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高専の制服を身に纏い自室の鏡に映る自分に手を重ねる。
『 ハッ,ぶっさいく 』
まるで誰かに呪われたような顔。
目の下の隈は酷いし以前より窶れているのが見ただけでわかる。
今日から交流会前の訓練に参加するのに大丈夫か、と自分でも思う。
けれどしょうがないのだ、もう私にはこの道しかない。
『
あの子は…あの子だけは、私が守る 』
パキッと姿見にヒビが入った。
「 ッ、菫! もう大丈夫なのか!? 」
『 ごめんねぇ恵ちゃん。心配かけちゃったね、もう大丈夫 』
「 特級とやり合ったんだろ、んで意識不明の重体の何処が大丈夫なんだよ 」
『 あ~、真希ちゃんだぁ。大丈夫だよ、準備運動もしてきたし 』
「 そういう問題じゃねぇっての 」
コツン、と可愛らしい音と共に軽く頭を叩かれる。
じゃあ他にどういった意味があるのだ。
ちゃんと動けるかのどうだのって話なら間違ってないだろうに。
「 ああああ! 菫さん! お久しぶりです! 」
『 久しぶりだねぇ、野薔薇ちゃん。特訓は順調? 』
「 ずっと投げられてます 」
『 あはは、凄いボロボロだぁ 』
彼女の髪に絡まっている葉を取りパンダちゃんと棘ちゃんに目を向けた。
気づいた二人は元気に手を振ってくれる。
何かに気づいているのに何も言わないのはこの人達の優しさだ、去年傑君を喪った時も同級生達は私に何も聞かず優しく頭を撫でてくれた。
「 … 」
「 どーした、伏黒ぉー 」
「 いや…なんか… 」
「 菫さんの呪力、なんというか、気持ち悪い 」
さぁ、賽は投げられた。
何を犠牲にして、何を守るか、
考えてる場合ではないよ。
20210322
実は生きてる私