0-1
百鬼夜行当日。
私は悟君と行動していた。
『 …悟君 』
「 わかってる 」
傑君の呪力の気配がしない。
数日前にすれ違った時に思ったのは昔と少しだけ呪力が変わっていること。
恐らくアレは大量に蓄えてる気がする。
悟君に伝えようとすると彼はもう察していて口を固く結んだ。
「 五条さん!! 報告が……どうされました? 」
「 いや、なんでもない。どうした? 」
「 こんな時にとは思いますが早い方がいいかと。以前調査を依頼された乙骨の件です 」
潔高ちゃんの言葉に耳を澄ましているとまさかのワードが聞こえて閉じていた瞼を上げた。
同時に悟君の声が辺りに響く。
「 菫! 集めれる範囲で良いから呪力を集めてくれ! 」
『 了解 』
『
術式展開 呪力掌握 [ 葡萄 ] 』
右手で百鬼夜行共の呪霊の呪力を集め左手で悟君に触れて呪力を流す。割と長距離移動になるから私の呪力も分けた方がいいだろうか。
そんな事を考えてる私にお構い無しに彼はパンダちゃんと棘ちゃんと私を囲うように陣を書く。
『 ちょ、ちょっと待って、私も!? 』
「 そっ、大丈夫だから、
信じて 」
『 ……わかった 』
「 仮にも底まで吸っちゃだめだからね 」
『 ん 』
優しく握っていた手はゆっくりと離れそれが何故だか名残惜しいが決意を胸に瞼を閉じた。
殺してはいけない。何があっても。
だけど悟君が来るまでの足留めなら私にだって出来るだろう。その間に傑君から何か聞けたら良いんだけれど。
「 勘が当たれば最悪憂太と真希、二人死ぬ! 」
「 !! 」『 真希ちゃんと憂太ちゃんが、 』
「 僕もあの異人を片づけたらすぐ行く! 二人を守れ。悪いが
死守だ! 」
「 応!! 」「 しゃけ!! 」『 了解 』
瞼を開ければそこは禍々しい呪力が漂い高専を囲む帳が視界に入った。