……」

「…っ」

「いっぱい、キスしよ……なんて、ね!!じゃあ、またねっ」




「………………………ツナ、それ反則…」

まさか、今返事が来ると思わなかった。しかもあんな柔らかい笑顔で、OKだぜ?それに………


(キス、されちまった…へへ………)







………さて

「いるんだろ、獄寺」

「……………」

「わりぃな」

「………10代目が決められたことに口出しなんざしねぇよ。けっ」

「ハハハ!!」

相変わらず口が悪い奴。しっかし相当悔しいだろうなぁ………でも、な

「…………あのさ、獄寺」

「あぁ?」

「頼みがある……」

「…………」

「今の俺にはもう野球は無いけど……剣も無くなったんだ」

「…………」

「それでダチが減るのは怖くねぇ。でもな、剣が無いってことは……俺にはもうアイツを守る術がねぇんだ」

やべ、声震えてきた

「…………」

「俺は…っ、おれはっ、アイツをうしなうの、が…っ、いちばん…いちばんっ、こえぇっ!!」

あふれだす、あふれだす

「…………」

「だから、だからっ、アイツを…ツナを……まも、て……く、れ…」

ツナの前では見せなかった涙。だって、ツナが俺のために泣いてくれたんだ

「…………たりめぇだ」

「………っ、っく…っ」

「てめぇなんかに言われなくても、俺が…俺達が必ず10代目を守る」

「─────…っ」

「てめぇのその涙も背負って俺等が戦うぜ。ぜってぇあの方は守ってみせる。」

「……さん、きゅ…っ」

「だから、だから……笑顔で、あの方をお迎えすんだぞ。じゃあな」

「あぁ……あぁっ……!!」

誰よりも、信頼できるよ
ツナの右腕で、俺の親友………






───神様…


『あのね…』


俺を、生かしてくれてありがとう


『俺も』


足は動かなくなっちまったけど、目は見える。耳は聞こえる。言葉を話せる。手も動く


『俺も山本のこと好き』


お前がいるところに着くのは遅くなるけど


『大好き』


お前を掴むことができる。
抱き締めることができる。
愛を囁ける。
キスができる。


「…………っ、好きだ…っ、ツナ………っ!!」













君は俺の大空














------------------------
あとがき
すみませんでした…!!
書いてる自分も悲しくなりましたよコレ

でも、もっさんはピンチの時に必ず現れるヒーローだって信じてます

2010.06.30



目次/TOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -