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『 よっ、元気か? 』
「 貴方は! えーと…禰豆子を守ろうとしてくれた人…! 」
『 あははっ、面白い認識だなぁ 』
柱合会議が終わり俺としのぶは蝶屋敷へ脚を向けた。屋敷に着いた途端しのぶはやる事があると言って部屋へ、俺は暇だったし癸三人組を見に行こうと病室へ向かった。
扉を開けるとそこには煩い金髪の少年と微動もしない猪頭、そして炭治郎が痛みに耐えている状態で。
『 自己紹介が遅れたね。俺は藻南永久、これでも柱やってます 』
「 お、俺! 竈門炭治郎です! コッチは同期の我妻善逸でアッチも同期の嘴平伊之助って言います! 」
『 へぇ。三人ともよろしく 』
痛みに耐えながら俺に言葉を掛けてくる炭治郎の頭を撫で子守唄を歌いながら金髪の、我妻善逸という少年を横目で見た。彼は俺を見てから一言も話さないのだけれど何かあったんだろうか。それとも気づかないうちに何かしたのかな、俺。
『 …ゆっくりおやすみ、炭治郎 』
「 えっ、あ…なん、で… 」
我妻善逸くんと話したいが為に少し炭治郎には眠ってもらった。これでも昔から子守唄は得意な方でね。あのしのぶや実弥ですらこれで深い睡眠に落ちていくのだから。
『 さて、我妻善逸くん。君は俺に聞きたいことでもあるのかな? 』
「 あの、藻南さんって 」
『 永久でいいよ。苗字で呼ばれるのは慣れてないんだ 』
「 …永久さんって、継子とかいたりしますか 」
どうして彼が其れを知っているのだろうか。もしかして過去に俺の屋敷に訪ねてきたことがあったけれど不在だったのを根に持たれているとしたらそれは俺が悪い。
『 継子ね、いるよ、一人 』
「 …なんでアイツを継子にしたんですか 」
『 ……なんでだろう。少し昔の自分と似ていたから…かな 』
窓から咲いた藤を見つめる。そう、似ていたのだ。あの瞳、あの纏っている空気、全てがカナエと出会う前の俺に似ていた。正直重ねってしまったわけだがきちんと理由を話した上で彼は考えた末に俺の継子になってくれたのだ。
『 俺の継子と知り合い? 』
「 …兄弟子、なんです、 」
『 ってことは君も雷の呼吸を使うのか!? いやぁいいよねぇ、雷の呼吸は。静かにそして一瞬で儚い、綺麗な技だと思うよ 』
そう言うと彼は目を見開き唖然とした。それでも彼はすぐに目を逸らし綺麗な瞳を揺らしながら「 でも俺は壱ノ型しか使えないから… 」とまだ蜘蛛化から戻りきってはいない小さな手で布団を握りしめている。
『 それじゃあ自分だけの型を創ろうじゃないか 』
「 へっ 」
『 相性問題…ってわけではないんだけどさ、自分の身体に合った型ってあるんだよ 』
「 自分の身体に… 」
『 俺で良ければ教えようか? 』
勿論キミが嫌じゃ無ければだけど。
20201123
お気づきの方も多かったのでは、と思いながら獪岳君を継子設定にした我。
善逸君に剣を教えたのが夢主くんって考えたら尊いなぁって、いう。