恵みの雨とはこのことなのだろうか
注意書
パラレル
ツナと獄寺獣化
ディーノさん飼い主兼恋人
------------------------
「おはようございましゅ………」
「ん、おはよ。ツナ」
笑顔で俺の頭を撫でてくれる大きな手……毎朝のこの日課が(も)大好き
「わりぃ、ツナ。新聞取ってきてくれるか?」
「あ………はい!!」
最近、こんな小さなことだけどディーノさんからも俺に頼み事をしてくれるようになってすごく嬉しい
「わぁ………」
空が真っ黒。今日はもしかしたら雨降るのかなぁ?
「ツーナっ!!」
「にゃああああぁ!?」
なななななななに!?誰!?
「おっと、わりわり。そんな驚くと思ってなかったのな」
「武お兄ちゃんっ」
「ははっ!久しぶりなのな。しばらく見ない間におっきくなったなぁ?」
この人は近所に住んでる武お兄ちゃん!!割りと前はよく会っていたのに最近は全く姿を見てなかった
「うんっ、久しぶり!!えへへへー」
「よしよし。テスト期間でな、しばらく部活ねぇんだわ。ツナはいつもこの時間外にいるのか?」
「ううん、今日はたまたま!お兄ちゃんに会えて嬉しい!!」
「ツナは可愛いなぁ〜…おっと。そろそろ時間だ。またな」
「ん」
最後にもう一撫でして武お兄ちゃんは行ってしまった。思えば外で遊んでみたいと思ったきっかけはお兄ちゃんだったかもしれない
『…………ツナ?』
『はじめまし、て……』
『おうっ、俺、武ってんだ。おっきくなったらキャッチボールでもすっか!!』
「………………あ、早く持っていかなきゃ」
*
ディーノさんがお仕事に行ってから大分経った。もうそろそろかなぁ………
ピーンポーン♪
「おはようございますツナさん!!!!」
「獄寺君おはよっ」
「………何か今日元気いいっスね?」
「ん?んー近所のお兄ちゃんに久しぶりに会ったからかな〜……ね、今日はキャッチボールしに行こ!!」
「え、え、あ、は、はい……公園でも行きますか!!」
何か昔のことを思い出した………昔ってほど昔じゃなかった。まだ数ヵ月前かな〜
ポツン
「あれ?」
「………雨、ッスかね?」
やっぱり降り始めたか〜………って
「ね、獄寺君…」
「……………はい」
*
「い、急いで!!とりあえず俺の家!!」
「は、はいっ」
突然、雨が降りだしてしまい……幸いまだ家の近くだったので急いで戻ってきた。とは言え結構びしょ濡れだ
ドアの前まで来れたし早く開けなきゃ……
「…………獄寺君さむいね」
「そっすね。とりあえず家着きましたし、早く風呂入ったりして冷やしすぎないよう気を付けてください。それでは俺はこれで…」
「えっ!?か、帰っちゃうの!?」
それは困る…!!
「え、だ、だって出掛けるの難しいですし」
「っ、あ、あのね、獄寺君………」
*
これは一体何が起こっている
「やっぱりお風呂あったまるねぇ…」
いや、落ち着け俺。これは何だ。俺は何故今この方と共に同じ湯船に浸かっている
『あのね、獄寺君……わ、笑わないでね!!あのね…』
真っ赤な顔を俺の耳まで寄せて、恥ずかしそうに
『俺、水が怖くて1人でお風呂に入れないの……』
「ぶふっ…!!」
「ちょっ、獄寺君っ大丈夫!?
「ぬああああぁっ!?」
だだだダメです今でいっぱいいっぱいなんです近付いてきちゃダメですやべぇ反応すんな俺うっわ鼻血やべぇてか体ほっそ!ちっちゃ!幼さが残るのに濡れてて色っぽくて何てアンバランスなんだあああぁ落ち着け、落ち着け、こう言うときは数学を唱えるんだ。一夜一夜に人見頃、人並みにおごれや、富士山麓オーム鳴く……あ、あれ、これ何だっけ?てか、ツナさんちかっ顔ちかっ、むむむしろ体みみみみみっちゃ、みっちゃくして─────────
「ご、獄寺君!?大丈夫!?」
「大丈夫、ス」
「な、何で背中向けちゃうの!?」
相変わらず密着…!!だ、ダメです…今は振り向けないですあぁでも
「何でそんな前屈みなの?お腹痛い?」
いや……………これは仕方無い
おおお落ち着け…とりあえず落ち着け俺…深呼吸、深呼吸…!!
「……………お、俺髪洗いますね。お借りしてよろしいですか?」
何とかセーフ…!!
まだ湯船出たくねぇけどこれ以上ここに一緒にいたら俺もツナさんも危ない
「うんっ、あ、俺が洗ってあげる」
………え?
…………俺、すげぇ幸せ
「力加減大丈夫?」
「ちょうどいいッス」
「お、お湯かけるよ!?」
「はい」
「…………獄寺君、お湯っていうか水とか怖くないの!?」
「あぁーやっぱ突然雨に降られるとかしょっちゅうだったんで慣れましたね」
「そ、そっか………あ、熱くない?」
「大丈夫ッス」
気を使うツナさん………可愛すぎます。LOVEッス………
「背中も流すねー」
俺、今日程雨に感謝した日ねえええぇ!!!!
*
「まだ結構雨降ってるねー」
「ですね…この調子じゃ1日雨かもしれないですね」
「もし夜になっても止まなかったら今日は泊まっていきなよ!!」
「え、そ、そんな!!気使わなくてよろしいですよ!!こんなのしょっちゅうですし…」
「………ね、獄寺君は雨が降ったときはどうしてるの?」
……?
何か様子がおかしい…?
「まぁ…大体は路地裏とか、橋の下とか、夜だと土管の中とか………!?」
つ、つな…さん……?
「………っ」
「なな、何故泣かれてるんですかっ!?」
「…っ、おれっ、獄寺君達の苦労を何もわかってないんだ…獄寺君に初めて会ったときだって、外のこと何にも知らなくて、ただ出てみただけだったけど…」
ツナさん……
「……っ」
『ここはてめぇみたいな綺麗な奴が来るとこじゃねぇ。さっさと優しい飼い主んとこ帰るんだな』
「ひぐっ…ぅぇっ…」
「つつつつなさん〜…」
こ、これは困った…!!だ、抱き締めていいか?いいのか?あれ、俺すげぇ不謹慎なこと考えてね?
「ごくれらくんっ!!」
抱き着く前に抱き着かれました。幸せ……
*
「…………」
「落ち着きました?」
「…………」
返事はないが頷いてくださった。しかし……まさか俺みたいな野良犬を心配してくださったなんて…
あの後もこんな時はどうしてるか、この時は、こうしたい時は、等色んなこと聞いてきて、その度に泣いてしまい、もう何個目かの答えでついに黙り込んで泣き出してしまっのだ
「……………ね、獄寺君も一緒に住も?」
「…………え?」
え?聞き間違えか?
「そしたら、晴れた日には出掛ければいいし、雨の日はこうやって中にいればいいし、暑くても平気だし寒くても平気だよ!!そうしよ!!ディーノさん帰ってきたら話そ!!」
…………………単純に嬉しい、って気持ちと理性持つかな?の無意味な葛藤。なんてことだ俺………
*
「ただいまー!!」
…………………あれ?来ない?
まだ帰ってきてないのか?いや、しかし靴はある。むしろ何だこの靴。少しサイズ大きめの……………まさか
俺は大急ぎでリビングに向かい
「─────っ!!」
あぶねぇ………嫉妬に狂うとこだった。何故アイツがいる。何故アイツの腕枕で2人仲良く寝ている。そこは俺のポジションなのに…!!
とりあえず、獄寺を起こすか…………ん?
ツナ の 目 が 腫れている
「おいコラ獄寺あああぁ!!何でツナの目が腫れてるんだ!!何しやがった!!」
「るせぇっ!!ツナさん起きちまうだろうが!!」
「ん………あ、ディーノさん…おかえりなさぃ…」
ぎゅうぅ…
「…………ただいま、ツナ」
うん、落ち着いた。本来なら迎えに来てくれなくて意地悪したいところだが、ツナからぎゅう………ちゅうもしてやれ
「(ディーノの野郎…!!)」
*
「うーん、成る程なぁ………」
「ね、駄目ですか?」
「ツナ、お前の願いは叶えてやりたいんだが………さすがに2人は飼えないんだ」
「そんなぁ……」
ツナさんは宣言通り、ディーノの野郎に話してくださった。答えは勿論NOだ。まぁ予想通りだな、それにこいつの場合、2人飼えないとかじゃなくて
「(テメェとツナさん2人っきりの時間が減るのが嫌なだけだろ………)」
「獄寺君………ごめん、ね…っ」
「そ、そんな、泣かないでください……大丈夫ですから、ね?」
「………とりあえず今夜は泊まっていい。明日、飼えそうな知り合いを呼ぶからそれでまた話し合おう。な、ツナ…それでいいか……?」
「……………」
納得いかないって顔しつつ頷いた…そんなにも俺のこと……!!
「獄寺君、今日は一緒に寝ようね!!」
「「!!!!!!」」
外は未だに雨が降り続けていた─────………
------------------------
あとがき
続きます!!本当はこの後の展開が書きたかったのに…!!しかし一緒にお風呂は案外書いてて楽しかったです
なんかもっさん初恋みたいになってますけど違いますからね。近所のかっこいいお兄さんです
2010.07.31
目次/TOP