嵐の人


朝起きたら

「よっ」

「…………うす」

初代嵐の野郎がいやがった


「しかしあれだな、お前んちの冷蔵庫は本当何も入ってねぇな」

「いやいやいや何見てんだよ!!」

「お前なぁ料理の1つくらいできないと]世に嫌われるぞ」

「ぐっ……」

「皿洗いもできねぇだろ」

「ぐぐ…っ」

脳裏に出てくるのは野球バカのとこでのバイト

「あの時お前が更に借金を増やしたせいで]世はあんな目やこんな目に!!」

「やめろおおおおぉ───────…………!!」

*

「つーわけで」

今目の前にいやがるのは

「右腕と言うものがどういうものであるべきかじっくり観察しやがれ」

俺だ

「何をしても出てくるなよ。その時点でお前は耐久力も無い男と言うことだ」

中身は初代嵐

「じゃあ]世迎えに行ってくるわ」

なっ、もうそんな時間だと!?

こんな野郎に気を取られたせいで当の俺は全く準備ができていない。は、早くしなければ…!!

「はいマイナスー」

………………!!

*

「行ってきまーす!!」

「おはようございます、10代目」

「おはよう!!あれ、何か声が…」

「あぁ、どうやら風邪を引いてしまったみたいで……でも大丈夫ですよ」

いや、無理あんだろ

「………ばかっ!!」

ほらな!!10代目嘗めんな!!

「そんな薄着で毎日毎日待ってたからでしょ!?何であったかくしてこないの!!はいっこれ」

っ!!

「い、いけませんっ、それではあなたが…」

あ、あろうことかあの野郎

「セーターも着てないのに何を言うんだよ。俺はカイロあるしセーター着てるからマフラーくらい無くてもいいのっ」

10代目に10代目のマフラー巻かれたあああああぁ──────────!!

「(俺だってやっていただいたこと無いのに…!!)」

「すみません…」

「いいよ!!いつも謝ってばかりだよ獄寺君は…」

「それは………、っ!?」

「………今日手袋忘れたから大通りまでは繋いでようね」

「(あああああああああ10代目ええええぇ……!?)」

駄目です駄目です何してるんですかそいつ俺じゃないんですよ何で分からないんですかあなたの獄寺隼人は後ろにいるのに

「(……………アイツにも、こんな可愛さが少しでもあったらな)」

発狂しそうですが我慢します我慢します10代目あぁでも明かした後思い切りハグしますねちゅうもしますね俺思い切り頑張りますからねはぁはぁはぁはぁはぁはぁ

「(何か色々ムカつくから思い切りマイナス)」

*

「なぁーんかおかしいよなぁ………」

「へ、何が?」

「獄寺君が!!山本は感じない?」

「いんやぁ別に。風邪ひいってっから今日は比較的大人しいだけじゃね?」

「そうなのかなぁ……」

何か違和感を感じる…気がする。でもなぁ、なんかなぁ…前にも似たようなこと無かったっけ?あれ、気のせいかなぁ…

「うーん……」

「お待たせしました10代目。考え事ですか?」

……………………っ

「な、何でもないよっ!!」

突然獄寺君のアップで驚いてしまった

「(うわ、今絶対顔赤い……)」



「(10だいめええええぇ…)」

*

「じゃ、俺部活あっから。また明日な!!」

「おう」

「お疲れ〜!!また明日ね!!」

と言うことで獄寺君と

「では、帰りましょうか。10代目」

2人きりの下校

「うん」

けど………やっぱり何かおかしいんだよな

ちらり、と然り気無く顔を仰ぎ見る

獄寺君なのに、どこか大人っぽくて落ち着いてて…そういえば今日山本に突っ掛かったりしなかったな

「10代目、もしこの後お時間よろしければ今日の宿題お教えしますよ?」

「うん、お願い!!あ、でも獄寺君風邪は?」

そう尋ねると

「………っ!!」

素晴らしい笑顔が返ってきた。何て顔で笑うんだ初めて見た

…………あれ?

獄寺君って……いつも

「着きましたよ10代目」

「う、うん!!あれ…誰もいないかも。とりあえず入って」

「お邪魔致します」

「飲み物とか持ってくから先行ってて」

「俺もお手伝いします」

……………いつも通りか

*

「それで、このxを求めるには先程こちらで求めたyを用いて…」

……………分かりやすい

「はい、よくできました」

そしてまた微笑んだ。やっぱり何かがおかしいんだ。今日ずっと引っ掛かってる……

「あのさ、ごくでら…く…」

「はい………」

いつの間にか視界が獄寺君と天井になっている

「10代目…」

「んっ」

耳元で甘く囁かれて、優しく首、鎖骨と撫でて、器用に片手でボタンを外していく………

どこまでも優しい手付き

「……………あなたは、誰ですか」

「……何をおっしゃってるんですか?」

「あなたは獄寺君じゃない!!」

「俺ですよ、10代目…」

優しく肌を撫でられる
ぞわぞわする
違う…違う違う違う違う違う違うちがうっ!!

「………っ、獄寺君はっ、いつも一生懸命で、こうゆうとこでも余裕なくて」

『10代目……』

「眉間にシワ寄せて、緊張で手震えてるのに」

『ごめんなさい、俺今日余裕無いかもしれかいです。でも、でも』

「それでも大事に扱おうとしてくれるんだっ、こんな優しすぎないのっ丁寧じゃないのっ」

『痛くしませんから、乱暴もしませんから、好きです、好きです、大好きです、10代目』

「……………10代目」

「だから…だからっ、あなたは獄寺君じゃないっ」

そう叫んだ瞬間まだ幾つか留められていたシャツを無理矢理開かれた。ボタンが飛んでいくのが見えた

「………俺が本当はいつもこうしたかった、って思ってたらどうしますか?」

………っ、やだ

怖い

獄寺君の顔をした獄寺君じゃない人

やだ、怖いよ

助けて、助けて、助けて

「助けて獄寺君っっっ!!」

「てめええええぇっ!!」

突然ドアが開けられて、獄寺君が殴られた。殴ったのは

「……………獄寺君」

「10代目!!大丈夫ですかっ!?すみませんっすみません…っ!!」

………………ほら

俺に触る手付きは優しいのに

君はいつだって、震えてる

「うん………獄寺君が、来てくれたから…」

「……………おい」

「!!」

殴られた獄寺君を忘れてたと思い視界を移したらいたのは………

「初代嵐の人!?」

「………………」

「………耐久性がどうとか言うか?悪いけどな、10代目への耐久性はねぇよ。今突っ込んで来たことを何も後悔なんざしてねぇ。むしろ行かねぇ方が後悔した。」

「………………」

「10代目が俺へ助けを求めてくださった。これで十分だろ!?10代目を傷付ける奴は許さねぇ!!!!」

「………獄寺君」

「……いい度胸だ」

「「!!」」

「これでもし助けに来なかったら本気でイタリアへ強制送還だったな」

…………ぇ
あ、そうか。前にあった様な試練

あの時は絆だったけど………これは何て言うか………恋人…?

……………恥ずかしい

「悪かったな]世」

ぽんっと撫でられる

やっぱりこの人の手付きも優しい。でも……

「………あ、あの」

「ん?」

「……………優しくしたい人がいるなら、触りたい人がいるなら、ちゃんとその人にしてあげてください」

「]世………」

「だってこんな優しくしてくれるんだから、きっとその人だって待ってます。きっと、あなたのこと好きです」

「……………」

「大丈夫ですから、ね」

「10代目!!こんな奴に優しくしないでくださいいぃ…!!」

「あぁっもう獄寺君っ!!あ………」

初代嵐の人はまたあの優しい微笑みを浮かべて俺達の前から消えた

あの人は俺と誰かを重ねていた

あんなに優しい顔をして

優しい触り方をして

獄寺君とは違うけど

壊れ物を扱うような

誰かと重ねちゃ駄目です

だって、そこまで優しくしたい人がいるんですから、ね

「じゅうだいめぇ……」

「ん」

「じゅうだいめ………」

それに

「………よろしいですか?」

俺が大事にしてて、大事にされたいのが

「………うん、大好きな君になら…何されても」

*

「……………」

「おーいっ」

「……………」

「まだ怒ってんのかよ」

「……………」

「だから悪かったって」

「……………」

「俺は……」

「]世が好きならそっちへ行けばいいだろう!?」

「おま……」

「何か試練でもするのかと思ってとりあえずまた超直感防いだが何なんだ最後のアレは!!」

「おい、落ち着け」

「そうするのが目的だったのか!!俺はお前の何だ!?]世にはあんなに優しくして、笑いかけて……っ、俺なんぞいらないんだろうっ!?」

「ジョット…っ!!」

「─────…っ」

「………分かるか」

「………」

「お前にだって]世にしたみたいに優しくしてぇのに余裕ねぇんだよ!!」

「G………」

「……………こうやって俺の余裕が無くなる奴も、本当はもっと優しくしたい奴も」

「……………」

「キスしてぇ奴もお前だけなんだよ、ジョット」

「……………馬鹿者が」

「お前相手じゃ俺はいつだって馬鹿だ」

「ん………」

「今夜は………離さねぇ」

「当たり前だ………許さんよ」



そう

いつだって

『俺達』は大切な奴相手には余裕なんて無いんだ


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あとがき

無理矢理感満載でしたね、すみません!!Gプリの大人の雰囲気無理すぎる!!

アニリボ182話見た後から考えてたのに忘れててチャットで思い出したから書いてみました

もっと辛いネタなんですがね…悲しいし表現もできないから止めました

それにしても何故ギャグで始まったのにシリアスで終わったのだろう………

しかも何か不完全燃焼感半端無い…!!

2010.09.17



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