獄わんことつにゃんこ
〜出逢い編〜
注意書
パラレル
ツナと獄寺獣化
ディーノさん飼い主兼恋人
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俺は今、ものすごく機嫌が悪い
「オラ!!食いもん出せよてめぇ!!」
ものすごく、機嫌が、悪い
「人間に飼われてるんだから色んなのもの持ってんだろ!?」
もの、すご、く……
「も、持ってないです…!!や、やだっ……誰か…ディーノさん…っ」
「…おいおい随分可愛い声で鳴くじゃねぇか」
………………
「だいじょうぶだよぉ!!金無いってなら優しい俺たちは許してあげるからさ〜…………てめぇのカラダで────……」
「お、おいっ!?」
「誰だ…っぎゃあ!?」
「…………?」
「おい、てめぇなんだいきなり!?」
「なんだいきなりじゃねぇ。飼い犬にたからねぇとテメェの食いもんすら用意できねぇなんざ情けない野良犬だぜ」
「ざけんじゃねぇ!!覚悟しやがっっ……!!」
弱いな。あっさり全滅
「機嫌わりぃ俺に会ったのが運のツキだったな。おい、おま……」
…………!?
「………っく、ひんっ、ぇっ」
おいおいおいおい。野良犬じゃなければ飼い犬ですらねぇ………飼い猫じゃねぇか…あいつら…
「…………おい」
「─────っ!!」
「…………分かったろ。ここはてめぇみたいな綺麗な奴が来るとこじゃねぇ。さっさと優しい飼い主んとこ帰るんだな」
んだよ。カツアゲされてた奴にも八つ当たりしてやろうと思ったのに……そんな震えながら泣かれたらどうしようもねぇじゃねぇか。あれ、でも俺今までそういう奴普通にぶん殴ってたな。むしろ今は話しかけて震えられてなんかイラッときて…いや、いつもイライラはしてる。何だ、何だ?これは。どういうことだ?
なーんて考えてたのがいけないらしい。気付いたらけたたましいクラクション。大きな車。うわぁ最悪………俺こんなんで人生終わるのか。ってか犬だから犬生か。くだらねぇ。あぁそうだ、どうせくだらねぇ野良犬だ、いつ終わったって一緒だよな………
体が宙に浮かんだ
──────…………あぁ…体がいてぇ……でも、案外痛くない。そっか。死ぬんだもんな。でも体は重たい…なんだこの変な感覚。なんかあったかい………これ、は…
「──────………」
「だ、……です、か…っ」
目を開けてみた。そこにいたのは震えながら……泣きながら……言葉さえロクにしゃべれてねぇのに俺の安否を心配しているさっきの飼い猫
「…………なんで助けた」
「俺っ、おれっ、さっき助けてもらったのに……こわ、て、おれい、ってな、し…」
礼……?俺はむしゃくしゃしてたから奴等を蹴散らしただけなのに
「した、ら…くる、まにっ…ひか、れそ…で……っ」
あんなに震えて泣いてたのに?その体で体当たりして助けた?今だってこんなに震えてるのに?泣いてるのに?
「ぶじ、で……よか、た…っ」
そう言いながらこいつは俺の胸に顔を埋めながらまた泣いた。あったけぇ……この重さですら、こいつの存在を感じる。俺はこいつにまた命を与えられたんだ…只の野良犬で、つまんねぇ毎日をただただ生きてただけの俺に、少し……俺という存在と毎日を生きる意味が与えられた気がした………………
─────────────
「じゃあツナさん。また、明日。俺が迎えに来るまでは絶対出歩かないでください」
「うんっ、獄寺君!!明日からよろしくね!!」
飼い猫のツナさんは、外に出たことがなく…と言うよりも出させてもらえなかったらしい。今日言いつけをやぶり出てきた矢先にあの出来事
でも、外の世界を知りたいらしいので俺が守る、という話で解決させ早速明日から………自然に笑みがこぼれる。なんかおかしな話だ……………
「ツナっ!!!!」
「っ、ディーノさん……ディーノさんっ!!!!」
!?
「お前、何で、外に……」
「っ…ごめんなさいっ!!外に、出てみたくて……」
ディーノ………ディーノ…?
『やだっ……誰か…ディーノさん…っ』
あ………
「とにかく、1人で出るなってあれだけ……」
「1人でなきゃいいんだろ?」
「…………何だ、お前は」
「ディーノさんっ!!獄寺君は俺を助けてくれたんですっ!!それで、明日から一緒に遊んでくれるって……」
俺を睨み付けたディーノに対してツナさんは必死に話してくれて…ディーノとやらはしぶしぶ承諾をした感じだ
「…………ツナに手出したら承知しねぇ」
「あぁ!?んなもん俺の勝手、だ、ろ…………」
……………………え?
「………、俺が帰ってくるまでにはツナを送り終わらせること。大体いつもこの時間だ。10分は許してやる。それ以上遅かったら……分かったな。じゃあ入るぞツナ」
「はいっディーノさん!!じゃあ獄寺君、またね!!」
…………………ぇ、あまりにも普通なツナさん。てことは、てことは?
……………………
俺の初恋…数時間でフラれました………
「でもっ、でもっ、ぜっってぇ諦めねぇぞおぉ───────っ!!!!!!」
その夜、誰もが力強い犬の遠吠えを聞いたとか聞いてないとか
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「ディーノさん、何でさっきキスしたんですか?」
「ん?我慢できなくて」
「もう………わざわざ獄寺君の前じゃなくたって…ん…ぁ……」
「(アイツの前だから意味があるんだけど、な…)ん、……はぁ…っ、……風呂、行くか……?」
「ぁ……………はぃ…」
熱に浮かれてとろんとした目の可愛い可愛い俺のツナ。誰にも渡さねぇ
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あとがき
やっぱり獄わんこ!!つにゃんこに助けてもらって、これからの日々を楽しむ彼を書きたくて
実際は奮闘して玉砕する彼を私が楽しみながら書くんですがね←
2010.06.27
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