全員出動の段 | ナノ

08



菫色の忍服を着たくの一が一気に距離を詰めてきて蹴りを入れてくる。受け身をとらないと肋が何本か逝ってたかもしれない、それくらい彼女の蹴りは一撃が重かった。けれど先程までそんな脅威的な雰囲気は無かったはずだが何かがきっかけでタガが外れたのだろう。最初から外れていたら今頃腕の一、二本持っていかれてかもしれない。


『 チッ、肋に届かなかった 』

「 …キミ普通の忍じゃないね 」

『 初めて言われた 』


何処で火を着けたのか、手には火車剣を持っていてそれを遠慮無く投げつけてくる。同時に反対の手からは投箭が投げられてきて避けようとしたら忍服が破れた。


「 まさか、その投箭…なんか付いてる? 」

『 ピアノの線 』

「 あぁなるほど… 」


一応意思疎通は出来るみたいだが短調的な喋り方、多分まともな会話はできないであろう。あわよくばタソガレドキに歓迎したいが…きっと今の状態では無理だ。


「 そこのキミ! この子を止める方法わかるか 」

「 っ、今の彼女は、同級生しか、 」

「 同級生!? まて、キミ一体いくつなんだ 」

『 十三 』


鳩尾に入った場所が効いているのだろう、浅く呼吸を繰り返す少年が同級生という発言に対し彼女は十三と答えた。まだ忍術学園では四年生じゃないか。四年生がここまで出来るか、普通。


「 キミその幼さで何人殺ったんだい 」

『 数えてない 』


数える意味も無い、少女は小さくそう呟いて顔に蹴りを入れきた。今の少女はきっと与えられた忍務≠全うするただの人形でしかないのだろう。冷めた目 荒れない呼吸 的確な攻撃 死を恐れない空気。プロの忍でも感涙物だ。


「 一旦落ち着かないか。私はもう君達を攻撃しない、約束しよう 」

『 問答無用 』

「 陽衣ちゃん! 」


以前私を助けた少年が声を上げた。すると目の前の少女は動きは止めたもの手には未だ苦無と投箭が握られていてあちらを振り返る素振りもしない。


「 ダメだよ陽衣ちゃん! 仙蔵や先生方はそこまでやれって言ってないでしょ!? 」

『 此奴を今逃がしたら乱太郎が狙われる可能性がある。だから排除する 』

「 …くっ…せめて四年生の誰かがいてくれたら… 」


四年生≠ニいう言葉に動揺した彼女に隙が見えた途端首に手刀を落とす。あまりこういう事を女性にする趣味はないんだけどね。


「 今はおやすみ、人形の様な少女、 」


目が覚めると人間に戻れる四年生クスリがあるといいね。


『 絶対、…す、 』



20201104


兵太夫「 ねぇちゃんの忍務モードの時の蹴りの威力が成人男性の骨を折るくらいの力があるのは本当ですかー? 」

三木ヱ門「 あぁ、本当だ。忍務成功の為ならなんでもするからな。力加減が出来なくなってるんだよ 」

兵太夫「 だからねぇちゃんに暗示かけてたんだ! 」

三木ヱ門「 すぐ解けるけどな… 」

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