詩1




小鳥


鳥籠に閉じ込められたから
私は声を失った
背中の翼は意味をなさない
私は哀しみを知った

庭園に薔薇が咲いたから
私は夢を凍らせた
あの人に助け出されたから
私は解き放たれた

夜明けは自由を意味する
私は愛を思い出した

背中の翼で飛んでゆく
私は喜びを知った

死に絶えた唄を口ずさむ
私は声を取り戻した


電話


電話からの声は遠く感じた
「どうして?」
受話器は手から滑り落ちた
「帰ってくるって
言ってたじゃない」
彼は消えてしまった

もう、どこにもいない

心はいつでも
あなたの隣にあった
喧嘩なんか、
しなければ良かった
愛してるって、
伝えれば良かった

そんな私のそばで
最後にもらった花が、
揺れていた


手紙


手紙が届いた
手紙を読んだ
返事を書いた

「私の宝物にします」

手紙が届いた
手紙を読んだ
返事を書いた

「君に早く会いたい」

手紙が届いた
手紙を読んだ
返事を書いた

「私も会いたいです」

手紙が届いた
手紙を読んだ
返事を書いた

「今度の日曜日はどう?」

手紙が届いた
手紙を読んだ
返事を書いた

「そうですね」


手紙が届くより先に
手紙を読むより先に
返事を出すより先に

「愛しています」



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