つめてえよ跡部先生!



「あとべー!亮が怪我した!」

「先生をつけなさい。宍戸はそこに座りなさい。」

「つめてえよ跡部先生!」


浅い擦り傷。どうせテニスコートで派手にすっ転んだんだろう。傷口は綺麗に水で洗い流されているので処置は手早く済んだ。


「はい、出来上がり。」

「……あざーす。」

「亮ってすぐこけるよなー。」

「うるせえよ岳人!てめえが言うほどそんなにこけてねえし!」

「保健室は静かにしろよ。」


ぎろり、とおもしろ半分に睨み付けてやる。俺は目力が半端ないってことは自覚してるし、大抵は言葉にしなくても目で伝わる。実際、このやんちゃなふたりはすぐにばつが悪そうに縮こまった。


「ほら、もう用は済んだから部活に戻りなさい。」


どうせ涼しい保健室に逃げ込んで、部活をサボりにきただろうし。特に向日はそうだろう。背中を押して扉の外まで出す。ドアに手をかけて閉めようとした、とき。


「またテニスしようぜー、跡部!」

「跡部の敬語って違和感しかねえわ。」


なんて好き勝手言って出ていくもんだから。次テニス部に顔出したときにはあいつら二人まとめて叩き潰してやる、なんて大人げないことを固く誓ってしまったんだ。



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