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コミック6巻を友達に貸して今手元にないからカナヲちゃんの話(・д・。)
返却期限は明日である、まぁ家隣だしすぐ返ってくるだろう。
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お腹がすいた。
悲しい虚しい苦しい寂しい。
そんな日々だった。
だけどある日ぷつんと音がして何もつらくなくなった。
貧しい暮らしの中親に売られた時でさえ悲しくはなかった。
『 ……で、本当に奴隷商人から奪ってきたのかい? 』
「 うふふ、可愛いでしょう? 」
暖かい手に引かれて連れて来られた屋敷では一人の綺麗な男の人がいた。
一瞬女の人かと思ったけど声は男の人。
不思議な雰囲気を持った人。
『 はじめまして。私は藻南永久。キミは? 』
「 ……… 」
『 ……うーん…やっぱり男だから話しずらいか。女性の身なりでこればよかったな… 』
「 義兄さん、そうじゃない。多分だけどまともに語彙すら習ってないんだと思う 」
『 ふむ。なら私が教えよう 』
彼はキラキラとした顔で『 剣術以外だって教えれるんだぞ、私 』と胸を張った。
この人も暖かくて優しい、そう思える。
「 にい…さん… 」
『 !!!! 』
皆が驚いた顔をした。
だって皆がそう呼ぶから。
私もそう呼んだ方がこの人は喜ぶんじゃないかって思ったの。
『 ありがとう、カナヲ 』
「 …にいさん 」
『 ふふっ、なんだい 』
この人に、兄さんに名を呼ばれるのは好き。
いつの日からかそう思うようになった。
いつかカナエ姉さんが言っていた、好きな男の子でもできたら変わる、この言葉はまるで兄さんを指してるかのような。
「 ちょっと永久さん! また怪我ほってましたね!? 」
『 違うよ、アオイ。誤解だ、気づかなかったんだ 』
「 そんなはずないでしょう!? 」
でもすぐに違うとわかった。
アオイを見ていたら、これは恋じゃないと。
アオイの様に頑張ろうと思ったりするけど何かが違った。
『 あっ、カナヲ。洗濯物干すのかい? 手伝うよ 』
そうか、これは、敬愛なんだ。
以前聞いたことがある、愛にも種類があるって。
私は兄さんを本当の兄さんの様に慕い敬っているのだ。
「 兄さん 」
『 んー? 』
「 今度皆でまた、花を見に行きたいです 」
初めて兄さんに伝えた我儘。
兄さんなら皆に私からとは言わないから。
彼は優しい人って知ってるから。
『 いいよ、行こうか 』
今日も私は彼を慕う。
例え彼がどんなに変わっても。
20201221
当時から女顔を活かしてなにかしてくれ。