「今日は学校休むからドタチンによろしく、ねぇ」

今しがた届いたメールを見て私はやれやれと1人溜め息をつき携帯を閉じた。
だいたい"休む"は"サボる"の間違いだろう。しかもこれはどう見ても私への惚気としか思えない。
だって答えはこうだ。

『シズちゃんとデートしてくるから学校サボる、ドタチンによろしく』

ああ心底どうでもいい!

退屈な授業を聞き流しながら僕はふと窓の外に広がる青空を見る。この空の下あの2人が頬でも染めて肩を並べているのかと思うと寒気がした。

だって私は知っている。
"あの日"からそれはそれは大事にチロルチョコの銀紙を持ち歩いてる臨也を。
ここ数日自分の前に現れなくなった臨也に清々するどころか逆に苛立っていた静雄くんを。

門田くんは呑気に「臨也は案外静雄のガス抜きだったんだな」なんて笑っていたけどね。僕だって何も気付くことなくそう笑っていたかったけどね。
まぁ僕の愛しい愛しいセルティにさえ害がなければ何の問題もないといえばないのだけれど。

そうして放課後になって届いた臨也のメールに僕はまた深く溜め息をつくことになる。

【今日から君の友達はホモだよ、可哀想に】

果たして臨也はこのメールをどんな顔で僕に打って寄越したんだろうね。
午前中こそ返信はしなかったが、私はふと過った不安をとりあえず臨也にメールしておくことにした。

【どっちの尻にしろ治療は遠慮被るよ】


私のメールが効を成したのかは定かでないが、思いの外プラトニックな関係を2人は築いていたらしい。
尻の治療をしろと臨也が訪ねてきたのは僕らが成人してからのことだった。







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