トリカブト | ナノ

03



反転術式を使い恵ちゃんのキズを治すと彼は膝の上でコテンと意識を失い子供のように寝た。
下手に動けないし治療中に聞いた話を頭の中で整理しようと思う。
まず虎杖悠仁という少年が特級呪物である宿儺の指を胎内に入れた、しかし彼は毒に殺られる事もなく制御ができている。
私や憂太ちゃんと同じく秘匿死刑は免れないだろう、けれど悟君がいるなら…きっと大丈夫。


『 …両面…宿儺、か 』


幼い時誘拐された際に干渉してきた特級呪霊。
いや正確には両面宿儺が私に直接干渉してきた訳ではない。
私にも見えなかったナニカが言ったのだ、10年後世界は変わる、両面宿儺と納粹菫と× × × × によって。
秩序維持が出来なくなりそして滅ぶらしい。
あの時は理解出来なかったが残念ながら今でも理解は出来ていない。
だって覚えていないのだ、ソイツが話した言葉を。
重大な所が抜けてしまっているから私は誰にも言ってこなかった、悟君にでさえも。


10年後世界は変わる、とは伝えけど。


あえて両面宿儺の名前は出さなかったけれど、もしアレが何らかの鍵になると言うなら私は彼の呪力を掌握してみせよう。
二度と悟君や梢子ちゃんにつらい思いをさせない為に、友達が笑って生きる為に、順平の平和の為に、そしてこの子の未来を守る為に。


「 ーーー 」

「 ーーーー 」

『 隣が騒がしいなぁ 』

「 虎杖でしょ、多分 」

『 あ、おはよう、気分は? 』

「 いつも通り、……なんかあったのか? 」

『 ? なんのこと? 』

「 ……なんでもない 」


恵ちゃんは立ち上がり扉へ脚を向けた。
虎杖悠仁に会いに行くんだろう。
それなら私は邪魔しない方がいいかもしれないな、と思って窓から出ようとすれば首根っこを掴まれる、勿論恵ちゃんに。


「 なにやろうとしてるんですか!? 」

『 部屋に戻ろうと思って 』

「 虎杖に挨拶していけばいいでしょ。いつかは会わなきゃいけないんだから 」


手を引っ張られて扉へ近づく度に脚が竦みそうになる。
もしも世界が変わるきっかけが私と宿儺の出逢いなら今はこの手を振りほどくべきだろう。


「 何にビビってるのか知りませんけど、アンタを泣かすヤツは俺が許さないんでっていうかそんなのから守りますから 」

『 …あれ、それって人間も対象になったの? 』

「 ……最初から入ってましたよ 」


アンタは鈍感なんで気づいてなかったと思いますけど、と舌をベッと出し笑う彼に中学時代の姿が重なる。


『 あんまそんな顔してると、意地悪されたって津美紀ちゃんに言うからね 』

「 津美紀には小言は言われ慣れてるんでどーぞお好きに 」


そう言いつつ扉を開けた先には見慣れた真っ白な髪の持ち主とハジメマシテの少年がいた。
そしてその少年の中から感じるもう1つの呪力。


『 はじめまして 』




20201222



週刊誌派だから私今後の展開次第でこの子の安否が不明になるのだが…
安否不明通り越してワンチャン私が好きなバドエンになってしまう…
ちょっと私の考察通りだった時の為に保険をかけながら更新してる今日この頃。

次回 虎杖君とついに接触する菫ちゃん




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