君と出逢えたこと
沢山のアリガトウ


注意書
パラレル
ツナと獄寺獣化
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9月8日
「………あだまいでええぇ」

俺は……………風邪引いた

「なんで今になって風邪引くんだよおおおぉ……!!」

「ごくでらー!!俺でかけるなー!!んでもってツナのとこ行ってくるなぁ」


くそやろおおおぉ…!!
果たしてぇ………

しかし、気力が無い…
それに…

(ツナさんに移すわけには…いかないよな……)

「お、珍しくおとなしいのな!!あ、そっか、風邪引いてたんだっけ〜」

わざとらしすぎてうぜぇ……!!

「とにかく今日は休めって。親父に言ってあるから出掛けようとしたらすぐバレるぜ!!じゃな〜」

明るい声で出ていきやがった……!!くそ…

野球馬鹿確か今日休みなんだよな………アイツがツナさんと1日中…

…………

……………

………………

「〜〜〜!!」

「おーっとお!!出ちゃいけねぇぜ!!首にネギ巻いて大人しく寝とけやっ!!」

くそ…野球馬鹿の親父…!!
マジですぐにばれやがった……しかも首にネギとかおいおい

というわけで今日は大人しく寝ることにした

いつもなら…無理矢理行くけど、今日休んでおけば、明日は行けるかも…しれない……


ね、ツナさん
俺ね、明日、ね


誕生日、なんです


さすがに、祝ってほしい…なんてのは、言わないです

プレゼントだなんて図々しいことも言いません


だけど、だけど


明日は一緒にいたいんです
ただ、それだけでいいんです
だってあなたにとっては何ら変わらない平日

でも、今年の俺にとって、特別にもできる日だから

一緒に、いたいです

(好きです、ツナさん……)

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9月9日

ピーンポーン♪

「はいはーい……」

ガチャ

「あっ、おはよう獄寺君!!」

「おはようございますツナさん!!」

「もう風邪大丈夫なの?」

「はいっ、お陰様で!!」

昨日休んだからか、はたまた寝てる間に野球馬鹿の親父にネギ巻かれたからか…

「すいません、昨日は…」

「ううん、大丈夫。昨日は武お兄ちゃんが遊んでくれたから」

…………っ!!

「でも、獄寺君風邪治ってよかった」

スマイルが眩しい……!!
昨日もぜひその笑顔見たかったッス………

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「今日はディーノさんがお金くれて…洋服買いに行こ!!」

「えぇっ!?」

あ、あの野郎が…
何をたくらんでやがる…

*

「これかなぁ?うーん…それともこれ?」

何故だ

「やっぱり獄寺君にはこっちかなぁ…」

ここは、俺が気に入ってる店……

「やっぱ、ワインレッドが大人っぽくていいかな!!はい、このシャツとジャケット着てみて!!ズボンとかはそのままでいいよね?」

と、渡されたのはワインレッドのカッターシャツと黒だけど少しカーキのニュアンスがあるジャケット。とりあえず言われるがままに着てみた

「ど、どっすか……」

「うんっ!!やっぱりかっこいい!!獄寺君さえよければもうそれ買っちゃおうよ!!」

実際はとてもシンプルで質素なものだけれど、色が高級感あり、いざというときに難なく使えそうだ…てか

「これじゃ俺だけじゃないですか!!結構金かかりますよね!?ツナさんは…」

「ん?俺はいいの。最近ディーノさんが新しく服買ってくれたから。ほら、会計行こ!今日はそのままこれ着ててよ!!」

腕を引っ張られる

会計で服はそのままで買うことに。てか、ツナさん…金貰ったと言うか、それカードじゃないすか……!!

「獄寺様ですよね?」

「え、あ、おう」

「いつも当店を御贔屓にしてくださりありがとうございます。こちらは、サービスです。ぜひお受け取りください」

と、渡されたのはシックな黒のタイに、俺好みな洒落たタイピン………

え、何だそれ
今までサービスなんてされたことなかったのに……!!

「うわぁ、かっこいいねぇ……ね、ね、つけてみて?」

上目遣いで首を傾げておねだりされたらつけないわけにはいかねぇよな…!!むしろつけなきゃ男じゃないっ

シャツもタイもゆるめにして、おもむろにピンを留める。全体がシンプルな分、アクセとタイピンが映える

…………やべぇ、何かちょっと嬉しいかも

「似合ってる!!やっぱかっこいいの似合うよね!!獄寺君髪も目もすごい綺麗だもん!!」

綺麗なのはあなたとあなたの心です。うん、我ながらうまいこと言ったぜ

*

会計が終わり再び外へ
いくらディーノの金とは言え、ツナさんから出してもらうと悪い気がして、払おうと思っても

「いいのいいの!!」

と断固拒否される
……………ディーノの金だからいっか

「どうしますか?ちょっと何か食っていきます?」

そろそろ小腹が空き始める頃だろう、ちょうどファーストフードやカフェやらが並んでいる

「んー………今日は我慢」

「え、我慢するんですか?」

「うん、我慢」

俺は心配になった。まさか俺の風邪を移してしまったのでは無いだろうか

おろおろしていると、俺のその様子に気付いた様で、大丈夫、といった顔で彼は笑った

「ブランコ乗りに行こー!!」

*

と、言うわけで2人仲良くブランコをこぐ

最近のガキはあまりこういった場には来ない。ゲームやら塾やら……俺は何かあったらよくブランコに乗りに来たものだ

ツナさんは箱入りだったからあんまこういうのもしたことなかったみたいで、楽しんでらっしゃる

押したり、押してもらったり、隣同士に座ったり……
あわよくば2人乗りしたかったがさすがに我慢した。俺の理性がまずい

「もう夕方だねぇ」

「あぁ、結構遊びましたからねぇ……」

「そろそろ帰ろっか」

「え、もうですか!?」

いくら日が短くなったと言えもう帰るのか。まだ時間があるけども……

「家で遊ぼ!!その方が危なくないし」

「…そうですね、帰りましょう」

まだいれるならいいか…
本当は1日中いたいけど…その願いは無理そうだな。我が儘は駄目だ。今一緒にいてくださることにも感謝だ

「本当は砂遊びもしたかったんだけど、せっかく獄寺君をおしゃれにしたから、また今度しようねっ」

「はい、ぜひ!!山作ってトンネル作ったり色々しましょう」

すると彼はまた優しく笑ってくれた

不思議な気分だ
自分がこんなに穏やかになれるとは思ってなかった。無邪気になれると思ってなかった

(やっぱツナさんすげぇ………)

*

ガチャ

「郵便受け見るから先上がって」

主より早く入るのに気が引けつつ睨まれてしまったので大人しく従う

そして家に入ったら押されるように、リビングへと誘導された。テレビゲームでもなんかするのか




パ─────────ン!!





な………………

「誕生日おめでとう獄寺君!!!!!!」

真っ先に言ってくれたのは後ろに立っていたツナさん

けたたましいクラッカーを発したのはディーノ(べ、別にびっくりなんかしてねぇからな)

テーブルの上には強請な寿司の数々

「雲雀さんがね、すっごいおいしそうなケーキ用意してくれたの!!」

ケーキもあるらしい

「え、え、えと……」

「獄寺、その服は俺からのプレゼントだ。つっても選んだのはツナだけどな」

ちなみにネクタイとタイピンもこいつからだったらしい

「んで、夕飯は俺からなのな〜」

これ………確か高いコースだよな?

「……………甘いもの嫌いとか言ったら咬み殺すからね」

あ、そっか、こいつも用意したんだっけか

「こ、これは一体…」

「昨日ね、武お兄ちゃんから今日が獄寺君の誕生日だって聞いたの!!だからせっかくだから皆でお祝いしたいなって!!」

……………分かった
こいつら、ツナさんの笑顔にほだされたな…

でも………
何だろう…何かこのくすぐったい感じ

「え、えと、その………」

さんきゅう、な

と、照れ臭かったからぼそぼそ言ったら

「いや、お前のためじゃないし」

「ほら、うちんちが儲かるから」

「言っとくけど綱吉の為のケーキだから」

誰も祝う気ねえぇ…!!
いや、分かってたけどな…後ろでツナさんは「皆照れてる〜」なんて言ってますがこれ、奴等の本音ですよ…!!

いつまで突っ立ってるのも何なので、食べることにした

…………………こんな、賑やかなのも、悪くないのかもしれない…

*

腹一杯食って、雲雀も帰って、俺等もそろそろ帰るか、となり玄関へと向かう

何故かツナさんがいなくて、ディーノしかいねぇ。最後に、もう一度お会いしたかったな………

「じゃあ、また!!」

ツナさん………

「ごくでらくんっっ」

っ!?
ツナさん…っ!!
やっぱ俺の為に…!!

「うわぁっ!?」

「おっと…あぶねぇだろ?ツナ…」

あぁ、止めろ、ラブラブオーラ出すな、くそ…!!

「えとね、俺………こんなのしか用意できなかったんだけど…」

そう言って差し出してきたのは

「あ………」


いつか、河原で作った白詰草の花冠


「俺も、ちゃんと自分で用意したかったの。そしたらこれしか無かったんだけどね………獄寺君が教えてくれたからできたよ!!まだまだ不恰好だけど、俺からの誕生日プレゼントです!!」

ツナさん自ら俺の頭に乗せてくれた

「誕生日おめでとう獄寺君!!」

*

帰り道、山本と2人で帰りながら今日のことを思い出していた

白詰草…正直、この花はもう見るだけで辛い気持ちにすらなっていた。あの時の苦しい思い

でも………今日、いいものに変わった

(俺でも、あなたの王子になれると思っててもいいですか?)

この花冠は大切にしよう

素敵な日をありがとうございました、沢田綱吉さん………



温かな気持ちで笑みを浮かべながら「店主風邪の為本日休業」と書かれた竹寿司へと入った


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あとがき
誕生日おめでとう獄寺あああぁ!!!!大好きだぁっ!!

間に合うかどうか本気で怪しかったです。間に合わないとか獄ツナーとして駄目だ…って一心でやりました

でもあれですね、この設定ディノつにゃ前提話ですよね。ごめんなさい。でも白詰草をいいものに変えてあげたかった←一応罪悪感あったらしい

とにもかくにもおめでとう獄寺!!こんな話でごめん!!これからもツナと仲良くしてください!!


2010.09.09



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