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結局私は人でした



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何も覚えたくない。


何も見たくない。


何も感じたくない。


どうせすぐ忘れるのだから。


『 無一郎はん? どないしはりましたん? 』

「 なんで永久は僕に構うの 」

『 ………あんさんはいつも突然やねぇ 』


別に彼女と僕は幼馴染でも恋仲でもなんでもない。ただの隊士同士なだけ。それでもいつも彼女は僕に着いてくる。継子でも無いしするつもりはないけれど隣にいてくれると安心することはあるから構わないけど理由は気になる。


『 難儀やなぁ……んー…… 』


目の前の少女は眉を八の字に下げた。難儀ってどんな意味だったっけ。以前も彼女から聞いた記憶があるんだけど忘れてしまった。


『 …あてにとって無一郎はんは命より大切な人やさかいに…すぐ守れるように隣におりたいんよ 』

「 いのちより、たいせつ、 」


何故かその言葉を聞いた途端胸騒ぎがした。きっとこの少女は僕が危なくなれば簡単に命を差し出す、そんな気がして身体が動かなくなった。ほんの数歩前にいるはずの桜の羽織物の少女がとても遠くに感じる。行かないで、置いて行かないで、傍に、


「 傍にいて 」

『 …へぇっ? ど、どないしはったん? 』


急に羽織物を引っ張られたからだろうか、彼女は目を丸くして唖然として僕の目を見た。綺麗な蒼玉の瞳、空より濃く海より鮮やかな蒼玉が揺れた。


「 わかんない。でも離れないで 」

『 …離れるつもりなんてありまへんよ 』

「 絶対 」

『 えぇ 』


小指を絡めて小さく未来の約束をした。桜の羽織物が優しく揺れるの視界に入れて瞳を閉じる。


うん、今日のことはきっと忘れない。
そう確信が得れた。



20201031


無一郎くんの告白っていうかさり気なく束縛というか。
まぁこの子は絶対に離れることないと思う。


title…お題bot様

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