この距離何センチ


最近、どこか俺の様子がおかしい

「おはようございます10代目!!」

「おはよう獄寺君」

ツナの笑顔って可愛くて、見てるこっちまで元気になれて

誰彼構わずそんな笑顔を見せないでくれとか、

「はよっ!ツナ!!」

「あ、おはよ、山本!!」

「てめぇ肩組んでんじゃねぇ!!」

こうやってふれ合いたいって、思うようになった

*

最近、どこか俺の様子がおかしい

「10代目どうかされましたか?」

「…………え、あ。何でもないよ」

獄寺君はかっこいい。声変わりもしてるから更に大人っぽさを感じる、けど、

「はよっ!ツナ!!」

「あ、おはよ、山本!!」

何か、ちょっと違う気持ちが山本にある。最初はかっこいいから、とか友達になる前から目立ってたから、とか考えてたんだけどどうも違う気がする

肩組むなんて、別に友達なら当たり前だよね?山本は体育会系だから尚更な気がするし。だから気にしないとか考えると何だかもやもやして

((ため息ものだ))

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部活が終わり、帰路の途中…そのまま家に帰る気も起こらず、とりあえず河川敷に寄り腰をおろした

帰ってくる途中も今もツナのことを何故か考えてしまう

「…………何だかなぁ」

「何が?」

!?

急いで振り向いてみたら

「お疲れ様」

「…………今帰りなのか?」

俺の思考回路を埋め尽くしてる彼が笑顔で立っていた。予想もしなかった声についつい驚いてしまう

「うん、補習。プリント全問正解になるまで帰れなくて結局この時間」

あ、そっか。俺今回はギリギリパスしたんだった………何か惜しいことしたかもしれない

「隣、座っていい?」

「もちろんなのな」

何故だろう。誰もいないと思ってたのに突然声をかけられたからなのか。心臓がさっきからずっとうるさい

「今日も疲れたなー…あ、でも山本は部活でもっと疲れてるよね、ごめん」

「ん、謝ることないのな。ツナも補習頑張ったんだろ?」

「結局先生に怒られながら教えてもらったけどね」

なんて苦笑い。疲れた顔してんなー…頭なでてやりたくなる。これは何だろ、動物とか子供とかを面倒見る感覚なのか。でもやっぱり何か違う気がして。そしたら彼はいつもの優しい笑顔で

「山本は部活頑張ってるね」

なんて。いくらツナとは言えちょっともやもやしてしまった


「ん。レギュラーの発表近いから」

俺自身、野球が好きだから沢山練習する。けど、周りから変な期待を背負わされたり、ロクに練習しねぇ奴はレギュラーになるためのごますりだとか言ってやがるし

いつだって、俺なりに本気でやっていたいのに、どこか違う気がしてしまう。好きだからやってるはずなのに、やらされてると言うか、何と言うか……

「え?レギュラーの発表あるの?」

「ん?だから頑張ってる、って言ったんじゃねぇの?最近は無意識に力が入ってるみたいなのな」

そんなことはないのに。俺はそれに関係無くいつでも全力なのに

俺は無理矢理笑顔を作る

「違うよ〜。山本が本気で部活…と言うか野球を頑張ってるのはいつもの話じゃん」


え…………?

「大会が終わった直後なんて、大体皆一休みとかしたいと思うんだ。でも山本はもう切り替えてまた頑張ってる。すごいなぁって、いつも思ってる」

……………あぁ

「山本は本当に野球が好きなんだね」

俺のこと見てくれてる人がいた。分かってくれてる人がいた

その人がツナだったなんて考えたら自然と笑みがこぼれて……

「あぁ…………好き」

質問に答えただけだったのに、これじゃまるで告白だ

「…………っ」

「ん?どうしたツナ?」

「い、いや…山本が、ま、まるで…告白みたいで……ちょっと、恥ずかしかった、なんて…」

と、段々声が小さくなってくる。顔が赤い気がするのは夕陽のせいだろうか

告白だと思って恥ずかしがるってのはそういうことなのか?なぁ、そうなのか?なぁ………

「ツナ…」

何だか潤んだ瞳で俺を見上げている。2人の視線が絡まって、自然と距離が近付いてって…

このまま、このまま…………──────────






















「あっ!!ツナだ!!ママン、あそこにツナがいるんだもんねっ!!」

「ぬわあああああああぁ!!」

奇声を発しながら急いで山本から離れた。あ、あ、な、何だ。今何してた?何しようとした!?

「あらあらツッ君!それに山本君も!!」

「ちわっす」

「山本!!ツナばっかじゃなく俺っちとも遊べ!!」

「こ、こら、ランボ」

なんて言いつつ、俺はランボにちょっと感謝してた。きっとあのまま行ってたら、俺と山本の関係が、何かが変わってしまう気がした

「山本君、よかったらウチでご飯食べない?」

えっ、ちょっと母さん!!

「あ、俺今日は帰ったら店の片付け手伝う約束なんで」

「あらそう残念だわ」

安心した…………ちょっと残念だけど

「んじゃあ、皆来たしそろそろ帰るか!!」

「山本!!次は俺っちと遊ぶんだじょ〜!!」

「気を付けて帰ってね」

「どうも!!ランボまた次な!!ツナはまた明日な!!」

「あ、う、うん!!お疲れ様、山本!!」

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「あーぁ………何か惜しいことだらけだなぁ」

店の手伝いなんて大嘘
本音を言えばお邪魔して、ツナと一緒に食べたかった

けど、今日これ以上ツナといると、何か関係が変わってしまう気がした

俺………本気でアイツにキスしようとしてた

ランボの介入はよかったのか悪かったのか………

「でも補習ぐらいは一緒でもよかったんかな〜」







何事も無かったかのように笑顔で別れる俺達。この気持ちに気付いてはいけない。この気持ちを育ててはいけない


明日から、俺達はいつも通り、只の友達


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あとがき
2人がちょっとお互いを意識して、気持ちに気付き始めたけど、発展させなかったお話

互いに想ってるけど、失いたくないから、親友の道に逃げることにしたお話

題名は2人の距離間とちゅうまでの距離間←

2010.07.08





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