PM21:39
曲がりながらも俺とシズちゃんはお付き合いというものをしている、と俺は認識していた。すごくシュールだけど。

「と、いうわけで明日のシズちゃんの予定は?」
「あー…予定入ってんな」
「……あ、そうなんだ」

いやまぁね。
直前に言った俺がたぶん悪かったよね、たぶん。
しかし世間一般的にクリスマスイブっていうのは恋人同士が2人できゃっきゃっうふふと過ごすものだと思ってきたからさ。
俺としたことが若干、いやかなり動揺しちゃったよね!
まぁでも相手はシズちゃんだ。
きっと脳筋バカだからそんな概念ないんだよね。
ていうかカレンダーとか見てるかどうかすら怪しいよね。
うんきっとそう。
こいつクリスマスとか気づいてないんだうんきっとそう。

「じゃあ明後日は?」
「予定があるな」
「へぇ〜なるほど」

どうやら俺はどうあってもひとりでクリスマスを過ごさなければならないらしい。
俺といえば浮かれていたものでクリスマスイブに標準を合わせて仕事のスケジュールを組み、きっとシズちゃんはレストランみたいに形式ばった所は苦手だよなぁ…なんて馴れもしない料理なんかを披露しようと料理本を買い漁った上に下ごしらえまで若干しちゃったこの感じ。
俺超乙。限りなく乙。
もちろんプレゼントも用意しちゃったわけだけどなんだろうすごく恥ずかしい。
俺ひとりで張り切っちゃって超恥ずかしい。

「ちなみに予定っていうのはなんなの?」
「あ?クリスマスパーティーに決まってんだろ」
「そっかぁ!」

この時俺は生まれて初めて心が砕ける音を聞いた気がした。
ていうか今更気付いたけどシズちゃんの中の俺って恋人じゃなかいのかも!
ていうかそうだよねー!
うわー超うける!
俺マジぴえろ!
さすがに街全体が数週間も前からクリスマスムード一色だもんねぇ。さすがに知ってるよねぇ。

「ちなみにさ、俺と過ごそうとかは…」
「ンでわざわざクリスマスにテメェなんざと会わなきゃいけねーんだよ」
「だよねー!」

これが電話で良かったと心底思う。
シズちゃんの前で泣くことはなんとか回避したが電話を切ったその瞬間さすがに泣いてしまったのは言うまでもない。
シズちゃんに、なんて沸いた頭で買ったプレゼントが綺麗な弧を描いてごみ箱に捨てられた時だけ一瞬涙が引いた気がしたがやはり俺は泣き続け、そして荒れた。
お陰様で部屋は荒れ果て、羽毛入りの自慢のクッション全てをこちらもやはり自慢のナイフでズタズタにしところで漸く落ち着くとシャワーを浴び、鏡に映る腫れ上がった自分の両目を見て笑った。それこそ腹を抱えて。


笑っちゃうだろ?俺どうやら多大な勘違いをしていたらしいよ。実に滑稽!
確かになし崩しな感じで身体の関係から始まった俺らだったけど。
池袋で会えば相変わらず戦争状態な俺らだったけど。
でもメールをすれば返ってきたし、電話をすればこうして今日のように出てくれた。
会おうと言えば会いにきてくれたしキスを仕掛ければ倍にして返してくれた。

うん、これ結論もしかしなくても俺らセフレなのかもしんない。
やだねぇ俺ってば超ウッカリ!
好き過ぎたばっかりにアッサリ掘られたとかどうしようギャグすぎる!
マジお疲れ!
長年の片想いが実ったって舞い上がって気付かなかったなんて本当幸せ者すぎるね俺残念!
余りの自分のめでたさに俺は笑い転げた。





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