愛した分だけ締まる首
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「
すきよ、永久さん。だいすき 」
嫌な夢を見た、昔惚れていた女の。
鬼殺隊の隊員だと言うのに誰よりも優しく慈悲の深さはお館様以上の女。
俺が鬼に片腕を喰われ隊員を辞め藤の花の家で働き出してからもしょっちゅう来てた女。
嬉しそうにそして幸せそうに話すあの女が俺は好きだった。
『 カナエ、もう来るな 』
「 ……どうして? 」
『 どーしても。それよりお前、いつまで鬼殺隊にいるつもりだ 』
「 そうねぇ…この命朽ちるまで、かしら 」
模範解答、そう小さく呟いた声はカナエには届かなかったがきっと内心で彼女は分かっていたはずだ。
俺が一番嫌う回答だ、って。
「 永久さんが意地悪してくるから、仕返ししちゃった 」
『 …はぁ…。わかったよ、俺の負け。お前に来るなって言った理由は…その…俺にばっか構ってたらお前の婚期が遅れるからだよ! 』
「 あら失礼しちゃう。私だって素敵な殿方一人くらいいるわ 」
いつの間にやらカナエは背後にいてこつん、と可愛らしい音をたて額を自分の背中に当ててきた。
こういうところ、女はずるいと思うんだが。
一番自分が可愛く魅せる方法をよく分かってやっているんだから。
「 すきよ、永久さん。だいすき 」
『 そぉかよ 』
「 えぇ 」
俺だって同じだと言えたらどれだけ楽になれるんだろう。
でも今この想いに答えたらきっとそれは彼女の荷になるから、俺は何も言わないよ。
そう心で言って見上げてくる彼女と接吻をした。
20201031
きっと言わない理由はカナエさんもわかってるはず。
これでカナエさんの落命を聞いて夢主くん片腕でも鬼殺隊復帰して片手で刀振れば尚良。
title…お題bot様