05
一体全体これはどういうことだろうか。
半年に一度の柱合会議にのらりくらりと来てみれば他の柱に囲まれては地面に転がされている少年がいるではないか。
もしかして、師範が言っていた少年なのでは。
『 (随分と見窄らしい) 』
けれど母が自害し一人で生きていた頃の俺に何処か似ていて、着ている物や身につけている物が汚いから顔が良くても台無しなことがよくわかる。
さっきまで那田蜘蛛山にいて死にかけてたらしいからそりゃあぁもなるか、後で綺麗にしてやろう。
どうせ蝶屋敷で預かることになるんだろうから。
『 ねーね、義勇 』
「 …なんでしょうか 」
『 お前隊律違反したんだって? 』
「 … 」
『 無視かおい 』
俺お前より歳上だし柱になったのも先だし隊士になったのも先なんだけどなぁ、なんて思ってもコイツが無視をするのはいつものことかと理解して未だに揉めている輪を見つめた。
『 竈門炭治郎、ね 』
「 知り合いだったのですか 」
『 知らない 』
知らない人間だが害はないと思われる、現に俺の刀は無反応であるのだから。
だが無反応だとしてもしのぶ達を傷つけるようならそれは今此処で首を堕とすしかないと俺は思ってあの輪を見つめているのだ。
彼女にかすり傷一つでも付けてみろ、例え師範の願いでも私≠ヘお前を許さない。
「
お館様のお成りです 」
お館様の姿を視界に入れると離れていた俺たちですらも一瞬で並び膝を着く。
「 よく来たね、私の可愛い剣士たち 」
顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたことを嬉しく思われるお館様に頭を垂れ横目で不死川が竈門炭治郎を押さえつける姿を視界に入れた。
怪我してるんだから何もそこまで押さえつける必要は無いだろうに。
「 畏れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士についてご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか 」
「 そうだね、驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている 」
お館様の言葉に思わず目を開いた。
20201023