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「 帳≠ェ下りている!! 悟の勘が当たったのか!? 」
『 っ、真希ちゃんの呪力が弱まってる…! 憂太ちゃんはまだ無事みたい! 』
「 そうか…! 俺が帳≠破るから菫は呪力を貸してくれ!! あとは
最短でいくぞ!! 」
「 明太子!! 」
『 言われなくても!
術式展開 呪力掌握 [ 楪 ] 』
パンダちゃんに3分の1くらいの呪力を与え帳を壊す彼に着いて行く。
さっき悟君にも少しだけ呪力与えたせいかいつもより少しだけつらいが傑君の元へ行けば呪力なんか腐る程あるだろう。
壁を突っ切って行く彼に引っ付いて辿り着いた場所は先程よりも禍々しい呪力が漂っている。
そりゃそうか、傑君本人がいるんだもの。
でも今は貴方に構ってる余裕はない。
『 真希、ちゃ、 』
浅く早い呼吸に自分の体温が下がっていくのがわかる。
反転術式を使わないとって理解しているのに身体が動かない。
違う、動くのに、
『 …どうしよう、止まらない…! 』
心臓が大きな音を立てる。
皆やられていくのに、だめだ、吸収が止まってくれない。
無意識に傑君の呪力を奪っていく私の身体。
爆発だけはしないように留めようとしてもいつもより吸収が早い。棘が倒れていくのが視界に入ると嫌な汗が頬を伝う。
確実に、私の呪力が傑君を殺そうとしているのだ。
「 真希さん…? パンダ君、 」
「 ゆ゛ぅ゛だ……逃げ ろ 」
「 狗巻君!! 」
『
憂太、里香 』
「 の、納粹さん、!? 大丈夫!? 顔色が…! 」
『 真希とパンダと棘を連れて逃げて。お願い 』
「 へっ… 」
『 私と彼から離れて 』
その言葉を最期に私は何年ぶりかに封印していた術を展開した。
『
待雪草 』