08
-Megumi.F side-
生得領域が閉じた。 特級が死んだ。
後は虎杖と菫さんが戻れば、と考えていた。
けれど目の前には意識を失い抱えられている菫さん、そんな彼女を抱えている───────
両面宿儺。
「 ………おい、その人にナニをした 」
「 そう睨むな、俺はナニもしていない。コイツが呪力を暴走させたから止めただけだ 」
菫の呪力が暴走? 嘘だろ。
確かに昔は暴走気味だったらしいが今は制御出来てるって五条さんは言っていた。
もしかしたら暴走するかもしれないなんて話は1度も聞いていない。
「 少し話そう。この女と会って気が変わったのだ。コイツもヤケに
虎杖を大事にしていたからな… 」
「 ? 」
宿儺は菫を肩に担ぐと片腕で虎杖の心臓を抉り抜く。
咄嗟に彼女へ伸びた腕は呆気なく躱されこの呪いは高笑いをするのだ。
「 ケヒッ、そう焦るな。少し話そうと言っただろう 」
「 話さない。オマエ、菫になにかしてみろ、殺すぞ 」
「 コイツにはこんな事はしない 」
言い切った宿儺の目は呪いの癖に少し優しい目をした。
その顔は昔五条さんや津美紀がよく菫へ向けていた目と同じ目で。
「 虎杖を人質にする。俺は
心臓なしでも生きていられるがな、虎杖はそうもいかん 」
「 虎杖だけなら菫は関係ないだろ、降ろせ 」
「 …いいだろう。但し俺と決着が着くまでこの女に触れるのは無しだ、互いにな 」
「 …チッ 」
宿儺は菫を地面へ寝かせると僅かに頭を撫でた。
なんでオマエがソイツへ依存するんだ。
会ったことも話したこともないだろ。
もし仮にアイツが呪霊側に堕ちたというなら納得はいくけれどそんな様子はないし、ましてや俺を置いてそんなことになるわけがない。
だって約束しんだ、お互いに。
津美紀を取り戻すって。
『 絶対に津美紀ちゃんを助けるから。この命に変えても、絶対に 』
小さな拳は強く握られ震えていた。
その姿を見たからこそ俺はアイツを泣かすモノ全てが許せなくなって。
だから簡単に呪霊に堕ちるはずがない。
なんの為の誓いだと思ってる。
「 すぐに助けるから 」
だからもう少し待っててくれ。
20210123